小児がん女子・シーズン2(6)
11月半ば過ぎ。いよいよ、全4コースの1コース目が始まった。
今回使う薬は、シーズン1で使った薬に再発時に使われるという薬を1つプラス。「イホスファミド」「カルボプラチン」「エトポシド」それぞれの頭文字をとって「ICE療法」といわれた。
1コースは5日間。はじめの2日は上記の薬を3つ使い、残りの3日間はカルボプラチンを除いた2つを使う。これを、およそ4週間空けて4回行う。
「ICE…ふーん、かっこいいじゃん…」と、さまざまな中二病要素に早くも毒され始めていた長女は、そういっていた。ふーん、のんきじゃん…。
前回の気持ち悪さを知っているため、心構えはできてはいただろう。それでも怖かったと思う。
気持ち悪いのもそうだが、せっかく伸ばした髪が抜ける。きれいに整えても、爪が黒くなる。
初日は頭痛はしていたようだが、なんとか終えられた。
しかし、2日目、3日目…蓄積されてどんどん辛さが増しているようだった。吐くための容器が手放せない。尿を出すための大量の点滴で、顔もむくんでいる。頻繁に氷枕を替えて、頭痛を和らげようとする。
大好きなヴァンゆんも見ないで過ごした。ひたすら吐いていた印象だ。
5日目、特に治療を止めるような変調もなく、ICE療法を終える。長女を抱きしめて、お疲れ様という。まだ気持ち悪さもあるようで、泣くこともなく、休みたがっていた。
治療後は、薬の副作用の骨髄抑制がはじまり、白血球と血小板の値が下がる。長女の場合は食べられなくなることもあり、赤血球も下がってしまう。貧血に陥るのだ。
輸血で血を補い、白血球の自然な回復を待つ。そんなとき、義父母が来ることになった。夫は「変な心配するから」と、義父母にストーマのことと大網切除のことはいっていない。
夫と義父母の微妙な距離感が、こんなときは余計に頭が痛い。スマートに、ストーマのことに触れずにうまーく現状説明しようと思っていたのに。
義父母が来る朝、長女から「鼻血とまんない」というLINEが入った。
なかなかうまくいかないものだ…。
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