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📕「アンの愛情」朗読䌚ヒンメリワヌクショップ


今日取り䞊げる「アンの愛情」は
文藝春秋文庫「赀毛のアン」シリヌズの第䞉巻 
“Anne of the Island“
18
歳から22歳のアンを描いおいたす。

これたでのおさらい


おさらいしたすず、「赀毛のアン」はカスバヌト家の匕き取られた11歳のアンが成長し、4幎制倧孊で孊ぶ費甚が支絊される゚むブリヌ奚孊金を埗ながら、マシュヌの急死によっお進孊を諊め、アノォンリヌ村の教垫になるずころで終わり、二䜜目の「アンの青春」では若き教垫をずしお働きながら、同じく教垫になったギルバヌトず励たし合いながら、プリンス゚ドワヌド島をよくするために掻躍したす。


アンの愛情の背景

そしお、いよいよアンは愛する矎しいプリンス゚ドワヌド島を離れ、本土の倧郜䌚キングスポヌトのレッドモンド倧孊に孊びに行きたす。「アンの愛情」はここから始たりたす。


アンはすぐに新しい友達で生涯の友ずなるフィリパ・ゎヌドンず出逢い、熱心に孊び、女友達ず豪邞街にある小さな居心地の良い䞀軒家「パティの家」で共同生掻をはじめたす。

 明るいアンは誰からも奜かれ、幌銎染のギルバヌトや、埡曹叞のロむダル・ガヌドナヌをはじめ䜕人もの男性からも求婚されたす。
少女から倧人の女性ぞの階段を登るアンは、自分らしい生き方、自分の幞せな暮らしは䜕かを考えた䞊で、結婚に぀いおも真摯に考えたす。

さお、「アンの愛情」の舞台」぀いお少しお話したす。
キングスポヌトはノノァ・スコシア州の州郜ハリファックスです。

ノノァ・スコシアずはニュヌ・スコットランドずいう意味です。
ここはアンの生たれ故郷です。
アンが愛した墓地公園、
レッドモンド倧孊のモデルずなったダルハりゞヌ倧孊、
たたロむダル・ガヌドナヌず出䌚う海岞公園、
パティの家がある豪邞街スポフォヌド街などは実圚しおいたす。

レッドモンド倧孊のモデルずなったダルハりゞヌ倧孊 モンゎメリの母校でもありたす


スポフォヌト街にあるタバコ王のお屋敷


フィリッパ・ゎヌドンず出䌚った
墓地公園
本圓にある墓石が語られおいたす


ロむダル・ガヌドナヌに出逢い、
求婚も受ける海岞公園

最埌に「赀毛のアン」の源流であるケルトずキリスト教の融合に぀いおお話したす。
ご存じのずおり、
キリスト教は神ず子む゚スキリストず聖霊の䞉䜍䞀䜓が信仰の察象です。
キリスト教が入る前の歎史ずケルトの䌝説を倧切にするモンゎメリは
様々な劖粟を描いおいたす。
カスバヌト家、リンド倫人が信仰する長老掟教䌚の祭壇には
十字架に倧きな䞞い茪の぀いた独特なケルト十字をおいおいたす。

ケルト十字


19
䞖玀の新倧陞カナダを舞台にしながらも、
そこにはシェヌクスピアなどの英文孊、叀代欧州のケルト族、ケルト・キリスト教の䞖界、そしお、䞭䞖のアヌサヌ王聖杯䌝説も流れおいるのです。
束本䟑子先生は䞁寧に調べお、アンシリヌズを本栌的な文孊の高みぞず導いおくれたす。

束本先生の䞁寧な泚釈もあっお、䜕倍も楜しめたす。
ぜひお読みください。

朗読のCatsumiさん

30分ずいう時間の制玄があるので、ハむラむト䞭のハむラむトだけの
朗読です。

第二十章 ギルバヌト、語る



 

ちょうどそこぞ、ギルバヌトが果暹園を抜けお珟れ、アンは眉をひそめた。近頃では、圌ず二人きりにならないように心がけおいたが、
今、圌に぀かたっおしたったのだ。䞭略ギルバヌトは、アンず䞊んで䞞い石に腰をおろし、メむフラワヌを差し出した。
「この花を芋るずふるさずのこずや、孊校の懐かしいピクニックを思い出さないかい」
アンは受けずり、花束に顔をうずめた。䞭略
 P225 4行目〜16行目

 

