5月7日 任天堂が公式に次世代機の存在を明らかに! これまでのリーク情報まとめと、これからのゲーム機について
ついに来た! やっと来た! 任天堂が公式にNintendo Switch後継機について言及した!
いや、ハードメーカーなんだから、作っているのは当たり前。ハード制作部門にとっては、一つ前のゲーム機が出た直後から、次のゲーム機についての目標作りが始まるわけだから。(私の見立てでは、2年くらい前にはすでに完成していて、ソフト制作も始まっていただろう……と見ている)
でも、公式に情報が出たというのは大きい。発表は今期中。では発売はいつだろうか? 「今期中」というのは来年3月までの話。期間長すぎじゃないか?
とりあえず、この機会にこれまで色んなところからでてきたリーク情報をまとめてみよう。
これまで出てきたリーク情報まとめ(真偽不明情報)
まずはディスプレイ。8インチ液晶、720p OLED HDRとなる。現行の有機EL版が7インチなので、ワンサイズアップとなる。有機ELから液晶なので、ディスプレイの質はワンランクダウン。ただし作る方のコストは下がる。
ストレージは256GB。最大読み出し速度2100MB(現行Switchは32GB。読み出し速度300MB)。GPUはT239(1536 CUDAコア)。数年前に登場した車載用チップTegra Orin(T234)のサイズを小さくした特別カスタマイズ版であるという。
さらにNVIDIAのDLSS2.2アップスケーリングテクノロジーが搭載される可能性もある。ドッグ接続時は4Kに対応。
後方互換は高い確率であり。すべての現行Switchタイトルが動くとされる。ただ、これまでの流れでは新デザインが出るタイミングで後方互換は切り捨てられてきたので、今回も後方互換は最初のバージョンだけかも知れない。
Switch2でもジョイコンが採用されるが、レールはなくなりマグネット方式になると予想されている。ボタン数が2つ増えるらしいが、どこに、どういう役割のボタンなのかは謎。現在使用のジョイコン&プロコンはそのまま使える。
すでに一部の周辺機器メーカーはSwitch2の現物に触れることができたが、まだ機密段階であったために、不透明な箱に手を入れて、触れることだけができたという。ということは、見た目からすでに何かしらの新機軸がある可能性がある。
ざっくりしたグラフィック性能は、だいたいPS4よりちょっと上……と予想される。
今のゲーム機はテラフロップス(TFLOPS)でグラフィックがどこまで出せるか推定できるが、次のようになっている。
PS4 …1.84 TFLOPS
PS4 Pro …4.2 TFLOPS
PS5 …10.3 TFLOPS
Nintendo Switch …0.5 TFLOPS
Switch2(?) …2~3 TFLOPS(推定)
現行Switchより確実に良いグラフィックは出せるが、ただしPS4をちょっと上回るくらい。PS4 Proには及ばない。一時「PS5に迫るグラフィックが……」という情報が出回ったが、それはあり得ないだろう。その代わりに、AIアップスケーリングであるDLSS2.2が搭載されるとされる。DLSS2.2はダメなグラフィックをAIで良くしてくれる……というものではなく、解像度を向上させるもの。だからあえて解像度低めに作っておいて、DLSS2.2に仕事させる、という手もあるので、うまく最適化すれば見た目はPS4と同じくらいだけど動きはサクサク……というのはあり得る。
ローディング時間も大幅に短縮されると考えられる。現在の情報ではSwitch2のメインメモリはLPDDR5×2枚構成で12GB。速度7500MT/s、モジュールのバス幅64-bit。任天堂はローディング時間を気にしてCD-ROMの採用を見送ってカートリッジにこだわってきた……という歴史があるくらいローディング時間に気を使っている。最近の業界トレンドは「ノーローディング」なので、ゲーム展開は快適になるでしょう。
他ハードと比較すると、
PS4 8GB
PS4Pro 8GB
PS5 16GB
Switch 4GB
Switch2(?) 12GB(推定)
となっている。
まとめると、「やたら動作が快適な、PS4+」……と考えているといいだろう。
参考動画。『DOOM』のグラフィックを、PC版、PS4版、Switch版で比較している。
