三方の小品【21:看病】
〇〇に入るキーワードは、配信中にスターとコメントのキリバンを取っていただいたリスナーさんにリクエストしていただきました。
鎌倉屋トルテという少女の思い出や、頭の中に触れていきませんか。
看病
看病 (テキスト版)
内容は上の画像と同じです。
ふと気が付いたら、見慣れた天井の下で温かな毛布にくるまって横になっていた。
カーテンから溢れる光の強さに若干の違和感を抱きながら身体を持ち上げてみようとしても一向に上がらない。薄ぼんやりとした意識の中でもう一度挑戦してみるも、ずきんと首筋から頭の先に走る痛みを感じたことで今何が起きているのかをやっと理解した。どうやら調子が悪いらしい。わかりやすくしょんぼりとなった私は毛布の中で己の身体を丸くする。
いつまでもしょんぼりとしていても仕方ないと、毛布から少し顔を出してみると、枕元に見覚えのないポットと自分のコップ。どうにかこうにか一口の白湯を飲むと、ポテンと冷えたタオルが額から落ちてきた。なるほど頭が押さえつけられていると感じたのはこれが一役買っていたようだ。何か固形物を胃に入れたい気持ちと裏腹に、元気なき身体は更なる睡眠を求めて眠りの世界へと再び引き戻されて……い…k…。
今度気が付いた時にはすっかり外は暗くなっている様子で、先ほどより頭も気分もすっきりしたように感じられた。
やっとの思いで起こすことに成功し、丸眼鏡を装着できた身体は何か栄養を欲していた。これまた先ほどはなかったはずの小さなお鍋の中には卵がゆ、隣に桃の缶詰を一口大に切ったもの。うちでは調子が悪くなると食べられる缶詰があるのだ。一口食んで、ちょっぴり美味しく感じられたことで、きっともうすぐよくなるとおまじないをかけてまた眠るのだ……。
初出:2022年1月12日
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いいなと思ったら応援しよう!
サポートは、鎌倉屋維持費として使用させていただきます。
ありがとるてなのですよ〜!