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人生を後悔しないための「自分だけ会議」の進め方

僕は毎年、年末年始に時間を取って喫茶店に行きます。

そこでノートとペンだけを持って「自分だけ会議」をやるんです。

人生って「選択の連続」ですよね。

「どの会社に入るか?」「起業するか?」「結婚するか?」といった大きな選択から「今日はどの服を着るか?」「コーヒーにするか紅茶にするか?」といった小さな選択まで。

毎日、毎時間、毎秒の選択の積み重ねで人生は決まっていくわけです。

僕は新卒で投資銀行に就職して、その後メガベンチャーに転職、起業というキャリアを歩んできました。もちろん途中、大変なことはたくさんありましたが、後悔するような選択はなかったと思います。

それは就活、転職などのタイミングはもちろん、毎年、年末年始に自分を振り返る「自分だけ会議」の時間を取っていたからです。

今回は、僕のやっている「自分だけ会議」の進め方についてお伝えしたいと思ってます。別にスゴいノウハウというわけでもないのですが、あらためて人生を考えるきっかけになってくれればうれしいです。

自分を知り、選択肢を知れば、ベストな選択ができる

人生において「後悔しない選択」をするために必要なことがあります。

それは、

①自分を理解しておくこと
②選択肢を理解しておくこと

の2つです。

「自分」のことを解像度高く理解して、目の前にある「選択肢」のことをきちんと把握すれば、そのあいだでベストな選択ができるはずです。

就活でも、まず「自己分析」をやりますよね。自分は何が得意なのか? 何が好きなのか? どういう人間なのか? といったことを分析する。一方で、業界や企業分析をやります。世の中にはどんな業界があって、どんな会社があるのかを調べていきます。

そして最終的に自分の特性とマッチする会社を選ぶことができれば就活はうまくいくわけです。

就活に限らず、人生におけるあらゆる選択は「ベストなマッチング」ができるかどうかです。「自分」のことを正確に知り、「選択肢」のことを知ることで、マッチングの精度は上がっていくはずです。

当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、「自分」と「選択肢」をきちんと理解している人は案外少ないものなんです。

①自分を理解する

もう少し詳しく見ていきます。

まずは「自分について理解する」ステップです。

もしかしたら「自分のことなんてわかってるよ」と思われるかもしれません。でも、本当にそうでしょうか? 実はまわりに流されていたり、実は好きでもないことを惰性で続けていたりはしないでしょうか?

自分を理解するときに陥りがちな罠。それは「自分」というものを作り上げてしまうということです。

特に就活や転職といった場面では、受ける会社に合わせてしまうことがよくあります。「誰かと力を合わせて何かを成し遂げるのが得意です」「誰かを支えることが好きです」など、面接をうまく乗り切るためにその場その場に合わせて「自分」を作り上げてしまう。

すると仮にその会社に入ったとしても、自分の能力や特性が発揮できない環境に身を置くことになります。

また、「なんとなくコンサルってイケてそうだし自分に合ってそうだから、コンサル業界を目指そう」と先に決めてしまって、それに合わせて自分を作り上げてしまう人もいます。でも「コンサルが合いそう」というのはただの仮説です。その仮説が合っているとは限らないのです。

「ファクト」を集める

そこで大切なのが「ファクト」を集めることです。

たとえば「生徒会長やサークルの部長など、リーダーポジションにいることが多かった」とか「土日は部屋でひとり本を読んでいることが多い」というのはファクト。事実です。

ファクトに基づいて考えれば、解像度高く自分を理解できるはずです。

「アップル製品が好き」といった感情もファクトにはなりえます。

ただし「アップル製品が好きだからアップルに転職しよう」などと考えるのは短絡的です。「アップル製品が好き」という感情をさらに分解していく必要があります。

「アップルのデザインが好きなのかな?」「新しいテクノロジーが好きなのかな?」という具合に分解していく。すると自分がどういう特性を持っているのかが見えてきます。

自己分析は就活のときにやったと思いますが、僕は30代後半になる今に至るまで毎年続けています。すると新たな発見があったりする。毎年「ファクト」は増えていくからです。

「ああ、俺って意外とチームでやるのは得意なんだな」とか「1年間フリーランスやってみたけど、向いてるな」といったことも見えてきます。30代、40代の人も「なんだ、自己分析かよ」なんてバカにせず、年に1度はやってみることをオススメします。

②選択肢を理解する

自分のことを理解したら、今度は「選択肢」について理解します。目の前にどういう選択肢があるか、ということですね。

「現状維持」という選択肢もあるでしょうし「転職」があるかもしれない。「起業・独立」もあれば「海外留学」があるかもしれない。

まずはどんな選択肢があるのかを把握していきましょう。

リアルの友人・知人に連絡をとってみる

どんな選択肢があるかを把握するうえで、インターネットで情報収集する人がほとんどだと思いますが、リアルの友人や知り合いと情報交換することも大切です。

ちなみに僕は、大学生のときにコンサル会社でアルバイトをしていたのですが、このアルバイトを紹介してくれたのは就活を終えた先輩でした。このバイトのおかげで社会のことを深く知ることができて就活が有利になりました。2社目のメガベンチャーを紹介してくれたのも知り合いでした。

