三方の小品【28:ひな祭り】
〇〇に入るキーワードは、配信中にスターとコメントのキリバンを取っていただいたリスナーさんにリクエストしていただいているのですが、今日はちょうど3月3日なのでこちらのキーワードをセレクトしました。
鎌倉屋トルテという少女の思い出や、頭の中に触れていきませんか。
ひな祭り
ひな祭り (テキスト版)
内容は上の画像と同じです。
灯りをつけましょぼんぼりに~、ふんふん鼻歌春陽気。いつの間にやら窓を開けると吹き込んでくるのは、まだ少しひんやりとしながらも確実に柔らかな春の風。こんな日が、お雛様を出すには良い陽気ですよ、と誰に言うでもなく呟きながら大きな箱からゆっくりと人形たちを出していく。
約一年ぶりのおはようございます。窮屈でなかったですか?お元気でしたか?そんな風に声をかけながら、丁寧にほこりをはたき、お着物のよれを直す。十二単の裾をのばしていた時、ふとこれを着て生活していた遥か昔の先祖が頭をよぎった。肩が凝らなかったかしら。おなかが冷えて痛くならなかったかしら。的外れなのか、人形思いなのかわからない声掛けの中無事に並んだ人形たちに手を合わせて一礼する。
夜、ほかほかのお吸い物を飲みながら、先ほどお雛様の前へお供えをした菱餅とあられを思い出す。う~ん。毎年同じものばかりじゃ飽きてしまうのではないか……途端に不安に思った丸眼鏡は、心に誓った。明日はきっと美味しい果物と、最近流行りのお菓子をいくつか差し入れてあげよう、と。
初出:2022年3月3日
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