🇯🇵【その2-技術編】本来だったら東京2020オリンピック期間中なので、五輪写真の裏舞台を少し📷🌸
楽しみにしていた東京2020オリンピックが1年延期になってしまい、本来だったら自国開催のオリンピックに熱狂していたはずのこの夏。ロイター通信のフォトグラファーとして2度のオリンピック、3度のサッカーFIFAワールドカップを撮影した私の世界的なイベント撮影の舞台裏話で、来年への楽しみを膨らまして、この夏を乗り切りましょう!📷🌸
前回の【その1】ではざっくり私の2度の経験と国際通信社はプールフォトグラファーだというお話をさせていただきました。
📷プールフォトグラファー席には最速LANが設置されている🌸
ロイター時代のカメラはキヤノンでしたので、ロンドン・リオの2度のオリンピックはEOS1-DXで撮影しました。プールフォトグラファーの席には、ロイターの企業カラーでもあるオレンジ色の専用LANケーブルが設置してあります。これは会社の技術社員が大会前から会場に入りし、設置をしてくれており、最速・最高の状態で準備がされております。大会期間中もトラブルが起きてもすぐにフォローアップしてくれ、LANの接続エラーが起きたり、PCトラブルが起きてテンパっているときに、落ち着いた優しい笑顔で「OKトオル、大丈夫だ!」と言ってもらうだけでどれだけ救われたことか。もちろんその技術者達も世界中の支局から集まった精鋭たちです。
オリンピックのような世界的な大会では写真配信を瞬時に行うために、フォトグラファーは撮影した写真をカメラに直接繋いだLANケーブル経由でフォトエディターに送信します。JPEGのLサイズで撮影した写真は最速の専用LAN経由であれば瞬時に送信完了します。フォトエディターは写真を選択、トリミングなどをしたのち、キャプションを付け直ちに配信します。その作業をアシスタントのサブエディターと分担して、もっと素早く、効率的に行うこともあります。1人のエディターで複数のフォトグラファーの撮影した写真をさばくこともあります。
そのため、フォトグラファーは目に見えない写真の状況(特にキャプションに必要な情報)をカメラの音声機能を使い、写真に自分の声を乗せてエディターへと送ります。とりわけ紛らわしい場面、サッカーのゴールなどは、「誰の何点目のゴールなのか。それとも外れた、ただのシュートか」などは1コマの写真では分かりません。そのような時はこのヴォイスキャプションがとても大切になります。
📷撮影の余韻に浸っているわけではなく。。🌸
オリンピックやサッカーのFIFAワールドカップなどでTV中継の片隅に映るフォトグラファーのこんな動きをよく見かけませんか?
「決定的な場面を撮影した後にすかさず、カメラの背面画面でチェック。ときにはニヤリ、ときには渋い顔をしながらボタン操作をしながら、カメラを口元に近づけて、遠い目をしている」
これは決して、撮れた写真の余韻に浸っている訳ではなく、カメラ背面に付いているマイクに向かって、ヴォイスキャプションを吹き込んでいるのです。当然、このような時はスタジアムは歓喜の渦で、口をマイクに近づけなければ、自分の声が歓声にかき消されてしまいます。なので本当に大きな大会、例えばFIFAワールドカップの人気国の試合のゴールシーンなどは、カメラに向かって叫ばなければなりません。
おそらく、その音声データは絶叫しすぎて、声の音が割れてよく聞こえないのでは?と思いますが、しかし大丈夫。そんな試合は世界中で生中継されていますので、よく聞き取れなくても写真を受け取ったエディターは絶叫の音声が乗せられた写真のコマ(ヴォイスキャプションの乗っているコマにはスピーカーマークが表示されます)を見て、「今、TV中継でやっているネイマールのゴールシーンだな。」とわかると言う訳です。エディターの元にはその日のフォトグラファーの配置図がありますので、「今のゴールはToruのポジションが良いはずだ!」と見当をつける事が出来ます。
📷ロボットカメラも駆使しての撮影🌸
ロイター通信のみならず、AP通信、AFP通信、ゲッティイメージズの各社はロンドン大会より五輪において、遠隔操作できるロボットカメラを各競技会場の天井などに設置し、これまでに無かった角度からの迫力ある写真で世界を驚かせました。私もリオ・オリンピックの柔道・レスリング会場では、手持ちのカメラと並行してロボットカメラからも撮影。とても印象的な写真を配信する事が出来ました。
本日はここまで、次回はオリンピック取材・撮影に残る記録と記憶について、お話ししたいと思います。📷🌸