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読書レビュー バグトリデザイン

 面白さ★★★★☆
 オススメ★★★★★
 難しさ★★☆☆☆
 ページ数:331

 ひとことで表すと……新たな発想方法を身につけられる本

 この本では、新たな製品デザインなどの企画を思考する時に使える方法論について解説している。また、その方法を身につけるための実践的ワークショップについても同時に解説されており、思考法を身につける一助となってくれるだろう。

 人の行為には理由があり、そこからデザインを検討することで、狙った効果や狙い所を考えるという行動分析学的な考え方がこの本で紹介されている思考法の基本となっている。タイトルのバグトリデザインとは、日常生活での行為のバグを発見し、それを取り除くデザインができればそれが製品やビジネスになるというデザインの思考法のことである。例えば、ショッピングモールなどで駐車場に駐車すると、帰りには駐車位置がわからなくなっている、というありがちなバグ(迷いのバグ)や、iPhoneは洗練されたデザインをしているが保護や装飾目的で多くの人がカバーをつけて洗練されたデザインは全く見えなくなってしまう(矛盾のバグ)などである。

 この本の構成としては、こういった日常生活に潜むバグの例を分類分けして紹介し、その後にそのバグの原因と因子を定義、その原因や因子を取り除いたり活かしたりする方法を考える実践ワークショップの解説と、新たなデザインを実践思考するところまでひと通りの流れについてが様々な発想例を交えてわかりやすく解説されている。

 この本に沿ってワークショップなどを実践して考えていけば、行為からデザインする新たな思考法を獲得することができるだろう。世間一般にはトヨタ流問題解決などの問題解決方法に関する方法論的なハウツーがありふれているが、その中でもこの本で解説されている思考法は実践的であり、昨今騒がれるDXを進める、デジタル化する社会にも適合する発想方法であると感じた。

今回の本:バグトリデザイン 事例で学ぶ「行為のデザイン」思考 著 村田智明 朝日新聞出版 2020

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