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【課題解決】中小製造業の技術経営 製品ライフサイクル 衰退期

中小製造業の商品開発を伴走・支援 TECH-TOSHIです。

今回は、東京理科大学 MOT(技術経営)における 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『製品ライフサイクル 衰退期』について、ご紹介します。


1.ポイント

内容は、

衰退期の戦略は、撤退、市場再拡大、残存者利益の3つ

でした。

衰退期には、利益水準も低下していく。

戦略上のオプションは、
①撤退する、②市場再拡大を図る、③残存者利益を狙う の3種いずれか。

①撤退
 タイミングを見計らって撤退すること。
 例)シャープがブラウン管テレビから撤退して液晶テレビに集中。

②市場再拡大
 市場が成熟し、いったん減少した需要が再度大規模に拡大する「脱成熟」は、新しい需要を創造したり、画期的な技術革新の導入を契機にして起こる場合が多い。

 例)アサヒビールが「スーパードライ」をきっかけとして、「ドライ戦争」が起こり、ビールが季節商品から通年商品となった。

 また、新しい市場や新しい用途を開発すること、国内市場から撤退し、海外に市場を求めるケースもありうる。

③残存者利益
 衰退期に入り、市場規模が縮小しているからといって、ビジネス上のチャンスが皆無というわけではない。

 たとえ市場規模が限られていたとしても、ライバルの大部分が撤退してしまえば、残った企業は利益を享受できる。

 ライバルも撤退しているため販売促進費などが不要で、生産設備への投資も新規で大規模に行う必要もなく、設備の減価償却が終わっていることもある。

 市場規模は限定的であるものの、コストを低水準に抑えられる条件が重なるため、利益率が高くなる場合が多い。

 衰退市場で残存者利益を得るためには、事業規模の見直しが必要である。以前のような大きな規模は確保できない。

 小さな事業規模でも利益が出せるように、生産・流通販売の体制や人員規模を見直す必要がある。

出所)網倉、新宅、『経営戦略入門』、P275-281

2.講義からの気づき

 講義から気づいたことは、

衰退期に入るまで、大企業との競争に巻き込まれないポジションを堅持できるか』 

です。

とにかく、大企業とは競争しないような状況とすることです。

3.現状

 市場における自社のポジションを模索する中で、成長期 → 成熟期 → 衰退期までの大企業同士のシェア争いにさらされ続ける現実は、かなり厳しいと思われます。

大企業と競争(戦場)とならないようなポジションでいないと、大企業に狙われてシェアを奪われてしまいます。

4.解決策

 山田は、ニッチ戦略のひとつとして残存ニッチをあげています。

残存ニッチとは、製品ライフサイクルの衰退期に入って市場が縮小し、もはや利益が出なくなったため大手企業が撤退していった結果、残った企業が限られた規模の中で利益を追求する戦略を指す。

ただし、残存者利益を享受するためには、「単に残存し続けているだけではなく、縮小する市場の中で、生き残るためのビジネスモデルを構築することが必要」と言われている。

例)アナログレコードにおける、東洋化成、ナガオカトレーディング など。

しかし、残存ニッチは、製品ライフサイクルが衰退期に入れば必ず生まれるものではない。
衰退期でも「使い続けなくてはならない理由」がある場合に生まれる。

出所)山田、『競争しない競争戦略』、日本経済新聞出版社

つまり、残存ニッチとしての市場が、必ず残るとは限らないということです。

5.今後の課題

 したがって、製品ライフサイクルの観点からは、成熟期に入るまでの導入期から成長期において、大企業と競争しないポジションを築けるかどうか、そして、一つのニッチな商品だけでなく、複数のニッチ商品を保有できるかどうかが課題となります。

 今回は、東京理科大学 MOTにおける 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『製品ライフサイクル 衰退期』について、TECH-TOSHIよりご紹介しました。

尚、その他にも、この分野においての実践的なノウハウを投稿しています。


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