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生成AI(NotebookLM)に小学1年生のAI活用教育を「壁打ち」する

メルマガ『谷和樹の教育新宝島』の特別対談で武藤久慶さんと
谷和樹先生が生成AIのガイドラインの話をされています。

武藤さんは次のように話されています。

ただ、例えば、AIについて言うと、ちょうど昨年の7月に、私自身、生成AIのガイドラインを作りました。堀田龍也先生にも、いろいろアドバイスいただきながら作りましたけれど、あれが実質的にはAIの部分の学習指導要領っぽい働きをしたと思うんですよね。そういうことは、これからもやっていくと思います。

【谷和樹の教育新宝島】年末年始特別対談 第4弾 谷 和樹×武藤 久慶 後編 |2025年1月1日発行

生成AIガイドラインといえば2024年12月26日にガイドラインのver2.0が出ました。

初等中等教育段階における生成 AI の利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)(令和6年12月26日公表)

このガイドライン【本体】の冒頭、次のように書いてあります。

本ガイドラインは、教職員や教育委員会等の学校教育関係者を主たる読み手として、学校現場に おける生成 AI の適切な利活用を実現するための参考資料となるよう、利活用に当たっての基本的な 考え方や押さえるべきポイントをまとめたものであり、学校現場での生成 AI の利活用を一律に禁止した り義務付けたりするものではない。

初等中等教育段階における生成 AI の利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)(令和6年12月26日公表)P.4

この「利活用に当たっての基本的な 考え方や押さえるべきポイント」が書かれていると言う点が「学習指導要領っぽい働き」と言うことです。
今後、AIを活用した教育を考える時の
「学習指導要領っぽい働き」を持つ文書として
たくさん「読みたい」「参考にしたい」文書です。

さて読むときは、ガイドラインがPDFなので
iPadに入れて読むことが多いです。
最近、教えてもらった Google NotebookLM
という生成AIがあります。

Google NotebookLM

NotebookLMは、Googleが提供するAIを活用した情報整理ツールです。大量の文書をアップロードすると、AIが自動で要約や重要なポイントを抽出してくれます。質問応答機能もあり、文書の内容に関する質問にAIが答えてくれます。ノートブックを作成して情報をまとめたり、他のユーザーと共有したりすることも可能です。論文や書籍の要約、議事録作成、調査研究、学習など、様々な場面で活用できます。

Geminiが生成した説明

要するにPDFでアップロードした書類などのデータ情報「だけ」を
基盤として回答や文章を生成してくれるAIです。

学習指導要領や
学習指導要領解説、
学校の教育課程
年間指導計画など
PDFで読み込むと
ネット情報ではなく、そのPDFを元に回答してくれます。
さらに、どの部分を回答の根拠にしたのか
引用リンクも貼ってくれます。

そこで、早速、「生成AIのガイドライン」の本体PDFを
NotebookLMにアップロードしました。

あっという間に学習してくれます。
その後、AIにチャットで質問します。

「小学校1年生で情報活用能力を高める初歩的なステップとしてAIを活用したい。そのアイデアを書き出して」

するとあっという間に回答してくれました。

NoteBookLMの回答

NoteBookLMの回答
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小学校1年生で情報活用能力を高めるためのAIの活用について、具体的なアイデアを以下に示します。

  • 生成AIとは何かを学ぶ:

    • 情報モラル教育の一環として、生成AIが生成する誤りを含む出力を教材として使用し、その性質や限界に気づかせます。

    • 教師が生成AIとの対話内容を提示することで、基本的な事項を学び、体験を積み重ねてAIに対する冷静な態度を養います。

  • AIと対話する体験:

    • 教師のサポートのもとで、生成AIと対話する体験をします。例えば、AIに質問をして、その回答から情報を引き出す練習をします。

    • AIに簡単な質問をして、その答えを一緒に確認することで、AIがどのように情報を提供するかを学びます。

  • 情報収集と整理の初歩:

    • 簡単なテーマ(例えば、好きな動物など)について、AIに質問をして情報を集めます。

    • 集めた情報を簡単な図や絵で表現し、整理する練習をします。これにより、情報をどのように整理し、表現するかを学びます。

  • 情報モラルの基礎:

    • 生成AIの出力が常に正しいとは限らないことを教えます。

    • AIが生成した情報を鵜呑みにせず、自分で考えることの重要性を伝えます。

    • インターネット上の情報をすぐに信じるのではなく、様々な資料と照らし合わせたり、自分の経験を基に考えることが大切であることを理解させます。

  • AIを活用した学習活動の例:

    • 物語の作成: AIに物語の導入部分を作ってもらい、それを基に子供たちが物語を完成させる。

    • 絵の作成: AIに簡単な絵のテーマを与え、AIが生成した絵を参考に、子供たちが自分の絵を描く。

    • 外国語学習の導入: 外国語の挨拶をAIに教えてもらい、それを真似して発音する練習をする。

  • 注意点:

