【課題解決】中小製造業の技術経営 無形資産の重要性
中小製造業の事業変革・ビジネスモデル変革・新製品開発を伴走・支援する 『TECH-TOSHI』です。
今回は、「中小製造業の技術経営」における、『無形資産の重要性』について、ご紹介します。
中小製造業の経営層と話していると、知的財産権を上手に活用できている企業は少ないのではないか との考えに至りました。
東京理科大学 MOTにおける「技術経営知財戦略」の講義を元にご紹介していきます。
1.ポイント
内容は、
『知的財産権は、無形資産に含まれる』
でした。
※詳細な内容は、最後の5.内容に記載しました。
2.気づき
気づいたことは、
『中小製造業は、知的財産である自社のノウハウの活用が重要』
です。
3.課題
ここで大事なことは、知的財産である自社のアイディア・ノウハウを、『どこまでの範囲で権利化するのか?』です。
ゼミの教授が、『特許は書きすぎないことが大事』とよくおっしゃれます。
特許出願において、なんでもかんでも請求項に記載したり、事例として詳細に記載することは、自社のアイディア・ノウハウをオープンにしてしまうこととなり競合に真似されてしまいます。
先のブログ記事にて、ある中小製造業の社長が『製法を特許で出願した。』と紹介しましたが、いわゆる製法特許を特許出願することはは自社のノウハウを公開・オープンしているわけです。
オープンにした製法により競合に真似されていることが、競合の製品から証明できれば良いのですが、製法ですので競合の工場へ見に行くこともできまないため非常に困難です。
従いまして、課題としては、『ノウハウとしての情報をオープンにする目安の設定』 が課題となります。
4.解決策
解決策としては、自社の無形資産をどこまでをオープンにするべく出願し、どこをクローズにするのか 設定することです。
オープンつまり特許を出願・公開する部分は、一般的には競合が自社の製品から『リバースエンジニアリング』できる部分です。
自分の経験では、『構造特許』と呼ばれる、製品の構造についての特許の出願がほとんどでした。
これなら、競合の製品を購入し分解などして、その構造を確認すれば真似されているかどうかわかります。
それ以外の対象となる箇所は、自社の中でクローズ化の検討をされることをオススメします。
今回は、「中小製造業の技術経営」から、『無形資産の重要性』について、TECH-TOSHIよりご紹介しました。
尚、その他にも、この分野においての実践的なノウハウを投稿しています。
5.内容
無形資産とは知的資産を含み、人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド等の目に見えない資産のことで、企業の競争力の源泉。
これは、特許やノウハウなどの「知的財産」だけでなく、組織や人材、ネットワークなどの企業の強みとなる資産を総称する幅広い考え方であることに注意が必要。
◆MOTの講義より
米国は無形資産への投資が多い(1980〜2005年)
日本は有形資産への投資が多い(1980〜2008年)
出所)内閣府 HP:無形資産、有形資産投資(民間企業)の推移
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je11/h05_hz020313.html
◆無形資産の効果
1)企業価値と企業成長は無形資産によってもたらされているが、物的資産(工場、機械、在庫など)は、コモディティな手段でしかなく、すべての競合他社が利用可能で、それゆえに企業価値や競争優位を創り出すには限界がある。
2)ビジネスモデルが無形資産(特許、ブランド、映画の版権など)に完全に依拠している。
3)どの業界でも成功企業は、無形資産を豊富に保有し、価値創造手段と競争優位の主要なドライバーとして無形資産が君臨することが、米国だけでなくすべての現代経済の特質である。
出所)バルーク・レブ、フェン・グー.(2019).『会計の再生』.中央経済社
◆無形資産の種類
1)無形資産:借地権、電話加入権など
2)知的資産:人的資産、組織力、経営理念、顧客とのネットワーク、技能など
3)知的財産:ブランド、営業秘密、ノウハウなど
4)知的財産権 :特許権、実用新案権、著作権など
ここで、知的資産には、2)知的資産、3)知的財産、4)知的財産権 が含まれる。
注意)上記の無形資産は、貸借対照表上に計上される無形固定資産と同義ではなく、企業が保有する形のない経営資源、全てと捉えている。
出所)経済産業省 HP: https://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/teigi.html