「気持ちのいい倕方ね。今日は向こうのあの曲った朚の䞋に、癜いすみれが矀れをなしお湧いおいたの。たるで金鉱を発芋したような気がしたわ」
「君はい぀も金鉱を発芋しおいるんだよ」ギルバヌトは蚀った。
圌もたた䞊の空で。
「もっず咲いおいるか、芋に行きたしょうよ」アンはあせっお持ちかけた。「フィルも呌ぶわ、それから・・・」
「アン、今は、フィルも ã™ã¿ã‚Œã‚‚、どうでもいいんだ」
ギルバヌトは静かに蚀うず、アンの手を握りしめ、離さなかった。
「話があるんだ」
「蚀わないで」アンはせがむように叫んだ。「だめよ・・お願い、ギルバヌト」
「僕は蚀うよ。もうこのたたではいられないんだ。アン、がくはきみを愛しおる。きみもわかっおいるだろう。がくがどんなにきみを愛しおいるか、蚀葉では蚀えないくらいだ。い぀の日か、がくの劻になるず、玄束しおくれるかい」
「それは・・・できないわ」アンはみじめに答えた。「ああ、ギルバヌトったら・・・もう・・・䜕もかもぶちこわしお」
「がくのこずを少しも愛しおいないのかい」
「ええ・・・そういう意味では。友人ずしおは倧奜きよ。でも愛しおはいないわ」
「がくに垌望をくれないのかいい぀かがくを愛しおくれるず・・・い぀かは」
「無理よ、できないわ」絶望のあたり声が倧きくなった。「あなたを愛するなんお、絶察にできないわ・・・そういう意味では・・・ギルバヌト、二床ずこの話はしないで」
ふたたび沈黙が蚪れたそれはあたりに長く、あたりにいたたたれず、぀いにアンは顔を䞊げた。するずギルバヌトの顔は唇たで青ざめおいた。そしお圌の瞳はアンは身をふるわせ目をそむけた。そこにロマンチックなものなど䜕もなかった。求婚ずは、グロテスクか、あるいはぞっずするようなものでしかないのだろうか。ギルバヌトのこの衚情を、い぀か忘れられるだろうか。
「ほかに誰かいるのかい」最埌にギルバヌトは䜎い声でたずねた。
「いいえ・・・たさか」アンは䞀生懞呜になっお蚀った。「そんな意味で奜きな人は、䞀人もいないわ・・・䞖界䞭の誰よりあなたが奜きよ。ギルバヌト。私たち・・・これからも友達でいたしょう」
ギルバヌトはかすかな苊笑いをもらした。
「友だち友だちじゃ満足できないんだ。がくは、アンの愛がほしい・・・それなのにきみは、絶察に無理だずいうんだね」
「ごめんなさい、蚱しおちょうだい、ギルバヌト」アンはこう告げるのが、やっずだった。いったいどこぞ行ったのだろう。空想のなかでい぀も求婚者たちを断りあきらめさせた、あの粟錬されお優雅な受け答えの数々は。
ギルバヌトは力なくアンの手を離した。
「アンに悪いずころなど、䜕もないよ。きみは僕を愛しおる、そう思った時もあったけれど、がくの思いすごしだった、それだけのこずだよ。さようなら、アン」
 アンは郚屋ぞもどった。束の枝がかかる窓蟺の腰かけにすわり、泣きくずれた。蚈り知れないほど貎重な䜕かが、人生から消え倱せた気がした。それはもちろんギルバヌトずの友情だった。それをなぜこんな圢で、倱わねばならないのだろう。
「ハニヌどうしたの」月倜の薄明かりの䞭ぞ、フィルが入っおきた。
アンは答えなかった。このずきのアンはフィルが千マむル圌方にいればいいのにず思った。
「ギルバヌト・ブラむスを断っおきたんでしょう。銬鹿ね、アン・シャヌリヌ」
「愛しおもいない人の求婚を断るのが、銬鹿なの」無理矢理、答えさせられたアンは、冷ややかに蚀った。
「アンたら、自分の目で愛を芋おいるのに、わからないのね。愛ずはこういうものだず想像の䞭で創りあげお、珟実の愛もそんなふうに芋えるはずだず思いこんでいるのよ。この私が、生たれお初めおたずもなこずを蚀ったわ。どこからひらめいたのかしら」
「フィル」アンは頌んだ「お願いだから出おいっお、しばらく䞀人にさせお。私の䞖界はひっくり返っお、粉々になったの。それを立お盎したいの」
「ギルバヌトのいない䞖界を」そう蚀っおフィルは出おいった。
ギルバヌトのいない䞖界 アンは、その蚀葉を愁い顔でくり返した。
それはあたりにわびしく、荒涌ずした䞖界ではないだろうか。ああ、すべおギルバヌトがいけないのだ。圌が矎しい友情を台なしにしおしたった。これからは、圌ずの友情なしで生きおいくすべを身に぀けなければならないのだ。
P 行目〜P 行目


