toron*

本を読むこと、お料理すること、食べること。たまに短歌を詠みます。お酒と音楽は嗜む程度。

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マガジン

  • 恋愛短歌同好会

    ラブソングしか詠わない短歌集団としてtwitterで活動しています。会費、ノルマなどありません。#恋愛短歌同好会 のタグをつけてタイムラインに投稿して頂いた中から毎月ベストアクトを決めております。

  • うたの日366

    うたの日で好きだった短歌に拙いながら評を書いています。主にいいねいいねと云っています。 一日一首、毎日更新。

最近の記事

カテゴリ短歌祭(恋愛短歌賞)toron*選

このたびカテゴリ短歌祭、「恋愛短歌賞」の選を担当いたしました。 投稿数は162首でした。たくさんのご投稿をありがとうございます。 毎月「恋愛短歌同好会」という恋愛をテーマにした投稿企画を個人的にやっているのですが、そちらともまた傾向の違う歌があって、興味深く拝読しました。 そのなかで、特にいいなと思った歌を「特選」「入選」として取り上げて、選評を書かせて頂いております。 また、評はないのですが最後まで迷った歌を「佳作」として取り上げております。 どの歌にも惹かれる部分があり、

    • 第10回毎月短歌(現代語・自由詠)toron*選

      このたび第10回毎月短歌の選を担当いたしました。 投稿数は581首でした。たくさんのご投稿をありがとうございます。自分は毎月「恋愛短歌同好会」という恋愛をテーマにした投稿企画をここ6年くらいやっているのですが、その倍くらいのボリュームがあり、とても読み応えがありました。 そのなかで、特にいいなと思った歌6首を「ベストアクト賞」として取り上げて、選評を書きました。 歌意や言葉の取り合わせ以外に、感覚で「なんかいい」ことは強く感じるけれど、言語化が難しかったり…と、どの歌にもそれ

      • ショートケーキソング第二十号

        2020年11月1日、恋愛短歌同好会第33回のツイキャス歌会を行いました。 全体で243首のご応募がありました。たくさんの方からのご投稿、ありがとうございました。今回の選者は、前回首席の佐々木菜々子さんにお願いしておりました。…選ばれたすてきな六首は以下の通りです。 佐々木さんは、これら六首以外のいいなと思った歌にも評を書いてくれていて、twitterにあげられております。たくさん素敵な歌が発掘できた回になりました。ありがとうございます…! 六首の歌の作者と評の全文のPD

        • ショートケーキソング第十九号

          2020年9月27日、恋愛短歌同好会第32回のツイキャス歌会を行いました。 全体で223首のご応募がありました。たくさんの方からのご投稿、ありがとうございました。今回の選者は、前回首席の藍笹キミコさんにお願いしておりました。…選ばれたすてきな六首は以下の通りです。 今回、特に歌のチョイスが面白くて、キャスの途中で「文学の雰囲気を感じる」といったコメントも出ていました。確かに、なんとなくそうかも…これらの歌の作者と評の全文のPDFは、文末のリンクから飛ぶことができます。 ま

        マガジン

        • 恋愛短歌同好会
          22本
        • うたの日366
          271本

        記事

          2020/9/26(うたの日366)

          休み時間おわっちゃうねといいながら金魚を埋める君を見ていた/あおきぼたん (2017/12/18「休」) 場面の切り取り方がいいなと思う。前後の説明がなくとも何があったのか想像させる部分というか、またそれでいて、かつて多くがこのシーンを体験したこともあるようなワンシーンを選択している気がする。…教室で飼っている生きものって、生きている間はみんなそれなりに世話をしたり、餌をやりたがったりするのだけれど、「死体」になると途端にみんな忌避する…というか、生きていた間と同じ熱量で、そ

          2020/9/26(うたの日366)

          2020/9/25(うたの日366)

          あの人に出会わなければこの先もプテラノドンは恐竜だった/コロモドキ (2019/8/7「好きな恐竜」) 自分もこの歌を読むまでプテラノドンは恐竜だと思っていたので、まじか…という感じでした。『のびたの恐竜』のピー助は恐竜じゃなかったのか…。調べてみると「恐竜」ではなく「翼竜」とのことらしくて、どうもプテラノドンは「恐竜」の定義を満たしていないらしい。 「あの人に出会わなければこの先も」はリズムが良いのだけど「あの人」「この先」は上の句にあるとハードルを上げるワードでもあると

          2020/9/25(うたの日366)

          2020/9/24(うたの日366)

          長靴に入った水を許すとき思い出すのは虹のかけかた/杏藤ミレイ (2020/9/2「長」) 長靴に水が入るシチュエーション…水たまりに子どもが踏み込んだのかな、などを想像する。主体がそれを許せるのは、自身もそうやって水たまりに踏み込みたくて踏み込んだ経験があったからかもしれない。そのようにすっと思い浮かぶストーリーでも読めるけれど、この歌自体には「許すとき」、誰を許すのかが明示されていない。なので、読みをそれに留まらずもっと膨らますことができて、いいなと思う。「子ども」や「水た

          2020/9/24(うたの日366)

          2020/9/23(うたの日366)

          ルビールビーあなたのように燦々と母の怒りのうつくしいこと/アナコンダにひき (2020/7/21「ルビー」) ルビーのような怒りなのだから、冷静でありながら激しい怒り方で、かつ宝石のできる年月くらい凝縮された怒りなのかな、といろいろイメージできる。また「怒り」を「うつくしい」と感じるのはなんとなく解るし、実際に怒る姿が「うつくしい」ひともいる(と思う)。ただ、それは怒りが自分に向いていないときであり、怒りを向けられてたときは「うつくしい」と感じる余裕はきっとないだろう。…そう

