ホスファゲン機構と筋出力
こんにちは。私たちは普段、ATPをADPと無機リン酸に分解する過程で生じるエネルギーを用いて活動しています。
エネルギー(ATP)を供給する経路は※3つあり、
中でも最も供給スピードが速いものが今回のテーマ”ホスファゲン機構”(通称:ATP-PCr系)になります。
※クレアチンリン酸を用いるホスファゲン機構
糖質を用いる解糖系
脂質を用いる酸化機構
それぞれの機構は運動強度・運動時間に依存しています。
運動時間が短く運動強度が高いとホスファゲン機構が関与し、
運動時間が長くなり強度が落ちていくと解糖系の関与が増していきます。
長く継続的に出力する運動の際は酸化機構(有酸素性)で脂質をエネルギーとして用います。
クレアチンリン酸産生メカニズム
クレアチンの材料はグリシン・アルギニン(アミノ酸)になります。
グリシンとアルギニンから※グアニジノ酢酸が生成されます。
※この過程でオルニチンが放出
グアニジノ酢酸から※クレアチンが生成されます。
※この過程でSAホモシステインが生成
ざっくりとグリシン・アルギニンからクレアチンが生成される。
と覚えておけばOKです。
ATPを分解するとADPと無機リン酸に分解されると記述しました。
無機リン酸とクレアチンが結合するのに”クレアチンキナーゼ”(酵素)が機能します。
この働きによりクレアチンリン酸が生成されます。
クレアチン
クレアチンの体内貯蔵量は一般的な70キロの成人男性で平均120g(目安)、その※90%以上がクレアチンリン酸として筋肉内に貯蔵されています。
※残りは脳などに貯蔵され、別の用途に用いられる
糖質(グリコーゲン)の体内貯蔵量は約400~500g、脂質(体脂肪)に関しては数キロ~10数キロ貯蔵されています。
体内貯蔵量が少ないのがクレアチン、クレアチンリン酸の一つの特徴です。
具体的な栄養摂取と応用
ISSN(国際スポーツ栄養学会)の上記論文を参照すると
モノハイドレートで3-5g/日を摂取する事で、エネルギー供給としてクレアチンを使ったリン酸供給が最大化できると記載されています。
種類
加工方法によりいくつかの種類があり
最もメジャーかつエビデンスの裏付けがあるものが”モノハイドレート”になります。(一番安価)
ただ、貯蔵に時間が掛かり筋中でリン酸と結合しATP供給出来るまでには
半日~※数週間かかります。
※上記論文では3-4週間と記載されています。
糖質と一緒に摂取するべき
クレアチンも他の栄養素と同様、インスリンの反応により細胞内に運ばれます。血中にクレアチンが存在する状態ではエネルギーとして用いる事ができず細胞内でクレアチンリン酸として貯蔵しておく必要が有ります。
インスリンを分泌させるためには”糖質”を摂取する必要が有ります。
上記論文によると
5gのクレアチンと47-95gのグルコース(ブドウ糖)摂取で筋中のクレアチン、グリコーゲンの保持が促進されたと記載されています。
糖質量に関しては運動強度や時間、体格に応じて調節出来たら良いと思います。
クレアチンと電解質
輸送には電解質※(Na2:1Cl)が必要不可欠になります。
※Naナトリウムイオン Clクロール(塩素)イオン
また、クレアチンリン酸からADPにリン酸基を受け渡す際には一定以上のマグネシウム濃度が必要になります。
ミネラル不足、発汗の多い環境下での運動をする際はクレアチン摂取と共に電解質補給が必要になります。
厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準によると
ナトリウムの食事摂取基準は600㎎/日と設定されています。
※運動量や発汗量、年齢や体格により異なります
食塩換算すると1.5g/日となります。
殆どの方が1日1.5gの食塩を摂取していると思います。
マグネシウムの摂取量に着目してみると良いと思います。
食事摂取基準値
男性:400-420㎎ 女性:310-320㎎
※運動量や発汗量、年齢や体格により異なります
マグネシウムはただでさえ吸収効率の悪いミネラルになります。
カルシウム2:1マグネシウムで摂取する事で吸収効率の最大化を図ることが出来ます。
マグネシウムの摂取量に合わせてカルシウム量を調節してみて下さい。
とりあえず難しいこと考えずに一回3-5gをトレーニング終わりに糖質とプロテインと一緒に摂取してあげればOKです。
最後までご覧いただき有難う御座いました。
次回以降、糖質を用いる解糖系や脂質を用いる酸化機構についても投稿したいと思います。
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