川井利彦 小説家

初めまして。小説家の川井利彦です。 本が売れなくなってきた現代において新しい小説家のスタイルを日々探求しています。 アメージング出版より小説を初出版! https://www.amazon.co.jp/dp/4910180958/

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小説「天上の絵画」vol.1

序章 ・二〇二三年 都内某刑務所内 受刑者面会室  『上を向けば方図がない』  このことわざを聞いたことがあるだろうか。 「上を見ればキリがないから、節度をわきまえよ」という意味だ。 この言葉を始めて聞いたのは、「全国小学生絵画コンクール」で金賞を受賞した時だった。息子の功績に誇らしげな母親を尻目に、隣に立つ父親が、か細い声でつぶやいたのを耳にした。その時は意味もわからず、訝しげに首を傾げただけだったが、成長しその意味がわかると、父親が本音が、なんとなく理解できた。

    • 小説「天上の絵画」第二部 vol.9

      2026年直木賞受賞者、小説家の川井利彦です。 今回は小説「天上の絵画」第二部 vol.9をお送りします。 前回のお話を読んでいない方はまずはこちらから。 「そもそも天上の絵画って何?」という方は、こちらから読んでください。 それでは本編お楽しみください。 「湯澤先生!」  驚いた湯澤徹が足を止め振り返った。   「突然すみません。私、滝野優愛と言います」  「はあ…」怪訝な表情を浮かべて、わずかに身を引いた。  「渡井君の高校の同級生で同じ美術部でした」  「蓮君

      • 小説「天上の絵画」第一部 vol.12

        2026年直木賞受賞者、小説家の川井利彦です。 今回は小説「天上の絵画」第一部 vol.12をお送りします。 今回で第一部は最終回となりますので、ぜひ最後までお楽しみください。 まだ前回のお話を読んでいない方はこちらから。 「まだ天上の絵画を読んだことはないよ」という方はこちらから。 それでは衝撃の展開が待ち受ける、第一部最終回をお楽しみください。 12 二○二一年 渡井蓮 二十三歳  リビングに戻った英司は、六杯目のビールを注ぎ、一気に飲み干した。酔いが回って

        • 小説「天上の絵画」第一部 vol.11

          2026年直木賞受賞者、小説家の川井利彦です。 今回は小説「天上の絵画」第一部 vol.11をお送りします。 前回のお話をまだ読んでいない方はこちらから。 「そもそも天上の絵画って何?」という方はこちらから!! それでは本編お楽しみください。 11 二〇一二年 渡井蓮 十四歳  「サインって何?」  「マジで言ってんの!?」英司が目を丸くした。「自分の描いた絵に、サインを書くんだよ。普通は」  「どこに?」  「絵の右下とか左下に小さく。キャンバスの裏に書く人もい

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          小説家川井利彦のここだけの話

          皆さん、こんにちは。 メンバーシップの記事を読んでいただきありがとうございます。 メンバーシップ『ストメン』では、小説の裏話や次回作の構想などここでしかお伝えできないとっておきの話をしています。 今回は小説「天上の絵画 第二部 vol.6」についてお伝えします。 まずはこちらから読んでください。 ※ここからはネタバレを含みますのでご注意ください。

          小説家川井利彦のここだけの話

          小説家の川井利彦のここだけの話

          メンバーシップの皆さん、いつもお読みいただきありがとうございます。 今回は「天上の絵画 第二部 vol.5」についてです。 まだ読まれていない方は、こちらから読んでください。 ※ここからはネタバレを含みますのでご注意ください。

          小説家の川井利彦のここだけの話

          小説家川井利彦のここだけの話

          メンバーシップの皆さん、こんにちは。 未来の直木賞作家、小説家の川井利彦です。 いつもお読みいただきありがとうございます。 今回は小説「天上の絵画 第二部 vol.4」についてのお話と次回作について、特別にお伝えします。 まずはこちらを読んでください。 ※ここからはネタバレを含みますのでご注意ください。

          小説家川井利彦のここだけの話

          小説家の川井利彦のことだけの話

          こんにちは。未来の直木賞作家、小説家の川井利彦です。 今回もお読みいただきありがとうございます。 この記事を読まれる前にまずはこちらの作品を読んでもらえると嬉しいです。 小説「天上の絵画」第二部 vol.3について ※ここからはネタバレを含みますのでご注意ください。