    • 小学校低学年では、教師が中心となってAIを導入し、安全に利用できるように配慮する必要があります。

    • 個人情報保護に十分配慮し、AIに個人情報を入力させないように指導します。

    • AIに依存しすぎず、子供たちの主体的な学びを促すように指導します。

    • 生成AIの利用は、学習指導要領に示す資質・能力の育成に寄与するか、教育活動の目的を達成する観点から効果的であるかを吟味した上で利活用します。

これらの活動を通して、小学校1年生はAIを「道具」として使いこなし、情報活用能力の基礎を学ぶことができます。また、情報モラルについても初期段階から学ぶことで、デジタル社会での適切な行動を身につけることができます。
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それぞれの回答には、ちゃんと引用リンクがついています。

このアイデアをそのまま使うのではなく、
このアイデアを「手がかり」にして
授業を考えていきます。

教室の子供たちを思い浮かべ、
これいいな!と思うものは、さらに、チャットします。
アイデアを思いつくための「壁打ち」です。
私は次のようにチャット「打ち返し」てみました。

絵の作成: AIに簡単な絵のテーマを与え、AIが生成した絵を参考に、子供たちが自分の絵を描く。
これは、いいアイデアですね!もう少し詳しく書いて

するとさらに詳しく教えてくれます。
もちろん、ガイドラインの関連リンク付きです。

NoteBookLMの回答
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小学校1年生における情報活用能力育成のためのAIを活用した「絵の作成」について、さらに詳しく説明します。

  • 活動の目的:

    1. AIをツールとして活用し、子供たちの創造性や表現力を引き出すことを目的とします。

    2. AIが生成した絵を参考に、子供たちが自分自身のアイデアや感性を表現する力を養います。

    3. 情報収集能力の基礎として、AIから得られた情報を基に、新たなものを創造するプロセスを体験します。

  • 活動の手順:

    1. テーマ設定: 教師が子供たちに、絵のテーマを提示します。例えば、「海の中の生き物」「空を飛ぶもの」「おもしろい顔」など、子供たちが興味を持ちやすいテーマを選びます。

    2. AIによる絵の生成:

      • 教師がAIにテーマを入力し、AIに絵を生成させます。この際、複数のAIサービスを試して、多様な絵柄を提示するのも良いでしょう。

      • 教師は、AIが生成した絵が、子供たちにとって適切かどうかを確認します。不適切な表現が含まれていないか、テーマに沿っているかなどをチェックします。

    3. 子供たちによる絵の作成:

      • 子供たちは、AIが生成した絵を参考にしながら、自分自身の絵を描きます

      • AIの絵をそのまま模倣するのではなく、色を変えたり、形を少し変えたり、新しい要素を加えたりするなど、自由に発想を広げるように促します。

      • クレヨン、色鉛筆、絵の具など、様々な画材を使って、表現の幅を広げます。

    4. 作品の共有と発表:

      • 子供たちが描いた絵をクラスで共有し、互いの作品を見せ合います。

      • 自分の絵について、どのような点を工夫したかを発表させ、表現の意図を言語化する練習をします。

  • 活動における教師の役割:

    1. AIの操作をサポート: 小学校1年生にはAIの操作は難しいので、教師が中心となってAIを使用します。

    2. 創造性を刺激する: 子供たちがAIに頼りすぎず、自分で考え、表現する楽しさを感じられるように、様々な工夫を行います。

    3. 情報モラル教育: AIが生成した絵はあくまでも参考であり、自分のアイデアや表現を大切にするように教えます。

    4. 個人情報保護: 子供たちの個人情報をAIに入力しないように注意します。

    5. 著作権の教育: AIが生成した絵は、著作権法上の保護対象ではないですが、他の著作物を基に生成されている可能性があるので、注意が必要であることを教えます。

  • 活動のポイント:

    1. 小学校低学年の発達段階に合わせたテーマや活動内容を設定します。

    2. **AIはあくまでも「道具」**であり、子供たちの主体的な学びを促すことを意識します。

    3. 生成された絵の利用については、利用規約を確認し、著作権侵害にならないように注意します。

    4. 多様なAIサービスやツールを試すことで、AIの可能性を広げます。

    5. AIの出力が常に正しいとは限らないこと、また、AIが生成した情報にはバイアスが含まれている可能性があることを教えます。

  • 期待される効果:

    1. 情報活用能力の育成: AIを適切に利用し、情報を収集・活用する力を養います。

    2. 創造性・表現力の向上: AIをヒントに、自分らしい作品を作り出す楽しさを体験します。

    3. 情報モラルの育成: AIとの適切な付き合い方を学び、情報リテラシーを高めます。

この活動を通じて、小学校1年生はAIを身近な存在として捉え、情報社会で主体的に生きるための基礎を学ぶことができます。また、AIが生成した絵を参考にすることで、子供たちは新たな視点や発想を得て、自分自身の表現力を高めることができるでしょう。
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ちゃんと「注意すべき点」「著作権」「バイアス」「利用規約」など
教師が配慮すべき点が書かれています。
そして、これをこのまま使うのではなく、
この授業アイデアと「対峙」して授業を考えていきます。
谷先生監修のAIの本にも次のような文章が載っています。

AIはとても素晴らしい能力を持っています。
でも、結局のところ、それを使うのは人間です。
人間が操縦士なのです。
ですから、人間の知識や考え方、 意思決定こそが、 最後は大
切になります。
単に何かを調べさせたり、単に何かを作らせてそれをそのまま使ったりするのではなく、私たちの思考をより深める道具として使いこなしたいものです。

谷和樹監修『9歳から知っておきたい AIを味方につける方法』(マイクロマガジン社)


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