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2019年9月21日 絵描きはプロになると誰からも教えてもらえない。

この記事はノートから書き起こされたものです。詳しい事情は→この8か月間に起きたこと。

 声優のラジオを聴いていると、声優はプロになった後もボイストレーナーのところへ通って、レッスンを受ける……という話を時々聞く。
 こういう話を聞いて、いいなぁと思った。
 なぜならアニメーターはプロになってから、そういった場所に通って学ぶ機会がない。アニメーターに限らず、絵描き全般、プロになってから学ぶ場所がない。
 よくよく考えたらプロの演奏家も音楽教室に通っていると聞くし、世界的なアスリートには必ずコーチがついている。
 そういえばなんで絵描きだけ、プロになってから教わる場所がないんだろう……と不思議な感じがする。

 こういう話をすると「絵描きは教わるものじゃない」という意見が多くくるかと思う。
 「人から教わったような絵では新しいものは描けない」と……そう言う人は多いだろう。
 でも全ての絵描きが芸術家というわけではなく、職業画家だって一杯いる。自分の絵のどこに問題があって、どうしたらスキルアップできるのか。絵描きでもそういう指導が受けられる場所があったっていいじゃないか。
 素人向けカルチャー教室ばかりじゃなく、プロが通える絵画教室とか……きっと需要はあると思うんだ。
 というか「プロの絵描きは人から教わるな!」と言うんだったら、プロアスリートにコーチが付くことに対しても同じように言わなくちゃダメだよ。プロでも先生に教わってもいいじゃん。

 どうも絵描きというものは勘違いされている節があって、絵描きは特別なものだから、特別なものしか描いてはいけない……。だから絵を人から教わってはならないんだ。自由であれ、ボヘミアンであれ、アナーキーであれ……そういうふうに期待されている節が多いように感じられる。
 いやいや大抵の絵描きはビジネスでやっている。職業絵描きが大半だ。「芸術は爆発だ!」……というのは天才だけが勝手にやってくれ。天才が描くようなものを、全ての絵描きに求められても困る。

 何年も前になるが、学生向け・一般向けアニメ演出に関する講演会があって、講演会の最初に「えー、ではプロの方っています?」と聞いたら半数以上が手を挙げた……という。これはやっぱり、プロも学ぶ場所が欲しいんだと思う。

 そう考えると、プロになってから人に教えてもらえない職業って一杯あるような気がする。
 プログラマーとか、日々新しい技術が生まれ、どんどん勉強していかないといけない職業なのに、誰からも教えてもらえない。自分で時間を作って自分で学ばなければならない。それはどう考えても大変だろう。
 プロ向けの養成塾を必要としている人は多かろう。なぜなら創作の世界、どんどん高度になり、新しい技術がどんどん生まれてくる。昔みたいに「先輩の技を盗んで独力で」では通用しないくらいレベルが上がってきている。
 というか、「先輩の技を盗んで~」というのはできる人はできるんだろうけど、できない人はできない。そこで格差が生まれるし、その格差はみんな「自己責任」になってしまう。すると現場から「脱落者」が出てしまう。こういう状態を放置すると、創作の世界を高いレベルで維持し続けるのは難しくなってくる。昔のような「ついてこれない人を全員落としていく」というやり方を続けていくと、必要な人員確保が難しくなる。
 それよりも全員一緒にスキルアップさせたほうがいい……ように感じられる。そういうのに時間と金を惜しんじゃいかん。と、思うんだが。
 プロだけが通える養成所……需要ないのかな?

 どうなんでしょうね?


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