ショートケーキソング第十八号
2020年8月30日、恋愛短歌同好会第31回のツイキャス歌会を行いました。
全体で272首のご応募があり、今回もたくさんの方からのご投稿、嬉しい限りです。今回の選者は、前回首席のはとサブレさんにお願いしておりました。…選ばれたすてきな六首は以下の通りです。
個人的に、今回のはとサブレさんの評はめちゃくちゃ好きで、まだ読んでいない方にはぜひ読んで頂きたい気持ちが強いです…!自分が選ばなかった、読み切れてなかった歌が多いということに加えて、その歌の解釈の優しさがとても良かったです。また、その評を読んでいて「気づき」がいくつもあり、その評を読んでその歌がもっと好きになれる評だったと思います。また、ぜひお願いしたいです。ありがとうございました。これらの歌の作者と評の全文のPDFは、文末のリンクから飛ぶことができます。
また、今月はPDF選者として鈴木智子さんをお呼びしております。鈴木さんはつくれる歌の量も多く(個人的に歌はたくさんつくった方が良い歌もできると思っているので、たくさんつくれる人はすごい…)、歌会などの企画力もあり、幅広く活動されています。
8月にはネットプリントの短歌同人『異国』を企画されていて、こちらは6人のメンバーで活動されています。隔月発行でテーマ詠と各人のエッセイ、またTLでタグをつけて投下された短歌からメンバーが選んで評を書く(この公募の仕方、恋愛短歌同好会と同じで親近感…!)、と盛りだくさんな内容です。
1号の『異国』(テーマ:フェスティバル)から気になった歌をいくつか挙げさせて頂きます。この短歌+エッセイの体裁、めっちゃ良いですね…聞き慣れない単語や、その「異国」での想い出をエッセイの方で補完できるというか、短歌の方ではみ出した想いをこちらの方でも言語化できるというか…。ちなみにわたしは一度も海外へ行ったことがなく、それもあって旅行記を読むように楽しませて頂きました。
ヴェネツィアの仮面の下の微笑みよそれぞれの憂いを隠しておりぬ/貝澤駿一
吉野朔実の『La Maschera』を読んでいたので、これは謝肉祭…!と高まりました。二首めの「ゴンドラ船の無人に月が乗り込んでそのように忘れていくひともあり」も初句七音と「そのように」の使い方がめっちゃかっこいい歌でした。
メイプルを厚く塗りたるトーストへ大量の蚊の大盛の朝/笛地静恵
この歌一首で読んでもけっこうじわじわきてしまう歌なのですが、エッセイと合わせて読むとめっちゃ引き立っていて良かったです…エッセイの方ではカナディアン・インディアンの友人ができて、ロッキ―山脈に行ったエピソードが描かれていました。この歌は最後の歌なのですが、その前に「銀河」「大火炎」「大魚」「北斗」と大きな対象を詠み込んでいて、これで占めるのが面白い…大量の蚊の大盛の朝…!自分的には蚊にたくさん刺された朝として読んだのですが、どうなのでしょう…。
スマホからアザーンが鳴りじりじりと近づいてくる祝祭の音/鈴木智子
血糖値上げるため食む甘いもの べとつく指から/鈴木智子
「アザーン」とは礼拝への呼びかけのことらしく、教会の鐘のような役割だけれど、肉声にて行われているらしい…まったく知らない単語であったのですが、「スマホから」っていうのがめちゃくちゃいいですね…!個人的に電子デバイスを詠み込んだ短歌には惹かれがちなのですが、これはスマホを通して行われているのに、未だに肉声なのがいいなあと思いました。
二首めも、ラマダンは日が暮れてからしか食事をしないことを知っていたのですが、エッセイと合わせて読むと、日暮れのお祭り感が伝わってきて面白かったです。なんとなく、日本は徐々にハレもケもあまり分けなくなってきているような気がするなあ、と感じました。
このnoteがアップされる頃、『異国』の第2号がネットプリントにて公開されております。10/11中は出力できますので、ご興味あるかたはぜひ…!
『異国』第二号テーマ「言語」
https://twitter.com/cfun820_ts/status/1312571473286946817?s=20
今回も無事にショートケーキソング第18号を発行できて嬉しいです。
次回のPDF選者はあの井さんにお願いしております。来月もよろしくお願い致します。
恋愛短歌同好会会報ショートケーキソング第18号
https://drive.google.com/file/d/1D9VJsjf-jtZe3qSuLRRPD7bV5SrssoC5/view?usp=sharing
恋愛短歌同好会規約など
https://drive.google.com/file/d/1drVpBH0VsLsz7M1KXNqmQMmRzY_b94Or/view?usp=drivesdk