朝の散歩
9月になった
06:00
散歩に出た。少し肌寒い。
半歩後ろからトコトコとハナがついてくる。
玄関を出て角を左に曲がる。
いつものバス停で、
いつものオジサンがバスを待っている。
「ねえ、君!ちょっといいかな?」
背中で知らない声を受ける。振り向いた。
オジサンが私達を見ている。
「きみ、中学の制服来て毎日犬の散歩していたよね?」「はい!私のハナなので。高校大学のときは朝が早くて自分で散歩出来ていなくて」「そうか…格好からすると、もう社会人になったんだね?僕も老けるわけだ…アハハ」「27歳になってしまいました…アハハ…若さは有限ですね」
ディーゼルエンジン独特の音が聞こえてきた。
バスが来たようだ。ハナが振り向く。
「バス来ちゃったね。また話そう」
「ええ!いってらっしゃい」
温かい気持ちをくれたオジサンに挨拶をして、
散歩を再開した。
2024/09/05
少し肌寒い。夏の終わりを感じる。
朝の散歩は時々、
見慣れすぎて見過ごしていた
色々とのめぐり逢いがあるので好きだ。
「オジサンおはようございます」
「おはよう」
ハナが死んで3年経つ。
トコトコと足音が聞こえる気がする。