読書感想文#3 「永遠のゼロ」 著者:百田尚樹
映画化もされ、日本を代表する作家の一人、百田尚樹のデビュー作でもある、「永遠のゼロ」を読んだ。
僕は、戦争をテーマにした書籍や映画をどういう訳か、敬遠したきたのだが、自分の知見を広めたいという最近の価値観の基、手を出してみた。
本作は、第二次世界大戦で、ゼロ戦搭乗員としてアメリカと戦った主人公の祖父に焦点を当てた小説である。
構成はシンプルで、戦時中に主人公の祖父と縁があった人々を主人公が訪ね歩く。彼らのエピソードトークを通して、主人公の祖父の人物像や搭乗員としての能力を明らかにしていくという構成である。
使い捨ての駒として招集され、実質の死刑宣告を受けながらも、勇敢に闘った戦闘員たちのメンタリティに鳥肌が立った。
一方で、今の自分たちの生活とはかけ離れすぎている分、第二次世界大戦を経験していない分、彼らの気持ちに思いを馳せることは難しいと感じた。
誰かのために死ぬなんて真剣に考えたことがないし、今の自分からは、彼らのような男気溢れる言動が出てくるとは思えない。
だから、僕は戦闘員や特攻隊員たちへの感情移入をすることができなかった。
第二次世界大戦は伝承していくべきだと思うし(自分はそれほど知識があるわけではないけれど)、学校で子ども達に平和教育を行うことは大切だとも思う。
でも、現在の生活とはかけ離れすぎているため、当時のリアルを実感しにくい。
ここが、平和教育の難しいところなのではないかと、「永遠のゼロ」を読んで感じた。
なんだか話が飛躍してしまったけれど、本作は、そこらへんの歴史書よりも、第二次世界大戦のリアルを体験できる貴重な一冊であると思った。