不登校先生 (51)
・・・・・・市役所の方から教えてもらった電話番号にかける。
「すみません、傷病手当の申請についてお伺いしたいのですが。」
「はい、傷病手当ですね。こちらの保険に加入されてから、12か月以上たたれていますか?」
「そうだと思います。」
「確認いたしますので、お名前と生年月日をお願いします。」
名前と生年月日を伝える。
「・・・ととろんさんは、3年前までは加入していますが、その後は協会けんぽではないみたいですね。」
「え?そうなんですか?」
「保険証に書かれている組合はどちらですか?」
働いていた時の保険証は、学校の事務員さんに既に返納している。
「教員だったのですが、、、、その場合どちらになりますか?」
「あ、教員だったんですね。それですと教員共済組合になりますね。電話番号お伝えしましょうか?」
「お願いします。」
何とか落ち着きながら電話番号を聞く。
「ありがとうございました。かけなおしてみます。」
次は教員共済組合の電話番号へ。
「傷病手当の申請を行いたいのですが。」
「はい、ではまずこちらの保険に12か月以上加入しているかお調べしますので、職員番号とお名前をおねがいします。」
聞きなれた言葉が出てきた。職員番号。間違いない。
落ち着いて、職員番号と名前を伝える。
「・・・・・確認できました。ととろん先生ですね。先生は、12か月以上の加入がされていますので、傷病手当の申請は大丈夫です。」
「そうですか。先日で退職をしたのですが、退職後も申請できるのは知らなくて、よかったです。」
「はい、そして現在うつ病で療養中ということですが、退職日まで赴任校には行けない状態だったことは間違いないですか?」
「・・・・・・・・・・・はい、間違いありません。」
「わかりました。申請の際、退職日を含め直前の4日間に職場に行けていない。という状態の確認が必要ですので、確認させてもらいました。」
「そうなんですね、4月半ばから病休になって以降、職場には退職までは一度も行けていません。」
「でしたら、傷病手当の申請はできますので、必要な書類をお伝えしますので、退職された学校の事務の先生に問い合わせて、必要書類をそろえて郵送されてください。書類は……」
説明を聞きながら、安堵とともに、改めて湧いてきた気持ちがあった。
あの時、校長先生が、してくださった気配り。
はじめは、退職直前に荷物を取りに行く予定だった。
けれど、ほかの職員に会うのは心がきついでしょう。
そう言って、退職後に荷物を取りに行くことになった。
もし、退職前に学校に入ることができていたら。
僕は、この傷病手当の申請ができなかった。
この先の生活のことに手立てを打てずに、
絶望するしかなかったかもしれない。
あの時、校長先生が気遣ってくださった日取りの変更。
そしてたてなくんも、変更した退職後の日曜日の方が良かったという状況。
最後まで、その気遣いと、偶然に助けられた。救われた。
条件を満たしていることを確認できたので、
僕は、先日教えてもらっていた、
退職した学校の事務の先生に電話をする。
「先日は退職の手続きお世話になりました。色々手続きをする中で、退職後の傷病手当の申請をすることになりまして、△△先生に、初回申請に必要な書類を郵送して頂きたく・・・・・。」
勢いがあるうちに、進められることは安心できるところまで。
いつ、このやる気の気持ちがしぼむかわからないから。
不安を片隅において、僕は、一つずつ、
自分の療養の準備を進め始めた。
↓次話
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