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【課題解決】中小製造業の技術経営 顧客発の技術革新の増大

中小製造業の商品開発を伴走・支援 TECH-TOSHIです。

今回は、「中小製造業の技術経営」から、『顧客発の技術革新の増大』について、ご紹介します。


1.ポイント

内容は、

モジュラー型産業の中で、特に顧客発の技術革新は加速し易い

でした。

 顧客発イノベーションの、主な論者のヒッペルは主張する。

 ユーザー中心のイノベーション・システムは、メーカー主体のイノベーション・システムに対して、大きな優位性を持っている。ユーザーは、機能面での新しさを持ったイノベーションを起こす傾向がある。というのも、こうした開発にはユーザー側のニーズと利用状況に関する情報を大量に必要とするからである。

 さらに、ソフトウェアとハードウェアの着実な進歩、イノベーション用の簡便なツールや部品が入手しやすくなっているという環境から、ユーザー自らイノベーションを起こす能力は急激かつ急速に進歩している。
 メーカー中心のイノベーションは、依然として有効であるが、リード・ユーザー中心のイノベーション・パターンの重要性はますます高まっている。

 上記の指摘について、
モジュール化や付加製造技術やICTの急速な普及とともに適合する範囲が増大している。具体的には、3Dプリンタとレーザ加工機の低価格品の普及で、少量の試作品であれば、一般消費者でも製造が可能となった。

 上記顧客発の技術革新の進展は、中小製造業でも見られる。部品加工メーカーが工作機械メーカーに改善提案を活発に行っている。

 モジュラー型産業の中で、特に顧客発の技術革新は加速し易いので、この産業アーキテクチャのサプライチェーンに入っている中小製造業は、特にこの動向には留意しなくてはならない。

 さらに中小製造業が顧客になる工作機械、設備、材料関係でも、自社内で改良・改造・内製化し、その場合には対外秘でブラックボックス化を図り他社との差別化で競争優位を構築している例も多いので、ノウハウに関する技術情報の管理と顧客ニーズへのアクセスルートの拡大や感知度を高める取り組みが従来よりも重要となってきている。

出所)鈴木(2019).『中小製造業の技術経営』.P295-296.同友館

2.気づき

 気づいたことは、

少なくとも試作は、ユーザーにとってやりやすくなった』 

です。

3.解決策

 鈴木(2019)は、

「3Dプリンターとレーザー加工機の低価格品の普及で、少量の試作品であれば、一般消費者でも製造が可能となった。」

と述べています。

 確かに、3Dプリンターは、2010年代前半に価格が下がったことからも普及しだし、頻繁にサンプル作成に活用しました。

 先日、とある、3Dプリンターで試作から量産金型製作の事業を行っている中小製造業にて、試作の受注がほとんど無くなった とお聞きしました。

 一般企業どころか、一般消費者(個人)でも3Dプリンターを購入できるようになり、また、公的な機関でも3Dプリンターを借りることができるので、ちょっとした試作なら、わざわざ頼むことは無くなったようです。

 保有している設備で競争優位を保っていたのが、設備が普及しコモディティ化することにより、競争優位性が無くなったケースです。

 長い年月をかけて自社でカスタマイズしてきた設備ならば、競争優位性はすぐには無くならないのかもしれませんが、市販の設備を競争優位性の要因としてビジネス展開することは、競争優位の継続性にはならないということです。

 やはり、設備の導入だけに頼るのではなく、競争優位となるコアの技術も自社で構築することが必要です。

4.今後の課題

 昨今の、IoT・DXの取り組みについても同様に、いつのまにかシステムを導入することが目的となりがちです。

 先日、自社にIT部門を持ち、同業他社に遠隔で製造工程支援を行うことにより、ビジネスモデルを変革された中小製造業の社長に、お話を伺う機会をいただきました。

 「御社のコア技術は?」 との問いに対して、「取得したデータを活用した標準化するノウハウ」とのお答えをいただきました。

 コア技術は、必ずしも目に見えるものであるとは限らないようです。むしろ、目に見えないから簡単には真似できないのかもしれません。

まずは、忘れがちとなる設備やシステム導入の目的を再認識することが課題と思われます。

 またヒアリングより、中小製造業において、IoT・DXの導入が進まない理由のひとつとして、「自社にはITリテラシーがないから」 と、よくお聞きすることがありますが、ITリテラシーの前に、目的としてのデータを活用するという、「データーリテラシー」が必要なのではないか との示唆を受けました。

 今回は、「中小製造業の技術経営」から、『顧客発の技術革新の増大』について、TECH-TOSHIよりご紹介しました。 

尚、その他にも、この分野においての実践的なノウハウを投稿しています。


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