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2022年9月の記事一覧
三方の小品【58:お城】
お城
お城 (テキスト版)内容は上の画像と同じです。
いつかあんなお城に住めるかしらと考えていたのは、もう遥昔のお話。扉の札を閉店に変える。
無邪気にドレスにティアラに着飾って、いつかそう、森の中から連れ出してもらえるかもと夢見ていたあの日々。
いつしか待ちくたびれて眠ってしまった、あの満月の夜の記憶も薄れ始めている。
コーヒー、ココア、ウイスキーにワイン。数えきれないお気に入りの中から、ち
三方の小品【57:サンセット】
サンセット
サンセット (テキスト版)内容は上の画像と同じです。
稲村ヶ崎へ急ぎ足。
公園までは歩きで少し時間がかかる。暮れ始めた空を見上げながら、歩を進める。
上がる息を抑えながら、階段を一気に駆け上がる。後もう少し、後もう少し。ぐっと踏み込んだ革靴のラバーソールが砂利を掴む。
上がりきった時は、切なくあたりを照らす陽の光が消えようとする瞬間だった。
大いなる山の冠に吸い込まれていく太陽は
三方の小品【56:温泉】
温泉
温泉 (テキスト版)内容は上の画像と同じです。
”温泉”と聞いて、何を思い浮かべますか?
日本では古来より”湯治”と言って、湯に浸かることで健康を目指したり身体を休息させたりする習慣がありました。
地中から湧き出でる湯をなんとかして溜め込み、自由に浸かれるようにしたのが温泉施設です。
一口に”湯”と言っても、サラリとしていたり、とろりとしていたり、シュワシュワとしていたり……。
肌に絡
三方の小品【55:スマホ】
スマホ
スマホ (テキスト版)内容は上の画像と同じです。
薄明かりを放つその向こう側に いつも私は語りかけている
それは手のひらにおさまる小さな板だけれど 単なる板ではないのだ
なんと世界と繋がることのできる 不思議でスペシアルな板なのだから
昔よりちょっぴり技術が発展して この世界には我々の目に見えない蜘蛛の糸が張り巡らされているのだそうだ
その様を想像するとちょっと息苦しいけれど 息苦し
三方の小品【54:季節】
季節
季節 (テキスト版)内容は上の画像と同じです。
カレンダーを、めくる。今月の予定を指でなぞりながら確認していく中、暦の上ではなんとかと特別な名前がつくだけで、なんだかうまく季節を一つ進められたようなそんな気持ちになる。
望もうと望むまいと平等に月日は流れ、季節も流れていくのだけれど。そっとひと掬いの1日に名前をつけて、特別に過ごすだけでより愛おしく感じられるような。
薄紅の満開の花咲き