アンは他にも䜕人もの男性からプロポヌズされたす。
ギルバヌトの求婚を断った埌
アンに、運呜的な出䌚いが蚪れたす。その盞手はロむダル・ガヌドナヌ。
 

背が高く、矎男で、ひずきわ䞊品な顔立ち黒々ずしお愁を含んだ謎めいた瞳、心ずろける音楜のような感じのいい声そしおガヌドナヌ家ず蚀えばノァスコアシアで䞀番裕犏で ç”±ç·’ある貎族の家柄 文章補足
たさにアンの倢描いおきたヒヌロヌが、生身の肉䜓をたずい、目の前に立っおいたのです
P 行目〜行目


アンはあっずいうたに恋に萜ち
ロむず二幎間付き合いたす
ロむはアンずの結婚を考えおいたした。
卒業の頃、孊校䞭でロむずアンの婚玄が間近ではないかず噂になっおいたした。

第䞉十八章 停りの倜明け


 

枯の芋える海岞の小さなあずたやで、ロむはアンに結婚を申し蟌んだ。二人が初めお出䌚った雚の日、蚀葉を亀わした堎所だった。圌がここを遞んだ心づかいを、アンはロマンチックに感じた。プロポヌズの蚀葉はうるわしく䞭略非の打ち所がなかった。真心もこもっおいた。ロむが本気で蚀っおいるのは疑いようもなかった。矎しい調和を乱す軜率な蚀葉づかいもなかった。アンは、自分が頭から぀た先たでずきめいおいるはずだず思った。だがそうではなかった圌女は恐ろしいほど冷静だった。ロむはアンの答えを埅った。アンの唇が、運呜を決めるむ゚スを蚀わんずしお開いた。
 その時アンは自分がふるえおいるのに気づいた、断厖からよろめきながら埌ずじさりでもするように、ふるえおいた。䞀筋のたばゆい光がひらめいお、これたで生きおきた歳月に孊んだ以䞊のこずを䞀瞬に悟るこずがあるがたさしく、その瞬間がアンに蚪れた。圌女は、ロむからわが手を匕き抜いた。
「私、結婚できたせん・・・無理です。・・・できたせん」アンは激しく叫んだ。
P 行目〜行目 


アンはこの時ようやく、ロむを愛しおいないこずに気づいたのです

 

第䞉十九章 結婚話


グリヌンゲむブルズぞ戻っおからの数週間、人生には、倧きな喜びの埌に倱望が蚪れる自然の法則があるのではないかず、アンは感じおいた。パティの家の愉快な仲間たちが恋しかった。この冬の間、たばゆい倢をいく぀も思い描いおいたが、それが今や圌女の呚りで朜ち果おおいた。ず蚀っお自己嫌悪に苛たれおいる珟圚の心境では、たたすぐに新しい倢を远いかける気にもなれなかった。そしおアンは気付いたのだ、前途に倢のある孀独は茝かしいが、倢の倱われた孀独は空しいものだず。
P 行目〜行目 
 

 

 傷心しおいるアンに、䞍意を぀いたようにデむビヌの悪気ない䞀蚀からギルバヌトが重い病で死にかけおいるこずが知らされたす。
狌狜しお気を倱いそうなアンに本圓のこずを䌝えるべきず考え、
リンド倫人は腹を決めお䌝えたした。

第四十章 倩啓の曞

 ã€Œæœ€åˆã‹ã‚‰å®¹äœ“が悪くお、ひどく衰匱しおいるずお医者も蚀っおね。正芏の看護婊を雇っお、打おる手はすべお尜くしたんだよ。アン、そんな顔しないでおくれ。呜さえあれば望みはあるからね」
P 行目〜行目



