三方の小品【47:太陽】
太陽
太陽 (テキスト版)
内容は上の画像と同じです。
じんわりと言うには少々気合の入りすぎた熱は、遥か数億光年も遠くから、この地球まで届けられているという。衰えるという言葉の意味をなさないかのようにその熱は地上に、生き物たちを容赦なく叩きつける。そう、加減を知らぬ無垢の愛のように。
晴れれば嬉しいが、強すぎる熱には日傘や日焼け止めを駆使して防ごうとする小さな私たち。その強すぎる熱に意識がぼうっとし始めたように感じる。
元来私は、月なのではと思ってきた。
他の輝ける存在の光を受けて、やっと己も光ることができる。光り輝くように見えるその姿は、実は自分自身の発光しているものではないのだと。それでも愛されれば嬉しい。
月の満ち欠けはまるで気持ちの満ち欠けのようで。誰にも見せぬ光の当たらぬ裏側の様子は、己のみ知っていれば良い。
しかし、あえてやはり太陽でありたいと願い続ける。
誰かの道を、未来を照らせる太陽。間違っても傷つけるほどの強さは望まずに。
緩やかな初夏の木漏れ日のような、陽だまりの温かさを纏える太陽でありたい、と。そんなことを、そう。ぼうっとしながら願ったのだ。
初出:2022年7月14日
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