ショートケーキソング第十四号
2020年4月26日、恋愛短歌同好会第27回のツイキャス歌会を行いました。noteへのアップが遅れてしまって申し訳ありません。キャスに来ていただいた方、ありがとうございます。今回の選者は小俵鱚太さんにお願い致しました。…小俵さん選者は2回目で第14回以来になります…懐かしい。この回まで恋愛短歌同好会はひとり五首制限がなかったので、結果487首と最高の投稿数でした。…この回の投稿数があまりに多かったので、投稿数の制限とPDF版の会報をつくることに決めたので、自分のなかの節目的な回でありつつ、まだ更新されてない神回って感じです。
そして、今回選ばれたすてきな六首はこちらです…!
歌もすてきなんですが、評も非常に良かったです。キャスの途中で読み上げながら、思わず笑ってしまいました。こちらの作者と評の全文のPDFは、文末のリンクから飛ぶことができます。
また、今月のPDF版のゲスト選者を榎本ユミさんにお願いしました。
榎本さんはわたしも所属している短歌ユニット「たんたん拍子」のメンバーでありつつ、同じくメンバーの小俵さんと #きすたとエノモ というコンビでも活動しています。
もともとはR2ぐらんぷりという、うたの日関連のイベントでの結成だったらしいのですが、『湘南が遠くなっていく』という連作をあみもので発表されてから爆発的に人気になった印象です。…いやでも、読んでみたらこれは惹きつけられるなあ、というストーリーテリングで、短歌なのに、小説なみの濃い設定がつくり込まれてる感じです。しかも、こう、きらきらした感じじゃないんですよね。大人の苦い感じで。しかもこの切れ方のラストがせつなくもあり、そうだろうな…と思わせるリアルがあります。
自分はあじさい通りに行ったことがなく、湘南といえばサザン的な眩しい海のイメージだったので、こういう湿度の高いシーンに合う場所なんですね…。
設定は小俵さんがつくって、ラストを決めずにお互い読み始めたと聞きましたが、二人で結末を決めずにこういう風に詠めるのはすごいし、めっちゃうらやましいです。
短歌連作「湘南が遠くなっていく」(共作)
https://note.com/enomotoyumi1007/n/n5ecd6f69986b?magazine_key=mffbd205ed66e
『湘南が遠くなっていく』は榎本さんがnoteの方でも公開されております。
折角なのでこの場でいくつか引きたいな、と思うのですが、交互に詠んでいるパートがやはり良くかたまりで抜かせて頂きます。
抜け殻のように乱したシーツのまま卵が四つあって良かった/小俵鱚太
奥底に残る気だるさ あぁこれは卵の黄身のゆるさに似てる/榎本ユミ
実は、初読のときには気が付かなったんですが、もうこのあたりから二人の意識がじつはズレていたというか…男性の方はたぶんこれ、朝にふたりで食べる卵のことを考えていて、いってみれば意識が未来の方に向いている感じ。でも、女性の方はそこまで気持ちがいっていない。黄身の焼いた状態のことを指しているのかともこの歌では思うのだけれど、黄身が白身の上にのっている、すごく不安定な状態のことも含めて詠んでいるのかなと感じました。
御守りを買ってあげると口をつきすぐに愚かな言葉と気づく/小俵鱚太
ここには愛はある訳ないと折り鶴のお守りくらい自分で選ぶ/榎本ユミ
このあたりから、意識のズレを男性の方も解ってきていて、全体の構成がすごいな、と。また、「自分で選ぶ」ってことは自分のためであるのだろうし、この「自分で選ぶ」は「あなたを選ばない」ことにも繋がっていて、かつラストも示唆している。…かたまりで引いたけれど、一首独立させて詠んでも、パワーのある歌だと思います。
『湘南が遠くなっていく』は冊子としても発売されていて(※現在入手困難)、そちらでもちゃんと読みつつもなにげに今まで感想を書けていなかったので…遅かったけれども、作中の時期が6月7日なので、それに近い日にあげられたのは、逆にタイミングが良かったかも…きすたとエノモの新作を、今後も楽しみにしております。
今回も無事にショートケーキソング第14号を発行できて嬉しいです。
次回のPDF選者は山口綴りさんにお願いしております。来月もよろしくお願い致します。
恋愛短歌同好会会報ショートケーキソング第14号
https://drive.google.com/file/d/1Lbhp7k4IgOgQKtvqIu32F1bAv-9J6Eoz/view?usp=sharing
恋愛短歌同好会規約など
https://drive.google.com/file/d/1drVpBH0VsLsz7M1KXNqmQMmRzY_b94Or/view?usp=drivesdk