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大胸筋と周辺筋肉
こんにちは。
今回は大胸筋についての記事になります。
筋肉の付着位置や走行、作用を覚える事でトレーニングの質向上に繋がると考えます。
今一度振り返ってみましょう。
起始・停止部
起始部
鎖骨部(上部):鎖骨の内側1/2下面
胸肋部(中部):第1~6肋骨と肋軟骨
腹部(下部):腹直筋鞘前葉の外側面
停止部
上腕骨大結節稜
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作用
鎖骨部:肩関節屈曲
胸肋部:肩関節内旋、水平内転
腹部:肩関節内転
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水平内転はベンチプレスやペックフライの様な動きになります。
筋膜
鎖骨胸筋筋膜を介して、小胸筋や鎖骨、胸鎖乳突筋や広頚筋と連結しています。
鎖骨の可動性に関わります。
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上記画像の薄い水色の部分が鎖骨胸筋筋膜になります。
また、大胸筋や小胸筋の繋がりは母子の方まで繋がっており、親指の屈筋群に関与します。
内側胸筋神経や外側胸筋神経が、正中神経と連結する事で親指(母子)や人差し指(指子)、中指の屈曲に関わります。
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指先まで繋がる事から、その途中である手首の疼痛が発生した際に大胸筋をリリースするケースもあります。
特徴
大胸筋の大きな特徴として、停止部で捩れが生じている事が挙げられます。
上腕骨(腕の骨)に向かって付着していますが、鎖骨部が下部、中部は真ん中、腹部が上部に付着しています。
肩関節を外転する事で捩れが解消し、効率よく筋繊維の収縮・伸張が可能になります。
すなわち、肩関節の水平内転が最も大胸筋が強く働く作用になります。
鎖骨部と肩関節可動域
大胸筋鎖骨部が拘縮する事で、鎖骨を上腕骨側に牽引する力が生じます。
その際の鎖骨の動きは下制+前方回旋(正確には回らない)が生じます。
肩関節を屈曲する際は鎖骨が後方回旋する必要がありますので、肩関節屈曲可動域の低下に繋がります。
内旋作用
大胸筋が生じさせる肩関節の内旋作用は、上腕骨頭が前方へ突出する形で行われます。
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同じ内旋作用を持つ筋肉として肩甲下筋が挙げられます。肩関節のインナーマッスル"ローテーターカフ"の一つですね。
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肩甲下筋による肩関節の内旋はスリップ内旋と呼ばれ、上腕骨頭がその場で内旋する動きになります。
肩甲下筋<大胸筋になり、前方突出を伴う内旋作用を繰り返し行う事で
肩関節前方脱臼や前方関節包痛に繋がります。
関節包とは骨を包み込むクッションの様な物です。
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肩甲下筋機能不全の弊害
肩甲下筋が機能不全になる事で、その他内旋作用を持つ小胸筋や烏口腕筋、上腕二頭筋等が代償的に働きます。
例えば小胸筋がガチガチに拘縮する事で
肩甲骨の前傾および下方回旋、外転を伴います。
要するに猫背の様な姿勢です。
腕上げ辛そうですよね。
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肩甲骨が上記の動きを行う事で、腕をスムーズに上げる事が困難になります。(後程詳しく記事にします)
結果として肩関節可動域低下や肩痛等が生じます。
また、前鋸筋の不活性や神経麻痺による機能低下も考えられます。
前鋸筋と肩甲下筋は密接してますので、片一方の機能不全に伴いもう片方も機能不全を招く事は容易に想像できます。
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前鋸筋は肩甲骨の上方回旋、外転に作用し、小胸筋とフォースカップルとして働きそれぞれの作用を打ち消し合い、肩甲骨の外転として機能します。
前鋸筋の機能不全は、更なる小胸筋の働きを強調しますのでますます腕は上がらなくなります。
肩甲骨が外転するという事は、菱形筋が引き伸ばされ伸張性の筋出力が生じます。
菱形筋は肩甲骨の下方回旋作用を持ちますので、これまた腕は上がらなくなります。
菱形筋が引き伸ばされパツパツに張る事で、脊柱が体の前面方向に押し出される様な形になります。
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すると、脊柱の湾曲が消失しフラットバック姿勢や、ストレートネックの原因に繋がります。
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具体的なアプローチ方法については後日、記事にしたいと思います。
是非チェックを宜しくお願いします。
終わり〜。