          2020/9/23(うたの日366)

          2020/9/22(うたの日366)

          あしたへの自動扉を手であけて第二志望の制服が行く/山口正剛 (2019/4/8「開」) もともとかっこいいフレーズ、また無機物を詠み込んだ歌が好きなのでこの上の句の、「あしたへの自動扉を手であけて」にめちゃめちゃぐっときてしまった…自分が詠んだことにしたいくらい好きです。自動扉が正常に作動していない状態って、店舗などが閉店している状態、もしくは事故などでの不具合でだろ思うのだけど、これは下の句よりきっと後者のような状態なのだろうと読んだ。主体はきっと第一志望に合格しての未来を

          2020/9/22(うたの日366)

          2020/9/21(うたの日366)

          こころから素直になれば水だけで水を描いたように苦しい/水没 (2018/6/13「水」) 解らないようだけれど、なぜか解るような感じがする…「こころから素直になれば」楽になれるのではなくて「苦しい」…読み方はいくつもできるようにも思うのだけど、自分としては、本能にまかせて素直になってもそれを受け入れて貰えなければ、結局生きづらい、ということなのかと読んだ。 「水だけで水」を描くことは確かに簡単だし、手っ取り早く水を見せる方法だろう。しかしそれを「水」として信じて貰えるかどうか

          2020/9/21(うたの日366)

          2020/9/20(うたの日366)

          ぬばたまのロッキンホースバレリーナ星がうるさい農道をゆく/久藤さえ (2019/6/10「ROCK」)「ぬばたまの」は夜に掛かる枕詞だけれど、その古語を「ロッキンホースバレリーナ」と結び付いて化学反応が反応が歌のなかで生まれていると思う。ちなみにロッキンホースバレリーナはVivienne Westwoodがデザインしている靴で、踵が高い、というよりか底が厚い木靴……なので、これで農道を歩ける主体はかなり歩き慣れているだろう。また、「ロッキンホースバレリーナ」と「農道」が結びつ

          2020/9/20(うたの日366)

          ショートケーキソング第十八号

          2020年8月30日、恋愛短歌同好会第31回のツイキャス歌会を行いました。 全体で272首のご応募があり、今回もたくさんの方からのご投稿、嬉しい限りです。今回の選者は、前回首席のはとサブレさんにお願いしておりました。…選ばれたすてきな六首は以下の通りです。 個人的に、今回のはとサブレさんの評はめちゃくちゃ好きで、まだ読んでいない方にはぜひ読んで頂きたい気持ちが強いです…!自分が選ばなかった、読み切れてなかった歌が多いということに加えて、その歌の解釈の優しさがとても良かったで

          ショートケーキソング第十八号

          2020/9/19(うたの日366)

          あらかじめ探しておこう良い曲を膝から崩れ落ちてゆくため/あるこじ (2020/3/27「膝」) 良い曲に突然めぐりあったあの感じを「膝から崩れ落ちてゆく」とするのはめちゃめちゃ解る。それに加えて面白いのが「膝から崩れ落ちてゆくため」に「あらかじめ探しておこう」と目的の順序が逆になっていて、もっとたくさん良い曲を知りたいのではなくて、膝から崩れ落ちたいから曲を探す、ように読めてしまう。でも、「膝から崩れ落ちてゆく」のは確かに快感でもあるので、なんとなく腑に落ちる。それに、目的の

          2020/9/19(うたの日366)

          2020/9/18(うたの日366)

          うろたえているなコーヒーメーカーも 今日ふたりぶんなんですかって/はね (2020/7/17「2300杯目に起こった奇跡」) 一読して、かわいい歌だと思う。リズムも面白い。上の句は「うろたえて/いるなコーヒー/メーカーも」と句跨りと句割れが起こっている。また上の句と下の句の間に一字開けがあって、動揺の大きさが如実に解る感じ。 この視点は、喫茶店の店員のものなのかと読んだのだけれど、「コーヒーメーカーも」なのでもちろんその店員も動揺しているのだろう。コーヒーメーカーは二杯分吐き

          2020/9/18(うたの日366)

          2020/9/17(うたの日366)

          「大」の字を勢い余って「犬」と書いたあなたのことが犬好きでした/朝田おきる (2020/3/28「大」) 勢い余って「犬」と書いてしまっている残念加減がじわじわきてしまう…三句目の「「犬」と書いた」は六音で、かなり勢い余ってしまった感が出ている。でも、下の句を読むと残念な「あなた」がかなりの幸せ者であること、かつ、「あなた」に想いを寄せている主体もかなり勢いを余っていることが判明する。主体の、好きすぎてフィルターがかかってしまった感を面白がって読むだけでも充分楽しい歌だけれ

          2020/9/17(うたの日366)

          2020/9/16(うたの日366)

          月曜の憂鬱のごと段落は小さきへこみから始まりぬ/キール (2020/6/22「月曜日」) 上手いなあ、と思う。「月曜日=憂鬱」という共通認識と段落を一段下げる行為が上手くはまっている。月曜日が憂鬱と感じはじめたのはいつからだったか思い出せない。いつからか反射的に憂鬱になっていた気がする。その「いつからか解らない」、この段落の仕組みも、どうして一段下げなければならないのかを理解する前から行なっていた。段落を一段下げるのは文章を書くに際しての決まり事なので、その通りに行うことでき

          2020/9/16(うたの日366)