【インド】忘れられない旅・二人のインド人女性との出会い
インド🇮🇳プリー
1993年
僕の初めてのインドへの旅は1993年の夏。今から30年以上も前の話だ。ただこれが一生忘れられない旅となった。今でも昨日の事のようによみがえる、あの時出会った二人のインド人女性。
当時は、コルカタがまだ『カルカッタ』と呼ばれている時代だった…。
僕はまだまだ旅慣れしていない大学生。卒業旅行も兼ねた大旅行だった。好奇心だけは旺盛で、神戸から鑑真号に乗船し、上海港上陸以降は、香港・マニラ・バンコクとつないで、そしてメインディッシュこのカルカッタにたどり着いていた。
いく先いく先で接触するインドの方々によって、いい意味で、身も心もズタボロにされて、いわゆるインド式洗礼をしっかりと受けていた。
『インド人ハード過ぎる…僕にはつらい。』
街中にあふれる地べたを這って生きている人たち、市場に行けば四六時中まとわりつき買い物を迫るマーケットボーイたち、リキシャーに乗ろうとすれば100人ほどに囲まれ自分の取り合いとなり勝手に喧嘩を始める人たち。
これが、''人間の森''ってやつかあ。
奥深い森の中を彷徨うと、木々や枝に触れずには前に進めない。同じ様にここインドでは、人に触れずには前には進めない。そっと一人で散策、などあり得ない話しだ。聞いてはいたがなかなかDeepでWildな人たちだ。なんとかその森をかいくぐり、チャイ屋を見つける。道端でそっと腰を降ろしてジンジャーの効いたチャイをゆっくりと流し込む。この瞬間だけが、このカルカッタでの僕の唯一の救いになっていた。
そして、伝説の安宿ゲストハウス・パラゴンに戻る。身も心も疲れ果ててそのままベッドに倒れ込み一人うなだれていた。
そこへ、インド慣れした先輩バックパッカーがやって来て、声をかけてくれた。
『プリーでも行って、海を見てきたら?癒されるかもよ。』
プリー?どんな街?何の知識もない。よく分からないけどベンガル湾に面したいいところらしい。
戦況を打開したかった僕は、兎に角、プリーへ行って頭を冷やす事に決めた。
こうして、僕はプリー行きの列車に飛び乗っていた。
そしてこのカルカッタ発プリー行きの列車で、一生忘れられない''二人のインド人女性との出会い''があった。
僕の座席の前に座ってきたのは、16〜17歳ぐらいの女学生で、サリーを身に纏った可愛らしい感じの二人組だった。
インド人の女性と話すのは人生初。
今までは、カルカッタのツワモノたちと散々バトルしてきたが全部オトコだ。というか、オトコしかよって来ない。それも受動態ばかり。常に相手のペースで巻くし立てられるコミュニケーション方式にホトホト疲れ果てていた。こっちのペースで話したいのだが、中々インド人に対してはまだまだ経験値が僕には足りなかった。
二人の名前は、ププとムム。
清楚な笑顔の二人と僕は、プリーまでの約8時間、お互いの国や文化などさまざまな事を話すようになり、うち溶け会話に花が咲いた。
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