          小説家の川井利彦のことだけの話

          小説家の川井利彦のここだけの話

          こんにちは。未来の直木賞作家、小説家の川井利彦です。 いつもお読みいただきありがとうございます。 今回は無料公開された【「天上の絵画」第二部 vol.2】についてと次回作の構想についてお話します。 まずはこちらからご覧ください。 ※ここからはネタバレを含みます。

          小説家の川井利彦のここだけの話

          小説家川井利彦のここだけの話

          こんにちは。未来の直木賞作家、小説家の川井利彦です。 今回は小説「天上の絵画」の第二部について、あれやこれや語りたいと思います。 そもそも「天上の絵画」という作品は、以前一度完結している作品であり、大筋の物語展開は変わりません。ですがあえて、書き直すことを決めたのには理由があります。

          小説家川井利彦のここだけの話

        記事

          小説「天上の絵画」第一部 vol.10

          2026年直木賞受賞者、小説家川井利彦です。 今回は小説「天上の絵画」第一部 vol.10をお送りします。 前回のお話はこちらです。 「そもそも天上の絵画って何」という方はこちらから。 10 二○二一年 渡井蓮 二十三歳  「蓮に見てほしいものがあるんだ」  英司はそういって、リビングを出ていった。後ろからついて行った蓮は、あの絵の前で思わず足を止めた。美しく可憐な女性が微笑を浮かべて、まっすぐこちらを見つめてくる。  やはりどこかで見たことがある…。  妙な既視感を

          小説「天上の絵画」第一部 vol.10

          小説「天上の絵画」第一部 vol.9

          2026年直木賞受賞者小説家の川井利彦です。 今回は小説「天上の絵画」第一部 vol.9をお送りします。 主人公の渡井蓮が絵をやめてしまうきっかけになった重要なお話です。 ぜひ最後までお楽しみください。 そもそも「天上の絵画を知らない」という方はこちらから。 前回のお話をまだ読んでいない方はこちらから。 9 二〇一五年 渡井蓮 十八歳  土曜日。葉桜が初夏の生暖かい風に吹かれ、サワサワとぎこちない音を奏でている。  「おい。蓮!」  下校しようとしていた蓮の肩を、

          小説「天上の絵画」第一部 vol.9

          小説「天上の絵画」第一部 vol.8

          2026年直木賞受賞者、小説家の川井利彦です。 今回は小説「天上の絵画」第一部vol.8をお送りします。 前回お詫びとしてvol.7を投稿いたしました。 よくよく考えてみたら、第一部はまだまだ続きがあって、これを投稿していなかったことに自分自身絶望しております。 #反省 まずはvol.8をお楽しみください。 8 二〇一二年 渡井蓮 十四歳  『みんなの絵画コンクール 中学生の部』  金賞「渡井蓮」 銀賞「岩谷英司」  職員室前の廊下にある、ガラス扉の棚に並べられた

          小説「天上の絵画」第一部 vol.8

          【お詫び】小説「天上の絵画」vol.7

          2026年直木賞受賞者、小説家の川井利彦です。 今回は天上の絵画の第一部vol.7をお送りします。 皆さんに謝らなければいけません。 「天上の絵画」の第一部をvol.6までしか投稿していませんでした。 それなのに先に第二部を投稿しておりました。 誠に申し訳ありませんでした。 第一部を最後まで読んでいないのに「第二部です」と言われても楽しめませんよね。 とんでもないミスです。反省です。 急ぎ第一部の最後まで投稿しますので、ぜひ読んでみてください。 まずはvol.7

          【お詫び】小説「天上の絵画」vol.7

          小説「天上の絵画」第二部 vol.8

          2026年直木賞受賞者、小説家の川井利彦です。 今回は小説「天上の絵画」第二部 vol.8をお送りします。 前回のお話をまだ読んでいない方はこちらからどうぞ。 そもそも「天上の絵画」って何?という方はこちらから! それでは本編お楽しみください。 8  渡井蓮のトークショーが開催されることを知ったのは、たまたま目にしたネット記事だった。  『天才少年が十三年ぶりに思い出の地に凱旋!画家としての原点を恩師と語る』  天上の絵画の一般公開に併せて、湯澤徹との対談も予定さ