圌方の海岞では倧波がくだけ、雷鳎のごずき ãšã©ã‚ãã«ç©ºæ°—が震えおいた。そしお今、ギルバヌトは死の淵をさたよっおいるのだ
 聖曞に倩啓の曞があるように、誰の人生にも、倩啓の曞がある、アンは、倧嵐ず挆黒の闇のなか、苊悩に䞀睡もしなかったこの痛恚の倜、倩の啓瀺を受けたのだった。私はギルバヌトを愛しおきた それが今、わかったのだ。自分の右手を切り取っお投げ捚おられないように、自分の人生から、苊痛を芚えずにギルバヌトを切り離すこずなど䞍可胜だ。だが気づくのが遅すぎた息を匕きずる圌の枕元で、私は苊い慰めを埗るこずすら、もう間に合わないのだ。自分がこれほどかたくなでなければ、あんなに愚かでなければ今頃ギルバヌトの元ぞ行けただろうに。ギルバヌトは私が愛しおいるこずを知らずに私に奜かれなかったず思いながら、この䞖を去っおいくのだ。ああ、私の前には、垌望のない空しい歳月が続くだろう アンは窓蟺にうずくたり、朗らかな若者の生涯で、初めお自分も死にたいず願った。ギルバヌトが、䞀蚀の蚀葉も、身振りも䌝蚀さえも残さずに自分から去っおいったら、私は生きられないだろう、圌がいなければ、䜕もかも無意味なのだ。私は圌のものだ、圌もたた私のものだ、それを苊悩の底で、アンは確信した。ああ、私はなんず愚かだったのだろう。昔からギルバヌトず自分を結んでいた ããšãªã«æ°—づかなかったロむ・ガヌドナヌぞのいい気な
うぬがれを愛だず思い蟌んでいた。そしお今は、私は、眪を眰せられるように自分の愚かしさの代償を支払わなくおはならないのだ
P374 16行目〜P375 17行目



䞀晩䞭続いた嵐も収たり、東の䞘の頂が真玅色ルビヌ色に染たった。
倜明けずずもに庭に出たアンは、偶然通り掛かったギルバヌトの叔母の蟲堎で働くパシフィヌクから「ギルバヌトが病の峠を越えたこず。回埩に向かっおいるこず」を聞き出した
 

 アンは柳の䞋に立ち぀くし、深刻な恐れが去ったあずに蚪れる
人生の匷烈な甘矎を味わっおいた。その朝は、もやず神秘の矎に満たされた幞犏の杯のようだった。傍らの䞀角には珠のごずき朝露をのせた薔薇の花々が新しく咲き開き æµã¿ã®é©šãã‚’アンにもたらした。頭䞊の倧枝に小鳥たちが歌い、さえずりは流れ、アンの心情に調和した。実に叀く、実に真実にしお、実にすばらしき曞物の䞀文が、アンの唇に浮かんだ。
「たずえ倜もすがら泣こうずも、朝ずずもに歓びが蚪れる」
 
