めくられなかったカレンダー
小説家というのは、常にネタを探しています。
友人との会話。何気なく見ていたテレビ。ニュース記事、自分の身に実際に起こったことなどなど。
何が次の作品のネタになるのかわからないので、小説家は常にアンテナを張っています。
私も常にアンテナを張っているのですが、そんな時あるニュース番組のドキュメンタリーが引っ掛かりました。
それが今回の記事のタイトルである「めくられなかったカレンダー」
2024年1月1日に発生した能登半島地震。
その被災者が約一年ぶりに自宅を訪れるというドキュメンタリーでした。
割れた瓦。ヒビが入り今にも崩れそうな外壁。傾き半壊している自宅を前に被災者の老人は絶望を隠せません。
かろうじて家の中に入ることができましたが、昔の面影はどこにもなく、とても住むことはできない。
杖をつき家族との思い出を探している老人が目にしたのが、壁にかかったカレンダーでした。
そのカレンダーの日付は『2023年12月』
「あの日めくろうと思っていたんだけど、めくるのを忘れて…」
子供や孫、家族で穏やかで忙しいお正月を過ごしているうちに忘れてしまったんでしょう。
老人がカレンダーをめくるとそこには『2024年1月』の日付が残されたままになっていました。
こういったドキュメンタリーだったのですが、十分小説のネタになるとは思いませんか?
背景や登場人物たちを少し工夫すれば、長編小説にできるくらいのポテンシャルがあります。
このように小説家は、5分程度のテレビ番組からでもネタを見つけ、それは物語に活かしています。
「この本のこの部分のネタ元は何だろう?」
こんなふうに考えて小説を読むと、また違った楽しみ方があるはずです。
ぜひ小説を読む際の参考してみてください。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。
小説家の川井利彦でした。