俯瞰して悟る
私が入院した翌日に、夫も入院した。
同じ病院に。
こんなことあるの!?
家には高校生の娘が一人。
高校生とはいえ、色々心配だった。
夫が入院して3日後、私が退院した。
夫は、今も入院している。
夫は、数年前から、難病の症状が就労に影響するため、色々試したり検討した結果、派遣で仕事をしていたが、入院と同時に派遣契約終了のお知らせが後日届いた。夫が突然無職になったということ。
私は、自分の退院翌日に、研修講師の仕事をした。
その週末は、講演会の講師をした。
その後に、夫の派遣契約終了のお知らせが届いたため、健康保険、年金等の手続き、今後の生活についての相談をしに関係機関に行った。
入院中は、雇用保険は使えない。
正直、とてもむなしかった。
相談窓口の皆さん親身に対応して下さったが、夫は今後の経過を見た上で手術をする予定となるため、退院後の状態がまだ分からないこともあり、解決の糸口は見つからなかった。
家庭の辛い状況の話をするのは、かなりエネルギーが必要で、その都度思い出すことで、再度苦しみを味わうことになった。
昨年までは、相談を受ける側だったため、相談をすることにあまり慣れていないのも、エネルギーを消耗しやすかった理由かもしれない。
自分の体調を考え、無理するわけにはいかず、本当に辛い期間だった。
講師業だけでは、家計が厳しく、パートや業務委託の保健師の仕事を探した。
近所ではなかなかない。
こういう時、焦れば焦るほど空回りになりやすい。
無駄にエネルギーを消耗するわけにはいかないため、俯瞰して悟ってみることにした。
もともと、運命のストーリーは決まっていると思ってみた。
そして、今の自分の状況を高い空から見下ろして見た。
イメージの力をつかう。
目の前の障害物しか見えなかったのが、空から見ると、地図にはないけど障害物のない道に気づけるような気持ちで、1日1日を過ごしてみた。
なんで私がこんな目に?という思いを手放し、
決まっているなら仕方ないよねと、
淡々とやるべきことをやっていった。
手続きはもちろん、料理、お弁当作り、娘の送迎、掃除、洗濯、買い物、夫に着替えを届けに行くなど。
そうすると、なんとなく、自分の位置と新たな道が見えてきた。
なんと、元々あった道をないかのように捉えていた自分に気づいた。
自分の本業である講師の仕事で勝負していく道だ。
焦りは、大切なことをぼかしてしまうのかもしれない。
時期的なこともあり、新規の研修講師の依頼が続いた。
本当にありがたい。
今、私がやるべき本業を丁寧に向き合いやっていく。
私はバリバリは働けないかもしれないけど、イキイキは働ける。
入院中に、イキイキと働きたいと心から思っていた。
だから、主治医の先生の協力を得て、治療と仕事の両立を図っている。
退院直後は、私はバリバリ働けないのに・・・と言い訳しながら止まっていたが、俯瞰して悟ったことで、自分次第でイキイキ働くことはできることに気づいた。
地図にはない素敵な道があることに気づいたのだ。
今生きている自分の体と心に感謝して、自分にできる目の前のことを大切に、一歩一歩踏みしめて歩いていく。
必ず、素晴らしい景色が見られると信じて。
イメージする力と信じる力を大切にしていく。