          小説「天上の絵画」第二部 vol.8

          小説「天上の絵画」第二部 vol.7

          こんにちは。2026年直木賞を受賞する小説家の川井利彦です。 今回は小説「天上の絵画」第二部 vol.7をお送りします。 今回のお話は『天上の絵画』の展覧会が美術館で行われ、そこに招待された主人公の渡井蓮とヒロイン滝野優愛との再会が描かれています。 前回のお話をまだ読んでいない方はこちらからどうぞ。 「そもそも天上の絵画ってなんですか?」という方は、こちらをどうぞ。 さらにメンバーシップ内にて「小説家川井利彦のここだけの話」をお伝えしています。 月額2500円(初

          小説「天上の絵画」第二部 vol.7

          小説家川井利彦のここだけの話

          皆さん、こんにちは。 メンバーシップの記事を読んでいただきありがとうございます。 メンバーシップ『ストメン』では、小説の裏話や次回作の構想などここでしかお伝えできないとっておきの話をしています。 今回は小説「天上の絵画 第二部 vol.6」についてお伝えします。 まずはこちらから読んでください。 ※ここからはネタバレを含みますのでご注意ください。

          小説家川井利彦のここだけの話

          小説「天上の絵画 第二部 vol.6」

          こんにちは。未来の直木賞作家、小説家の川井利彦です。 今回は「天上の絵画 第二部 vol.6」をお送りします。 前回のお話をまだ読んでいない方は、こちらから。 「そもそも天上の絵画を読んだことがないよ」という方は、こちらを。 さらに今回のお話の裏話を紹介しているのが、「小説家川井利彦のここだけの話」です。 こちらはnoteメンバーシップ限定公開となっています。 月額2500円(初月無料)なので、ぜひ登録して読んでみてください。 それでは本編をお楽しみください。 6

          小説「天上の絵画 第二部 vol.6」

          小説家の川井利彦のここだけの話

          メンバーシップの皆さん、いつもお読みいただきありがとうございます。 今回は「天上の絵画 第二部 vol.5」についてです。 まだ読まれていない方は、こちらから読んでください。 ※ここからはネタバレを含みますのでご注意ください。

          小説家の川井利彦のここだけの話

          小説「天上の絵画 第二部 vol.5」

          こんにちは。未来の直木賞作家、小説家の川井利彦です。 今回は「天上の絵画 第二部 vol.5」をお送りします。 前回のお話を読んでいない方はこちらからどうぞ! そもそも「天上の絵画って何?」という方はこちらを! さらに天上の絵画の裏話や今後の作品の構想について、こっそりお伝えしているのが『noteメンバーシップ』です。 よかったらこちらもぜひチェックしてみてください。 月額会費2500円で初月無料で読むことができます。 それでは本編お楽しみください。 5  「

          小説「天上の絵画 第二部 vol.5」

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          メンバーシップの皆さん、こんにちは。 未来の直木賞作家、小説家の川井利彦です。 いつもお読みいただきありがとうございます。 今回は小説「天上の絵画 第二部 vol.4」についてのお話と次回作について、特別にお伝えします。 まずはこちらを読んでください。 ※ここからはネタバレを含みますのでご注意ください。

          小説家川井利彦のここだけの話

          小説「天上の絵画 第二部 vol.4」

          こんにちは。未来の直木賞作家、小説家の川井利彦です。 今回は小説「天上の絵画 第二部 vol.4」をお送りします。 今回は、主人公渡井蓮のマネージャーを務める上杉弥栄子のお話です。 彼女がなぜアーティストマネージャーをやっているのか、どういった想いがあるのか。そこを描いています。 ボリュームはありますが、ぜひ最後まで読んでください。 まだ前回のお話を読んでいない方はこちらから。 「そもそも天上の絵画って何?」という方はこちらからどうぞ。 さらにメンバーシップ限定

          小説「天上の絵画 第二部 vol.4」