P 行目〜行目

第四十䞀章 愛は砂時蚈を持ち䞊げる 


ギルバヌトが蚪れるずアンは圌を埅ち受けおいた。
アンは倜明けのようにすがすがしく、星さながらに矎しかった。圌女は緑のドレスをたずっおいた ãƒŒãƒ¬ãƒƒãƒ‰ãƒ¢ãƒ³ãƒ‰ã®æ­“迎䌚で、ギルバヌトがずりわけ奜きだず蚀った叀い服だった。
その緑は、アンの髪の豊な色合い、星のごずき灰色の瞳、アむリスのようにきめ现かい癜い肌を匕き立おおいた、ギルバヌトは、森の朚陰の小道を歩みながら、暪目でアンを芋やり、こんなに愛らしい姿は芋たこずがないず思った。アンも、ずきおり目のはしで圌を芋ながら、病気をしお、ギルバヌトはなんず倧人びたのだろうず感じた。少幎時代が氞遠に去ったようだった。
よく晎れた日で、道ゆきは矎しかった。䞭略
遠いあの日、ダむアナ、ゞェヌン、ルビヌず四人で、倢のようなピクニックに出かけお、この庭を芋぀けたずきず倉わらぬ矎しさだった。あの日は氎仙ずすみれが咲き乱れおいたが、今は、秋のきりん草の花が、劖粟の束明を立おたようにすみずみに茝き、アスタヌの青い花が庭を点々ずいろどっおいた。癜暺の谷間から森を流れる川のせせらぎは昔ず倉わらぬ魅惑の声で呌びかけ、やわらかな空気には海からの朮隒が、かすかに響いおいた。さらにかなたぞ目をやるず、幟倏もの陜を济びお銀灰色にあせた朚柵に囲たれた牧草地が広がっおいる。
遠くぞ぀らなる䞘は秋の雲が圱を萜ずし、西颚がそよ吹き懐かしい倢が蘇っおきた。
 アンは静かに蚀った。「『倢がかなう囜』それは遠くの青いかすみになかでしょう、あの小さな谷にむこうの」
「アンに、かなわない倢などあるのかい」ギルバヌトがたずねた。
その声には䜕かヌパティの家の果暹園での、あの胞の痛む倕暮れより聞くこずのなかった響きがありヌアンの心臓が高鳎った。だが圌女はさりげなく答えた。
「もちろんよ。誰だっおそうよ。倢がすべおかなう人はいないわ。それに倢を芋るこずがなくなったら、人は死んだも同然よ。ああ、なんおいい銙りでしょう。傟いおいく西陜がアスタヌず矊歯を照らしお、匂いが立ちのがっおいるわ。匂いは、かぐだけでなく、目にも芋えたらいいのに、きれいでしょうね」
だが、ギルバヌトは、ここで話をそらされたりはしなかった。
「がくには䞀぀の倢があるんだ」ゆっくりず蚀った。
「かなうはずがないず、いくども思いながら、それでも胞に抱き続けおきた。がくはある家庭を倢芋おいるんだ。暖炉に火が揺らめき、猫ず犬がいお、友の蚪れる足音が響き・・・そしお、きみがいるんだ」
 アンは答えようずしたが、蚀葉が芋぀からなかった。幞犏の波が抌し寄せ、こわいほどだった。
「二幎ほど前、がくはきみのある質問をしたね、アン。もしも今日、たた同じ問いかけをしたら、ちがう返事をくれたすか」
アンはただ䜕も蚀えなかった。しかし数えきれぬ過去の人々ず倉わらぬ愛の陶酔に茝く目をあげお、しばし圌の瞳を芋぀め返した。その答えでギルバヌトは充分だった。
 二人は、叀びた庭を黄昏が芆うたで、垰りがたい思いでずどたっおいた。それぱデンの園の薄暮もかくありき、ずいうほど矎しい倕暮れだった。話題も、远想も尜きなかったヌヌ二人が語ったこず、したこず、聞いたこず、思ったこず、感じたこず、そしお誀解しおいたこず。䞭略
「きみに愛せないず蚀われおから、しばらくは䜕もかも、どうでもよかったんだ。他には誰もいなかった・・・がくには、きみしか考えられなかったんだ。アンが孊校でがくの頭に石板を打ち぀けお割ったあの日から、ずっずきみを愛しおいたんだ」
「よく愛し続けるこずができたわね。私ったら、あんなにお銬鹿さんだったのに」
「ああ、あきらめようず努力したよ」ギルバヌトは玠盎に打ち明けた。
「きみをそんなふうに思ったからではなく、ガヌドナヌがあらわれお、がくにはチャンスがないず思ったんだ。でもあきらめられなかった。・・・この二幎間が、がくにずっおどんなものだったのか、蚀葉に぀くせないくらいだよ。きみはガヌドナヌず結婚するず思っおいたし、毎週のように、お節介な連䞭が、アンの婚玄発衚は間近だず蚀うんだ。それを信じおいたんだよ。熱が䞋がっお起きられるようになった、あの幞せな日たでは。フィル・ゎヌドン・・・今はフィル・ブレむクだね・・・圌女から手玙が来お・・アンずロむは䜕でもないから、『もう䞀床、詊しおみろ』ず曞いおあったんだ。それからずいうもの、がくがみるみる元気になっお、「医者も驚いおいたよ」
アンは笑い、それから身ぶるいした。
「あなたが死んでしたうず思った倜のこずは忘れなれないわ。あのずき、自分の気持ちに気づいたの・・・そのずき、わかったのよ・・・でも、間に合わないず思った」
「間に合ったんだよ、愛しい人。これですべお報われたんだ。今日の日を、倧切な䞀日ずしお、生涯、倧切に守っおいこう。がくらに莈り物をくれたのだから」
「今日は、私たちの幞せの誕生日ね」アンは優しい声で蚀った。
「ぞスタヌ・グレむのこの叀い庭は前から奜きだったけれど。これからはもっず愛しい堎所になるでしょう」
「だけどアン、長く埅っおもらうこずになるよ」ギルバヌトは申し蚳なさそうに蚀った。
「これから医孊郚を終えるたで䞉幎間。しかも䞉幎経っおも、ダむダモンドの宝石も倧理石のお屋敷もないんだよ」
アンは笑った。
「宝石も倧理石のお屋敷もいらないわ。あなただけがほしいの。こうした点にかけおはフィルも同じくらい垞識はずれなのよ。宝石も倧理石のお屋敷も、すばらしいでしょうけれど、ない方が『想像の䜙地』が広がるわ。それを持぀こずは䜕でもないわ。その間も私たち、幞せなのよ。お互いのために埅っお働くの・・・そしお倢を思い描くのよ。これからは、いろいろな倢も、甘いものになるのね」
ギルバヌトはアンを抱き寄せ、口づけをした。愛の婚瀌の囜にお戎冠された王ず王女は今たでで最も矎しく咲いた花々にふちどられた曲ゆく小道をたどり、垌望ず远憶をふくんだ颚がそよ吹く、懐かしい草地をこえお歩いおいった。
P 行目〜P 行目。


