見出し画像

息子が超短命と知った日②

・死産・流産が90%な理由 ・出産、妊娠においてのリスク
・出産しても生きられない子供がいるという事

*妊娠中の方には、過激なワードが多く含まれているので注意してください

前回の続きです。

昼の診察時間が終わりかけた頃、夫婦揃って診察室に呼ばれた。午前診療の患者がいなくなった診察室はシンとしていた。

先生は、18トリソミー と言う検査の結果を見せながら、
流産・死産の確率が90%、
産まれても50%が1ヶ月以内に死んでしまって、
1才になるのは10%と言われている事、
重い知的障害があって、
心疾患やその他重篤な奇形、
合併症がある事などなど、
教科書に載っていそうな一般的な説明を一通りしてくれた。

(夫)産まれてきても死ぬって、どういう事なんですか?どうして、そんなに死ぬんですか?治ったりはしないんですか?

(先生)染色体異常の治療は何もないです。
ただ、心臓の手術とか対処療法的な治療は出来るし、
NICUや手術の技術が上がってきたことから、生存率も上がってきてると言われています。

子供にもよりますが、奇形や合併症が多いとお腹の中では生きられても、産まれてすぐに死んでしまうって事もあるんです。

(夫)長く生きている子供とか、治ったって子はいないんですか?

(先生)20才を超えて生きている人で、本を出している人がいましたけど、ホントに特殊なケースで、参考になるかは分かりません・・・
奇形や障害は治る事はありません。
対処療法は、できますが

(夫)えっ、20才まで生きてる人もいるって事ですか?

(先生)ホントに稀に稀なケースで、日本に何人か、分からないですが、いない事はないみたいですね。
合併症がどのくらいあるかで、大きく左右されます。だから、参考にはならないと思います。

(私)18トリソミーって、すごく珍しいんですか?この病院にもいましたか?

(先生)スゴク珍しいかと言えば、稀ではありますが、もの凄ーく珍しいというわけではありません。
私は、見たことないですが、小児科の先生で大きな専門の病院にいたことのある先生がいて、その先生は、見たことがありますよ。 
この病院にも、昔いた事があるそうですよ。

(私)産むなら、もっと大きな病院に転院するって事ですよね?

(先生)病気の程度とどこまで積極的な治療をするかにもよりますが、積極的な治療や手術をするなら、ここでは無理です。
新生児の心臓の手術が出来る所に移らないといけないんです。
ここは、NICUも充実してますが、新生児の手術はしてないですし。

(夫)母体に影響はないんですか?

(先生)消化器官に何らかの問題のある場合、赤ちゃんが羊水を飲み込めなくて、
羊水が多くなってきて、
羊水過多と言って、羊水が多くなりすぎてしまいます。
そうなると入院して管理しないといけない場合もあります。

(私)仕事も休まないといけないって事ですか?

(先生)羊水が多くなりすぎと切迫流産になりやすかったり、羊水穿刺して羊水を抜かないといけない場合があるから、その時は入院しないといけないですね。
入院や安静が何ヶ月も必要な場合もあります。
何もない場合もあるし、入院になるかならないかは、その時になってみないと分かりません。

(夫)えっ、そんな何ヶ月も入院って、どのくらい入院が必要なんですか?

(先生)染色体異常がなくても、
安静が必要で出産までの期間ずっと入院してる人もいるし、
18トリソミーの赤ちゃんを妊娠していても、入院も一切せずに産む人もいますし。

どんなお産においても、リスクがあります。

染色体異常があるから出産が危険になるって事ではないです。
可能性として、羊水過多になる場合があって、羊水過多になると入院が必要になる事があると言うことです。

(私)そんなに、リスクの高い赤ちゃんなら、帝王切開になりますよね?

(先生)帝王切開でないと産めないって事はないですよ。普通に下から産むことも出来るし、出産がすごく大変かと言うと赤ちゃんは小さいので、難し過ぎると言う事はありません。

ただ、18トリソミーの赤ちゃんは、非常に弱いから出産に耐えれないと言う場合が多いんです。
強い陣痛が起こった時にそれを乗り越えられないと言う事があるからです。
かと言って、帝王切開にしたからといって長生き出来るわけではないんです。帝王切開しても、麻酔が切れるまで生きられなくて、抱っこ出来なかったと言う場合もありますし、数時間、数日と言う場合もあるので、出産方法は、検討しないといけません。

*後になって、先生との会話を思い出してみると*

全く現状を理解していない夫婦に、先生は、事前に調べて、丁寧にゆっくり時間をかけてくれた。大切な説明だから、言葉に気をつけて、言わなければいけない事、言ってはいけない事、言葉を選んで説明してくれた。

 小児が専門でない、18トリソミーの子供を見たことがない、業務に追われて多忙の産婦人科医が、一人で説明を行なわなければいけないと言うのは、本当に大変な事だ。

 昔は、18トリソミーなどの重篤な障害を持った子供は、ほとんど助からなかったので、このような説明の場においては、もっと厳しい言い方をする先生も多くいるのが現状だと後で聞いた。


私達は、出生前検診の陽性=ダウン症と考えて
稀少な重篤な疾患については、
確率が低いから入るはずがないと、
思考を停止させ調べずにいた。

重篤な胎児の異常を指摘されていたわけだから、
可能性的には18、13トリソミー等の重篤な染色体異常も、
しっかり調べてある程度話しておくべきだった。

私達の場合、たまたま真面目で誠実な産婦人科の先生が担当で
倫理的な問題を考えてくれたり、気軽に質問できた事
冷静に、話を聞けたから良かったものの

産婦人科の先生の説明によっては、
出産に否定的な考えや先入観を植え付けられて
1人や2人の意見だけを聞いて、
充分な情報収集をせずに
決断をしてしまう場合も考えられる。

あまり、深く考えずに出生前検診たる物を受けようとしている方
稀少疾患には、入るまいと思い込む前に
1度、検査を受けて分かる病気について、調べて
検査の意義、自分自身の中で検査を受ける目的について
良かったら1度考えて見て下さい

重い、パッとしない記事ですが、読んで下さりありがとうございます。
続きの記事は、↓です。
人工中絶について説明を受けたときについて書いてます。

続き物なので、初めから読んで下さると言う方は
こちらからです。↓


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集