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授業の準備は一体どこまで?①【エピソード編】

先生方は日頃、どれだけの準備をして、授業に臨まれているだろうか。

授業準備が全く追いついていなかった、教員生活1年目。
小学4年生の2学期。図工のコロコロガーレ(ビー玉の立体迷路)の授業を迎えた。私の手帳には、「コロコロガーレをやる」のメモ。この授業で何を指導するか考える余裕もなく授業のチャイムが鳴った。

日々自転車操業だった当時。
とりあえず、業者から届いた教材を配り、名前を書かせた。「この図工の2時間を何とか成り立たせよう」という気持ちで。子どもの前で初めて開く説明書を見ながら、組み立てる指示をした。

教材研究ゼロ。当然、説明が足りないために、次から次へと質問が飛び交う。

「先生、セロテープ使っていいですか。」
「先生、セロテープないので、のりでもいいですか。」
「先生、今日セロテープ忘れました。」
「先生、組み立て方が分かりません。」

必死で対応し、嵐のような初めの2時間は、土台を組み立てて終わった。それが当時の精一杯。何とかこの2時間を終えられて、ほっとしていた。

一週間後。

私の手帳には再び「コロコロガーレをやる」の文字。前回の授業で、土台は出来上がっている。私は、「ビー玉が通れるような迷路を作りましょう。」とだけ指示をした。始まるや否や、楽しそうに作品を作り始めた子どもたち。嵐のように過ぎ去った前回とは違い、黙々と作業する姿を目の前にした私は、「何とかこの2時間の授業も成り立ちそうだ」とほっと胸をなでおろしたのだった。

そうして作品制作が進み、ある日の私の手帳には「コロコロガーレ、完成」の文字。冒頭に、「続きを作りましょう。」と指示し、次から次へと「先生、できました!」と言って作品を持ってきた。その作品を見て、私は愕然とした。意図していたような作品ではなかったからだ。

その作品とは・・・。
 
① 迷路なのに、「スタート」と「ゴール」がない作品
 →これでは、どこから初めて、どこで終わってよいか分からない。
②    ビー玉を転がすや否や、すぐに破損する作品
 →仕切りの接着の仕方を全く指導していなかったため。
③    3段ある立体迷路なのに、一番上の段から一番下の段まで一気にビー玉が落ちる作品
 →これでは、迷路にはなり得ない。
 
実にバラエティ豊かな作品が出そろってしまった。それも、迷路が成立しない作品ばかり。すべて、きちんと指導されていないことが原因だった。満足した表情で作品をもってくる子どもたちに、「う~ん、オッケー…完成ね。」と声を絞り出すことしかできなかった。そういった作品に対してまともな評価がつけられず困ったのを今でも覚えている。
 
【考察編】に続く。


このブログでは、現役教員としてたくさんの失敗を積み重ねてきた私が、当時の失敗を今ならばどうするかという視点をもち、書いています。教師として働いている皆様に向けたヒントとなることがあれば幸いです。
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