束本䟑子さんのあずがきから


嚘盛のアンは、倚くの男性から求婚されたす。もっずも、未だに恋の恋する幎頃のアンは異性にも、求愛にも珟実離れした甘い幻想をいだいおいたす。理想の男性像ずプロポヌズの蚀葉は、なんずも少女趣味で、たた麗麗しいものです。そうした女の子らしい幌さ、初々しいはにかみの䞀方で、アンも同玚生の女子孊生たちも、幎若い嚘ならではの春のおごりずうぬがれも、そなえおいたす。
ギルバヌトからの求愛、埡曹叞ロむダル・ガヌドナヌずの出逢いず亀際などアンが様々な人物ずの亀流を通しお傷぀いたり泣いたり、逆に盞手を傷぀けたりしながら、本圓の自分を理解するようになり、自分にずっおの幞犏な暮らしずは䜕か、䜕が自分の人生にずっお倧切なのかを悟っおいく。これは誰もが通る倧人ぞの道すじであり、こうしおアンも倧人になっおいくのです。
P458 5行目〜14行目
本䜜には、アンが生家に行く印象的な゚ピ゜ヌドがありたす。
生たれおすぐに䞡芪ず死に別れ、父母の顔さえ知らずに育った子䟛の頃のアンは、自分は芪のいないみなし子だずいうよるべなさず孀独を芚えおいたした。そんなアンが、ありし日の䞡芪が、堅実な家庭を持ち、仲睊たじく暮らした家を蚪れ、母が自分を産んでくれた人生の出発点ずなる郚屋に入り、母の魅力的な人柄がしのばれる手玙を読み、手曞きの筆跡に觊れお、自分の父ず母が確かにこの䞖に生きおいたこずを初めお実感したす。そしお自分より若かった母が自分を心から愛しおくれたこず、短い呜を立掟に生きたこずを知るのです。アンは自分はもう孀児ではない、やっず父ず母に出䌚ったのだずフィルに語りたす。
生家をその目で芋たアンは、自分の人生の出発点が、朝日の茝きず愛ず祝犏に満たされおいたこずを悟りたす。それは自分の人生を力匷く肯定するために必芁䞍可欠なプロセスであり、これもアンが倧人になるための倧切な経隓だったず蚀えたしょう。
P459 12行目〜P466 6行目

誰よりも君を愛す

メむフラワヌはツマトリ゜り耄取草ず蚀われおいたす。

「誰よりも君を愛す」ずいう花蚀葉を持぀メむフラワヌ。
村岡花子先生は「さんざし」ず蚳したした。
星の圢をした小さな花メむフラワヌをギルバヌトはアンにそっず捧げた
あの日から、アンの行動に振り回されおもめげずに
初恋を貫いたギルバヌトに拍手


「赀毛のアン」は少女小説のように思われがちですが、
実は本栌的な倧河小説です。
次回もお楜しみに


ヒンメリワヌクショップ

倏らしい颚鈎のヒンメリ。
3回目ずなるず少し難しいヒンメリに挑戊。

この日のためにCatsumiさんは
無蟲薬で育おられたラむ麊を甚意しおくれたした。
「ラむ麊畑で぀かたえお」を
思い出したすね。

みんなで 和気藹々ず楜しく䜜成したした。


みんな真剣


よくできたした  photo by hiroko


                                                                                phpto by hiroko

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