アルマトイ競馬場(Ипподром алматы)訪問記Vol.1
カザフスタン競馬の概要を前回記しましたが、今回はカザフスタン競馬の主要地であるアルマトイ競馬場へ訪問した話を綴っていきたいと思います。
・競馬場へのアクセス
アルマトイ市内はバスや中心部に地下鉄も通っているが、移動にはロシア圏版Uberの機能をもつYandexが便利、というか必須。これで白タクにぼったくられる心配もありません。
アルマトイ競馬場は市内の北部に位置し、アルマトイ空港からは車で所要時間30分ほど。Yandexを利用すれば約3,700テンゲ(約1,100円)。
市内からはバスで訪問可。17番バスを利用して競馬場(ипподром)にて下車。運賃90テンゲ(約27円)。
・コース概要
アルマトイ競馬場(Hippodrome Almaty)
・メイントラック:ダート左回り
・一周距離:約2,000m
・直線距離:約600m(ゴールまで約400m)
年間開催のほとんどがここで行われ、2024年は全ての平地競馬がアルマトイ競馬場での開催予定です。
近年では2015年に、アルマトイ競馬場の解体問題をめぐって年間通して開催がなく、Nurdaulet競馬場などで開催が行われました。
カザフスタンの競馬場は全てダートコース。オフィシャルのコース概要がありませんので、ハロン棒などをもとにした凡その距離です。ことダートコースだけに限れば、日本と比較すると東京競馬場と遜色ない広さを持ちます。トラクターで耕された畑のような砂質は、日本の砂ともまた違う感触ですが、厚みは深くパワーのいる馬場という点では、アメリカより日本に近い印象を受けます。
・場内施設
場内の様子を動画にまとめました。築95年目を迎えた競馬場。合間に改修もされていますが、かなり年季が入ってます。スタンド裏には、Kabirkhanとバウルジャン・ムルザバエフ騎手のタペストリーが飾られていて、両者がカザフの英雄であることを再確認できます。
正門を入って右手にはパドック。若干手狭に見えますが、各レース頭数も少ないので充分な広さ。こちらは日本と同じく左回りで周回します。
・調教見学
カザフスタンダービーの開催は7月27日(土)。
その前日26日に、競馬場での調教見学に行ってきました。日本のトレセンのような調教施設はありませんので、競走馬たちは併設された厩舎地区で生活し、競馬場で調教が行われます。夏のこの時期、日の出のAM4:30ごろから調教が行われていて、この日はAM5:30ごろに訪問。馬場に出ると、1コーナーの奥には、まだ頂上に残雪を抱え聳える天山山脈を目の当たりにすることができ、非常に美しい景観が訪問者を出迎えてくれます。
日中は30℃を超えるこの時期のアルマトイですが、湿度は低めで朝5:30の気温は24℃。幾分過ごしやすい朝ですが、この日は雲も少なくて、次第に汗ばむ陽気でした。
調教は単走から併せ馬まで様々なパターンですが、概ねコースを1周して終了のルーティン。調教に騎乗するのは騎手や厩務作業をする青年たちが多く、下の写真の2人は、18歳と20歳の地元カザフスタン出身の若手騎手。翌日のダービーデイでも、レースに騎乗してました。
またゴール前でカメラを向けていると、10代半ばと思われる少年が、ヘルメットやプロテクターも付けずにTシャツ・ジーパン姿で懸命に追っている姿が。落馬でもしたら大事故になりかねませんが、体幹がしっかりしてるからか、見事なフォームで馬を御していて、驚きを隠せません。
日本では見られない調教風景を目の当たりにすることができました。総じて馬乗りの人たちは若い子が多かったですね。ムルザバエフ騎手がこのような環境下で育ったのかと思うと、感慨深いものがあります。
中には、10代半ばほどと思われる女性ライダーの姿も。国内外問わず、女性騎手の話題が多い昨今の競馬界ですが、カザフスタンにも女性騎手・ライダーはいてるんですね。イスラム教の国なので、この分野での女性進出は遅れてるのかと思いきや、そんなことはありませんでした。
馬服などに目印もないので、誰がどの馬の調教をつけているのかもわからない中でしたが、貴重なひとときでした。
次回は、カザフスタンダービー当日の模様を記していきたいと思います。