ネットに落ちている情報だけでなく、リアルの友人や知人に連絡をとって、情報交換してみるといろんな「選択肢」が見えてくると思います。

学生であれば、先輩に話を聞きに行くといいでしょう。

最近はSNSなどで情報が手に入るからか「OB訪問」という文化が薄れているようですが、やっぱりネットの情報というのは一定フィルターがかかります。不特定多数に見られる前提だから、本当のことはなかなか書かれていない。その点、直に話すと「ここだけの話だけど……」みたいにリアルな部分を知ることができます。

「時代」という単位で考えてみる

選択肢を把握するうえで、考えておきたいのが「時代」のことです。時代の流れを俯瞰して見てみる。

特に今は時代が激変しています。

今年伸びていた会社が突然勢いを失ったり、今にも潰れそうな会社が突然伸びたりする。時代の流れが人生に大きく影響するんです。

自分のことを考えていると、どうしても視点が「ミクロ」になりがちです。なので、ある程度「ミクロ」で考えたら視野を広くして「マクロ」に考えてみる必要がある。「時代」という単位で考えてみると、選択が変わって来る可能性があります。

僕の場合は、投資銀行からメガベンチャーに転職したときの選択がそうでした。気持ち的には「転職したくない」って思ったんです。なぜかというと、今の会社でもいいポジションがもらえていて、仕事も楽しい。年収もわりと高かった。「このまま行ったら安泰だな〜」って思っていました。

ただ一方で、時代のことを考えると、ちょうど「IT革命」の真っ只中。「こんなチャンスの時代はないぞ」と思ったのです。

「こういう時代だし、人生って一度しかないし、自分のやりたいこと、目指してるのはこれだし」と考えていくと、転職するという選択になりました。

その選択は間違ってなかったと思っています。

友だちにどういうアドバイスをするか?

「友だちにどういうアドバイスをするか?」という客観的な視点で考えてみるのもオススメです。

もし目の前の友だちが「今の会社だと安泰なんだけど、こういう時代だし、人生一度きりだし、転職しようかどうか迷ってるんだよね」と言い始めたらどう返すか? そのときに自分だったらそういう返事をするか?

僕の場合は「チャレンジしたほうがいいよ!」って言うだろうなと思ったんですね。だから転職を決めた。

人間って、ほっとくと短期的な視点で選択しがちです。本能は変化を嫌うからです。どうしても無意識にそうなっちゃう。

僕も短期で考えたら「転職しない」という選択になっていたでしょう。短期で考えれば、そのほうが心地いいし安心です。でも長期で見たときに、ほんとにそれが正しいかはわからない。長期で見れば「あのとき転職しておけば、もうちょっと面白い人生だったな」となるかもしれません。

後悔しない選択をするためにも、自分を長期的に、客観的に捉える視点が必要です。そして、それには「本能に逆らう意志」が必要です。

だからこそ、人生を振り返る「自分だけ会議」が有効なんです。

「1年のテーマ」を決めよう

「自分だけ会議」の最後は、1年のテーマを決めます。「これからの1年、こういう年にしよう」というのを、ひとことにするんです。

ちなみに僕の今年のテーマは「成熟と挑戦」でした。

「成熟」というのは、けっこう会社も大きくなってきて、目の前のことをがむしゃらにやるというよりは、ちゃんとマネジメントの仕組みやスタイルを作っていこう、ということですね。

一方で、それだけだと守りに入ってしまうので「挑戦」を入れました。「挑戦」というのは、こうした発信もそうですし、交友関係を広めるというものこれまであまりやってこなかったので、自分の中では挑戦です。

こうやってテーマをひとことにしておくと、1年の大まかな方向性が見えて後悔しない選択ができるようになると思います。

人生の選択をするうえで大切にしていること

最後に僕が人生の選択をするうえで大切にしていることを紹介します。

それは「安定するためにも、不安定を選ぶ」ということです。

よく言うのですが、安定のなかでしか生きられない人は、安定を取っ払ってしまうとすごく不安定になります。逆に不安定のなかで生き残っていける人は、どこに行っても生き残っていけるのでめちゃくちゃ安定しています。

実は「不安定を好む人ほど安定してる」というパラドックスがある気がするんです。

大きい会社で安定を好んでいる人は、ものすごい不況が来て、追い出されたときに大変なことになる。一方で、不安定な環境で頑張ってる人は、時代がどうなってもしぶとく生きていけるはずです。

世の中は変化し続ける。だから自分も変化し続ける

鴨長明の『方丈記』の冒頭にこんな一節があります。

"ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖と、又かくのごとし。"

簡単に訳せば、こんな感じでしょうか。

"川はつねに流れていて、水はつねに入れ替わっている。水面の泡も、生まれては消えていき、ずっととどまっているような泡はない。これはまさに人も家も同じ。"

これを読んだとき「まさにそのとおりだな!」と思ったんです。つねに同じものなんてない。同じに見えても、つねに変化している。

僕の座右の銘は「諸行無常」です。

時代の流れも、自分の人生も、変化し続けます。今の自分だって、1秒前の自分から1秒老けてるわけです。そこで大切なのが、不安定を恐れず変化をし続けるということだと思うんです。世界はつねに変化しているからこそ、つねにチャレンジし続けたい。

うちの会社も守りに入ったら、その時点で会社が傾いていくような気がしています。それに安定の中でしか生きられないような社員が出てきてしまう。そうすると、うちの会社がなくなったときに路頭に迷ってしまうかもしれません。

だから誤解を恐れず言うと、できるだけ会社を不安定に保ちたいのです。つねに変化し続けたい。勝負し続けたい。それが最終的にはユーザーにとっても、会社にとっても、社員のみんなにとっても、いいことなんだと思っています。

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