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【課題解決】中小製造業の技術経営 モジュラー型産業の特徴③
中小製造業の商品開発を伴走・支援 TECH-TOSHIです。
今回は、「中小製造業の技術経営」から、『モジュラー型産業の特徴③』について、ご紹介します。
1.ポイント
内容は、
『モジュラー型産業の中小製造業はポジショニングのあり方が難しい』
でした。
モジュラー型とインテグラル型の分業は、外注比率が高いという面では共通しているが、その中身は異なる。
モジュラー型の分業の利益は、①柔軟な生産、②低コストの実現、③イノベーションの急速な進展 である。
サプライヤーシステム(インテグラル型)の分業の利益は、①柔軟な生産、②低コストの実現、③高い開発能力(VE・VA)の実現 である。
但し、インテグラル型製品のモジュール化が進展する中では、中小製造業は従来のサプライヤーシステムの中の強みだけに安住しているわけにはいかない。
これが、産業アーキテクチャを考慮した対応が中小製造業のコア技術による市場開拓のために必要とする理由である。
特にモジュラー型産業は、インテグラル型産業に比し①製品アーキテクチャの変化が激しい、②最終製品の代替製品の出現度が高い、③エコシステムの覇権者の入れ替わりも激しい ことから、中小製造業の産業アーキテクチャにおけるポジショニングのあり方も難しい。
例)携帯電話の振動バイブレーションのモータで圧倒的に競争力を発揮していたある中小製造業は、スマートホンに乗り遅れ急速に競争力を失った。
出所)鈴木、『中小製造業の技術経営』、P293-294、同友館
2.気づき
気づいたことは、
『モジュラー型産業に属することは、競争力を失うリスクが大きい』
です。
3.解決策
上記事例の中小製造業は、半導体業界について必ず題材になる有名な大手企業に、ノートパソコン向け小型ファンモータでも、認められていました。
ガラケーからスマホへの移行、リーマンショック、韓国・中国メーカーの台頭 という外部環境の大きな変化の中、大口受注先の仕様変更もあり、その競争力を失っていったようです。
従来のインテグラル型の垂直統合型産業と比べ、モジュラー型産業においては、大手一社への依存度が高いと、競争力を失うリスクも高くなるようです。
岐阜県においては、自動車業界に属していた中小製造業が、現在、EV化の流れの中で、樹脂成形、金属加工などの経営層より新たな事業構築を検討している話をよく聞きます。
自社がどの部品を作っているのか、つまりどのポジションにいるのかにより、EV化の流れからの影響度も企業によって大きく異なるようです。
中小製造業といえども、今まで以上に、一つの産業における大手一社依存ではなく、複数の業界で事業を展開することが求められているのかもしれません。
4.今後
先日の、東京理科大学MOTの論文作成の中間発表において、現在の自動車業界におけるメイン事業に加えて、小型のモビリティ事業への展開を提案された学生がいました。
その小型モビリティ業界はモジュラー型とのことでした。
やはり産業の違いによって、インテグラル型とモジュラー型があり、今後、複数の業界で事業を展開するとなると、やはり業界に合わせての自社の競争力を維持するためのポジショニングが課題となるようです。
今回は、「中小製造業の技術経営」から、『モジュラー型産業の特徴③』について、TECH-TOSHIよりご紹介しました。
尚、その他にも、この分野においての実践的なノウハウを投稿しています。