三方の小品【64:プラネタリウム】
プラネタリウム
プラネタリウム (テキスト版)
内容は上の画像と同じです。
夜が好きだ。
いつだって夜の帳が下りる中で蝋燭の灯りを灯していられたならば……と、思うけれどもそうもいかない。
しかし、そんな時に合法的に夜の時間を伸ばすことができる、そんな夢の空間がある。
まんまるドーム、薄暗い闇、きらりんと音楽が鳴り始めれば、頭上は満天の星々。さながら自分も星になったかのよう。
大空に抱かれて心地よくてとろりんと眠ってしまいそうなところを我慢して、日常では見ることのできない数の星々に集中する。星の名前だって、星座だって教えてくれるその声はいつでも優しくてちょっぴりひんやりとしている。
宇宙から帰還する宵の帰り道。空を見上げても先ほどのような星々は全く見つけられない。せいぜい大きな星が一つ、二つ。それでも本当は数え切れないほどの星があることを知っている。さっき教えてもらったし、この目で見たのだから。たったそれだけのことで、胸がいっぱいになってしまう帰り道。お星様のような金平糖を、お土産に買って帰ろうか。
初出:2022年12月1日
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