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長編連載小説『サンキュー』第857話。

 俺は、結構、現金で、お金になる仕事しかしなかった。未だにそうだ。仕事と言えば、お金を吸い寄せるものだと思っている。実際そうで、ミステリー作家が、命を削って書き溜めたものは、必ず、お金にならないといけないと思っている。俺は、そのために、パソコンを小まめにチェックし、キーボードを点検し、ちゃんと、仕事ができるようにしているのだ。当たり前だった。はっきり言って、俺の商売は、客商売でも、一番、お金にならない類の仕事だから、はっきり言って、必死だった。俺にとって、命懸けなのだ。映子のルバンでの仕事も、きついものだったが、俺のそれは、それにも増して、きつい。それは、十分分かっていることだった。俺にとって、夜、仕事をして、いつの間にか、朝が来るのが、恋しいことだった。(以下次号) 

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篠﨑俊樹
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