【のう蔵エッセイ】サウナと減量のハナシ

僕は格闘技を見ることが好きだ。
7月28日に行われた超RIZINでもメインイベントの朝倉未来対平本蓮の試合をはじめ、熱のこもった多くの試合に興奮し、魅了された。

最近ではファイター自身もSNSやYouTubeなどでファンに向けて、自身のことを発信したり、試合が決まればそれまでにプロモーションを行う。
ましてや選手同士がSNS上で舌戦(筆戦?)を繰り広げ、それをきっかけに因縁マッチが決定することもある。

ファイター個人のバックボーンやそれまでの経緯、主義主張を知った上で、観客は1対1のドラマに酔いしれ、感情を揺さぶられる。
1対1の勝負で勝ったやつの主張が正しいとされる格闘技は、動物的なまでの強者至上主義と真剣勝負ゆえの負けの美学が混在する最高のエンターテイメントだと思う。

このまま格闘技への愛をつらつらと書いていると長くなりそうなので、話をサウナに急旋回します。

先に書いたファイターのYouTubeでは計量当日や計量後のリカバリーの密着動画が多く公開されている。(リカバリーとは計量から試合までの間に体重を戻したり、体を回復させるための食事のこと。本当においしそうにご飯を食べる姿が見られるのでおすすめです。)。

その中で、減量末期になると水抜きという行為がよく動画内に出てくる。
水抜きとは計量に向けて体重を一時的に減らすために、体内の水分を排出する行為である。
そこによくサウナが用いられる。
水抜きだけで10kgほど体重を落とすファイターもいると聞いたことがある。みなさんも減量中のボクサーがサウナに入って体重を落とすイメージがあるのではないだろうか?水抜きとはいわゆるそれだ。

サウナ愛好家の僕からすると、いやサウナ愛好家でない誰の目から見ても、減量末期で疲弊した体でサウナに入ることは危険である。
実際、水抜きでサウナに入っていたファイターが、急性心不全で亡くなってしまうというケースなど、死亡事故は少なくない。

その為、シンガポールが拠点の大手格闘技団体ONEチャンピオンシップでは、計量と併せて、ハイドレーションテストを実施する。
ハイドレーションテストとは尿から体内の水分状態を測定し、基準値を満たしていない場合は体重計量することができない仕組みのことだ。
これにより過度な水抜きを制限し、ファイターの健康状態を守る画期的なシステムだ。
大好きな格闘技を通して、大好きなサウナでの水分補給の大切さを改めて再認識した。

しかし、ファイターの減量によくサウナが使われることで、サウナに入ると痩せるという、パブリックイメージが定着しているも事実だろう。
最近では、美容の観点からサウナに入りはじめ、ハマる人も少なくないと思う。
ダイエットの観点で見ると、汗が出て体重が落ちるのは一時的なもので、どちらかというと代謝が上がることによって徐々に体重が落ちる方が恩恵としては大きい。
1度きりではなく、日常的に入り続けることが望ましいのだろう。

ファイターの立場であれば、水抜きが減量の手段の1つとして有効なことは重々理解する。
試合に向けて、文字通り死ぬ気でやっているのだ。
しかし、一般人は死より重要なダイエットなんてない。
どうか、水分補給を心掛け、サウナでの事故が無くなることを願っている。

~すべての格闘家とサウナ好きに敬意を表して~

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