ブラックコーヒーの魅力。少しの時間とお金で大きな楽しみに
毎日のルーチンの中で、私たちが何気なく選ぶものには、時に特別な意味が隠れています。
毎日飲んでいるもの、仕事や作業で手放せないドリンクは、ありますか?
私は、コーヒーが好きです。
挽いてある豆にお湯をかけて入れる、ドリップコーヒーが好きです。
ミルクも砂糖も入れず、ブラックで飲むのが好き。
そのほうが、コーヒー自体の味や風味がわかるから。
ブラックコーヒーが好きです
以前はそうじゃありませんでした。
まろやかにクリーミーなミルクコーヒーや、ブラックに見えてほんのり甘い砂糖入りが好きでした。
今でも、飲みたいときには飲みます。
でも、基本はブラック。
そういっても、特別なことはそんなにしていません。
家でメインで飲んでいるのは、スーパーで買ってくる大袋の、UCCのレギュラーコーヒー(挽いてある豆)。(最近どんどん、お値段そのままに内容量が減っているのが悲しいのですが!)
そして、コーヒーを淹れるに使っているのは、買って10年以上経つコーヒーメーカー。
あとは、ドリップパック(封を切ってお湯を注いだらコーヒーが飲める、挽いた豆とフィルターがセットになったパック)を、持っていって仕事場で飲んでいます。
ブラックだと、ミルクや砂糖を持ち歩く必要がないので便利です。
「好き」って堂々といえるくらいコーヒーのことを知りたい
以前は、ミルクや砂糖を入れるのがいつものことでした。
あるとき、「私、結構コーヒー好きだな」と思ったんです。
朝食のあとで飲むか、仕事始めに飲むのがほぼ毎日で。
コンビニコーヒーも結構飲むな、と。
(とはいっても、人に好きっていえるほどでもない……)
「人に好きっていえるほどコーヒーが好き」とは?
コーヒー豆専門店で特別な豆を買ったり、コーヒーがおいしい喫茶店で、「私はこれが好き」と自分で飲む豆の種類を選んだりするような人のことだと思ってたんですね。
それでふと、(人に「コーヒーが好き」っていえるくらい、ちゃんとコーヒーのことを知ってみたい)と思ったんです。
で、なんでか、コーヒーの勉強をしようとしました。
「コーヒーの淹れ方の本でも読もうか?」と思ったけれど、そんなの実地で教えてもらったほうがいいじゃない?
で、いきなり、コーヒーの淹れ方・楽しみ方教室のようなものを探しはじめました。
探せばあるのが東京です。
ただしちょうど、コロナ禍で対面式の教室やイベントは、あっても中止されているのが多いころでした。
コロナ前まで、コーヒー教室をやっていたというコーヒーショップに足を運んで、コーヒー豆を買いがてら、「次の教室はいつ頃やるんですか?」と聞いてみました。
そうしたら、「あれはそもそも参加者が少なくてね。俺の話は難しいんだよ」と言います。
コーヒーとはそんなに高尚なものなのか!……と思っていたら。
「そもそもコーヒーの淹れ方なんて、好きでいいんだから。みんな『自分の淹れ方がおいしい』と思ってるだけで、正しい淹れ方なんてないんだ」と言います。
えっ、そうなの……!?
こっちの勝手な思い込みでしたが、日本の茶道、中国茶、紅茶、いずれも「こう淹れたらおいしいですよ」というのがあったので、コーヒーにもそういうのがあると思っていたのでした。
いや、日本茶、中国茶、紅茶だって、「こう淹れたらおいしい」だけで、思えばあとは好みの世界ですよね。
なぜ、正しい淹れ方があると思ってしまったのか。
で、気がついたんです。
そもそも、自分が好きなコーヒーの味を、私よくわかってないな……!
そこで、ブラックコーヒーを飲みはじめたわけです。
どんなコーヒーにもミルクと砂糖を入れていたら、甘くてミルキーな味になってしまいます。
それをやめてみよう。
そして、いろんなコーヒーを、たくさん飲んでみよう。
ちょっと時間とお金をかけて、あちこちでブラックコーヒーを飲んでみた
それから、意識してあちこちでコーヒーを飲むようになりました。
それも、「一番安いコーヒー」じゃないやつを飲んでみるようになりました。
喫茶店やコーヒーショップでも、一番お手頃なブレンドばかり飲んでいましたが、今はちょっと高い「モカブレンド」や「今日のコーヒー」も飲んでみます。
タリーズコーヒーで「今日のコーヒーはなんですか?……じゃあ、それにします」なんて言うわけです。
コーヒー豆専門店では、コーヒー豆の特徴と、コク・苦味・酸味・甘味などを星の数で示した表示を見て、わからないながらも選んで飲んでみます。
浅煎り・中煎り・深煎りも、行くたびに別のものを頼んでみたりもします。
そうすると、私はそんなに味に繊細な方ではないんですが、それでもブラックで何度も違うのを飲むことで、違いがわかってきます。
好みがわかってきます。
そうすると、なんかちょっと通な気分になりますね。
「私は、浅煎りコーヒーが結構好きみたい。でも今日はあえて深煎りを飲んでみるか」とか。
「温度によって、コーヒーの味って変わるんだな」とか。
「コーヒーが甘いって、本当だ! 甘味を感じる豆、あります?」とか。
「コロンビア」って、コーヒーの代名詞みたいになってるけど、やっぱり美味しいな! とか。
「スペシャルティコーヒー(特定の基準をクリアした高品質な豆)」は、味が澄んだようで、なるほどいいな! とか。
自分で作ってみて、「水出しコーヒーって、すんごくおいしいけど、時間もかかるし豆もたくさん使うんだな!」と納得して、外でもありがたく購入することようになったり。
そうして気づいたら、もう「人に好きっていうほどでもない」から、堂々と「私、コーヒーが好きです」と言えるようになってました。
……まあ、別にそんなこと言わないんですけど。
黙々と、日々飲んでいるだけですけどね。
いろいろ知ったら、もっと好きになる
「何かを好き」と思ったら、別に遠慮はいらない。
ただ、ちょっとでいいから時間とお金を、前より余分にかけて、自分の五感で体験して知ってみると、自分に返ってくるものが大きいなと感じています。
本で読んで学ぶのもいいですが、自分自身で体験したこと、身についたことはしっかり自分のものになります。
少しのお金と時間をかけて、ブラックコーヒーの深い味わいに触れることで、日々の生活に新たな楽しみが加わりました。
「好き」を少し探究してみたら、より自分自身を知ることにもなりました。
コーヒーがくれる何気ない特別なひとときは、これからも私の大きな楽しみです。
あなたの何気ない「好きなもの」にも、よく考えてみたらいろんな理由やストーリーが詰まっているかもしれませんね。