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[読書記録] シェニール織とか黄肉のメロンとか (江國香織 著)

江國香織節の効いた、平和で淡々と、それでいてあたたかくふんわりかわいらしいエッセンスが混じる、そんなどこかキュートな日々が続く女性三人の陽だまりのような日常。

それぞれが抱く思いに共感しながら、私は誰に近いかな、なんて考えながら読み進めました。
それほど気に入らない不動産業者におとなしくついて行く時、以前住んでいたところの近くにいた犬を思い出して、「ゴーディだ」と思いついて、誰かに言いたくなってしまう理枝さんの気持ちも分かるし(自分の誕生日の計画を自分で立てたり!)、
ボーイフレンドのハンドクリームの高説を、「理系っぽくて面白い」と内容ではなくて話の仕方で面白いと思っている民子さんも、
生活や植物や庭を愛していて、外食するために訪ねたお店の、森のように育った木々に心を奪われる早希さんも、私の中にいます。
三人が三人の価値観を持っていて、「自分とは違うけどこの子ってそうだよな」と認め合い、話役、聞き役、楽しみ役(?)だったりするのもとてもいいな、と思います。昔からの付き合いで遠慮も甘えもなくて、それでも笑い合っていられる関係っていいですよね。

江國香織さんの文章は、さらっと読んでしまうととても勿体ないことになるのだろうと思います。一語ずつ噛み締めて、物語の登場人物が(江國さんが)、外を見回す歩調に合わせて(まあ勝手な想像ですが…)読み進めることで、可愛らしくて面白い江國ワールドが見えてくるのだろうと思うのです。

やっぱり心を静めて、しっかりと浸っていたい江國香織さんの独特な世界なのでした。

江國さんの本を開くときはいつも、ちょっと心を鎮めて、「さぁ江國ワールドに行こうっと」と思います。
それをじっくりと味わったあたたかいお話でした。
これはきっと続編あるだろうな。あって欲しいです。三人や薫さんのことが大好きになってしまったので。群ようこさんの「れんげ荘シリーズ」みたいにずっと続いてほしい。この人達に寄り添っていたい、と思いました。

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とり子
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