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読書レビュー 教祖の作りかた

 面白さ★★★★★
 オススメ★★★★☆
 難しさ★☆☆☆☆
 ページ数:310

 ひとことで表すと……狂気に満ちた宗教ミステリー

 この小説は、タイトルの通り宗教が深く関係するミステリー小説となっている。

 主人公は普通の中年主婦であり、夫婦と息子の3人暮らしである。そんな主婦が地元の同窓会に参加するところから物語は始まる。同窓会では普通の主婦になった自分と周囲の人々が成功している様を見て惨めな気持ちになる。しかしそこで昔から好かれていた男に言い寄られて……というところから事件に巻き込まれていく。

 特にこのミステリー小説で良いと思った点は、登場人物にムダがないことである。多少ネタバレかもしれないが大勢に影響はないと思うのでこのような書き方になるが、ほぼ全ての登場人物にスポットライトがあたり、その上でストーリーとして違和感はなく驚きもある展開で、ミステリー小説として非常に完成度が高くなっている。

 注意しておきたいのは、この作品はミステリーにありがちなトリックだとか犯人探しだとかがメインではないということである。主人公は探偵ではないし、そういったキャラクターも(さすがに多少はあるが)ほとんどいない。この作品のメインは個人的には人の狂気だと思った。

 このように、ミステリー小説を読みたくて読み始めると多少求めているものと違う可能性はある。だが、読み進めながら真相を推理したり、人の狂気に関する部分で十分に楽しめた。

今回の本:教祖の作りかた 著 真梨幸子 幻冬社 2024

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