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【課題解決】中小製造業の技術経営 インテグラル型産業 航空機
中小製造業の商品開発を伴走・支援 TECH-TOSHIです。
今回は、「中小製造業の技術経営」から、『インテグラル型産業 航空機』について、ご紹介します。
1.ポイント
内容は、
『桁違いの安全性要求水準と長い開発期間』
でした。
民間機の100席以上の中大型機市場では、ボーイングとエアバスの寡占状況であり、大手企業の三菱重工、川﨑重工、富士重工でも、単なるボーイングのT1企業にすぎない。
航空機は全体としては擦り合わせ型である。
桁違いの安全性要求水準ゆえの開発設計の困難さと、製品開発期間が10年〜20年と自動車の4年程度と比較にならない開発期間の長さのために、モノ作りの組織能力では製品開発・設計能力が最も重要となる。
しかし、この擦り合わせ型の産業アーキテクチャも、開発・設計段階に擦り合わせを集中して、製造段階になるとコストやリスクや効率化を勘案し、組み合わせ型となる。
しかも各モジュールや機能部品を大規模に国際的分業を行い、最終組み立ては両社が行う点に大きな特徴がある。
◆顧客の評価基準
2004年にNadcapという国際認証機関が設立され、この認証を受けないと中小製造業も航空機分野に参入できないこととなった。
二次サプライヤーレベルでは、スペック・設計図面は厳密に確定している。
将来性豊かな分野であるが、中小製造業であっても、数十億単位の多額の先行投資額が必要となり、これに耐えうるだけの資金余力・借入信用力を有するかどうかが、航空機産業への参入の第一条件となる。
また、中小製造業の取引先は、国内のT1メーカーとなる。
◆競争優位の要因
航空機産業の中小製造業の競争優位の要因は、ハイスペックな精度要求に対応できる高い技術力を継続的に向上させる開発力とともに、高額の先行設備投資に耐えられる資金余力になる。
出所)鈴木(2019).『中小製造業の技術経営』.P340-342.同友館
2.気づき
気づいたことは、
『中小製造業がこれから参入するには非常に障壁が高い業界』
です。
3.解決策
県内の多くの中小製造業は、事業の転換を図りつつあります。しかしながら、新たに航空機市場への参入は障壁が高そうです。
県にも自衛隊の飛行場があり大手メーカーの工場があることからも、古くから中小製造業で航空機部品を製造している企業は多いです。
ある中小製造業の方からは、材料から何から大手メーカーから全て支給・指定されるとのことでして、こちらから提案しようにもハードルが高そうな印象を受けました。
なので、航空機産業よりむしろ宇宙産業の方が開発期間がさらに長くなりますが、新たに参入する市場としては参入成功の可能性があるかもしれません。
4.今後の課題
現在、宇宙産業の業務にも関わらせていただいておりますが、現在の宇宙産業はロケット打ち上げのフェーズから、月に居住ベースを作る段階に移っており、東京理科大学にも宇宙産業の居住に関して研究を行う施設があります。
居住に関連するとなると、ロケット打ち上げとはまた異なる技術が必要となりますので、中小製造業にも可能性があるかもしれません。
しかしながら、地上と宇宙とでは環境が全く異なることから、やはりJAXAや大学、宇宙産業事業を持つ企業へ、自社が保有している技術の情報提供からとなります。JAXA主催の技術提供応募の説明会に参加したことがありますが、全国から中小も含めた企業や大学が多数参加され、応募の内容に対して活発な質問をされておられました。
今回は、「中小製造業の技術経営」から、『インテグラル型産業 航空機』について、TECH-TOSHIよりご紹介しました。
尚、その他にも、この分野においての実践的なノウハウを投稿しています。