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『ラ・ラ・ランド』で踊れない

 最近、友人の勧めでpodcastにハマっている。中でもTBSラジオ『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』に大爆笑。オーバー・ザ・サン、オーバーザサン、オバサン・・・というわけでOVERな(?)オバサントークが炸裂。30代半ばくらいで「生まれたてのオバサン」になれるようで、「オバサン」としての人生の先輩方の無敵の集合知にウキウキしてしまう。歳とるって楽しいよね。

 その中のEp.12で「ラ・ラ・ランド」からの「な・な・なんで」が「マ・マ・マジで」なトークがある。

 それによると、映画『ラ・ラ・ランド』は、観て号泣する人としない人に別れるらしいのだ。恋愛経験や夢を追う経験を重ねた方は、グッときて最後の5分で走馬灯がグールグル回っておかしなテンションになり号泣ののち、自身の経験談を告解せずにはいられなくなるらしい。なにそれこわい(個人の見解です)

 私…走馬灯あんまり回らない勢でした…

 文学少女な義母はめちゃくちゃグッときたようだし(感受性が豊かすぎて多くを語ってくれない)、義弟なんかは「自分は夢を追ってこなかったんだな」という角度からグッと刺さったようなのだが、私は「感動はしたし、いい映画だと思うけど順当なラストって感じ」。夫は、「ある程度自己実現できてる状態で観たからよかったけど、不安定な身分で観てたらしんどかったかも」と。

え、こんなに人によって感想別れる映画ある?!こわ!
 とひとしきり盛り上がった。

 だってあれ以外のラストないじゃないですか。あーこの人と付き合い続けてたらこんな人生あったかもな〜、からの、「うん、ごめん、なかったわ」という納得。そしてそれぞれの人生に還っていく〜FIN. 
 あの時のあの選択があったから、夢を叶えた今がある。(っていうかそもそも、あの二人がどうして惹かれ合い好き合ったのかイマイチわからない。あと、オーディション会場での突然の自己開示&叔母エピソードが全然意味わからない。)

トゥントゥントットゥ トゥントトゥントゥットゥ♪ 

 というテーマ曲?だけがクルクル回っている。(わかって)

 私は恋愛経験豊富でもなければ、大きな夢を追った経験もないが、そこそこの夢を持って着々と成し遂げてきた。これ以外の人生なんか1ミリもなかったし、自分はよくやってきたと心底思う。最悪、今死んでも悔いのない程度にはどっこい生きている。納得できるまでやるし、やらないこともちゃんと腹を決めてきた。自分的にはおもしろい人生だ。それが『ラ・ラ・ランド』で号泣できない勢であることにつながってしまっているのかもしれないけど。

 基本的にこういうスタンスなので、うつ病になった時はその「今死んでもOK」が崩れ、死ぬのが怖くなり、かといって残り30年も50年も生きるのも怖くなり、自分が何者でもないような気がして、ただただ崖っぷちに立たされたような恐怖感が続いてヤバかった。こんなに1秒が長いことってある?!って感じ。おかしかった。まさしく脳がバグっていた。

 そういう漠とした不安、恐怖、「何者にもなれない自分」みたいな感じの怖さって、それまで感じたこともなかったから。あー病気だったんだ、と今ならわかるけど、振り返っていつからうつだったかと問われると微妙で、もしかしたら長い産後うつだったのかもしれない(つまり5年くらいかけて悪化した)とすら思う。「何者にもなれない自分」が怖くてたまらない人は、スピリチュアルとか自己啓発とかに行く前に、一回うつ病を疑ってみてほしい。

 『ラ・ラ・ランド』ではまったく踊れない私だが、基本的には自分の人生けっこうしっかり踊っているほうだと思う。そうそう、ジェーン・スーのラジオ「生活は踊る」も聞かないとだわ。

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