Switch版『DOOM』の移植は非常によくできているが、こうやって比較で見ると、画面が不鮮明だし、テクスチャも画質を落としているのがわかる。低スペックのSwitchに移植するために、テクスチャの画質を落として再現している(移植の際に、テクスチャの解像度を一つ一つ下げたのだ。丁寧なお仕事)。『DOOM』は画面移動の激しいゲームなので、普通にゲームをやっているだけなら、よほど目の良いゲーマーでない限り違和感も感じないはず。(テーブルモードにするとほぼ違いがわからない)
Switch2ではAIアップスケーリングで、画質を荒くしたり、不鮮明になっているところが鮮明になるので、モニターでプレイしても区別は付かなくなるはず。
ではどうしてこんな微妙なスペックなのかというと、任天堂は「普及させること」を第一目標としているから。ゲーム機ビジネスは数千万台売らなければ、ソフト展開がうまくいかない。そのためには市場に多く、そこそこ安値で出した方が良い。もしも売り出したいタイミングで店に置いてない! 売ってても高くて買えない! ……となったらそれだけで普及の阻害要因となる。
Switch2のGPUは8nmチップとされている。このサイズが小さくなればなるほど、お値段が高くなり、また一つ一つ作るにも時間がかかってしまう。SwitchのGPUは8nmだが、これは最近のトレンドと鑑みても一世代古い(AppleのM4チップは3nm)。あえて一世代古いものを持ってきて、より安く、多く市場に出せるように、という思惑がある。
さて、気になるお値段は? 業界の予測では、399ドル。日本円にして5万6000円になるのではないかという。
リークされているスペック情報から、昨今のインフレ事情を加味して推測すると、この値段になるという。
これだけは正直、いかがなものだろうか……という気はしている。5万6000円のゲーム機が大衆機として普及するとはとてもじゃないが思えない。5万円越えのゲーム機は、私もちょっと購入しようかどうか……と躊躇うレベル(本当に5万円で発表されたら「あ、今回はダメだな。コケるな」って言うかも知れない)。
外れた予想
私が長らくSwitch2に付いてくる新しい機能は「立体3D視」だと予想していた。
理由は、3D技術はニンテンドー3DS以降も進化し続けているから。様々な新しい3D技術が開発され、ニンテンドー3DS時代はほんのちょっと浮き上がってくる……というレベルのものでしかなかったが、最新の技術では裸眼で数十センチくらい手前に飛び出してくるくらいできる。ゲーム機の液晶面にマリオが乗っていて、“画面の上を”歩き回る……くらいのことは今の技術だと可能だ。そういう面白い技術を任天堂が見逃しているはずがない……と考えていた。
しかしこれまで色んなリーク情報が出てきたが、そのなかで「立体3D視」という一番わかりやすい情報がどこから出てこない。ということはこれはハズレなのだろう。
もしも新機能が立体3D視だとしても、テレビでどう3Dを表現するんだ? それはすでに任天堂が2018年に出した特許で答えを出している。テレビを強引に3DSにしてしまう……という技術だ。しかしさすがに採用されないだろう。
こちらは2023年10月頃、任天堂が特許申請した画像で、この画像一つで業界がちょっとざわついた。
これは「着脱可能なデュアルスクリーン」で、これがなんなのか、一時いろんな人が予想を立てていた。Switch2はニンテンドーDSのように画面分割されると予想する人もいるし、「着脱可能」という点に注目して、“2台以上のSwitchを所有した場合、ニンテンドーDSのように使える”というサブオプションがあると予想する人もいた。
私はニンテンドーDSのように使えるというものと他に、2つの画面を使って1つの立体画像を生成する、つまりホログラム立体を予想していた。サブオプションとして採用して欲しいが……。
しかし任天堂は新ハード発売まで、いろんな謎の特許を出す会社なので、そのうちの一つだろう。Switch2と全く関係ない……かも知れないが、任天堂は忘れた頃にずっと昔に出した特許を採用した何かを出すこともあるので、油断はできない。
ちなみに、“2つのSwitchを連結させる”ということは、現行のSwitchでも可能だった。『世界のアソビ大全51』の中の、「協力タンク」というゲームは、2台以上のSwitchを上画面のように並べて、連結させて遊ぶ……というゲームだった。
これができるんなら、マグネット方式で2台のSwitchを連結させて、そこで何かしらの仕掛けを……そう考えても不思議はない。もしかしたら、サブオプションとして何かあるのかも知れない。
(もしもデュアルスクリーンが来たら、『ゼノブレイドクロス』の移植&続編あり得るな…)
ここまでSwitch2は現行Switchよりもスペックが高くなる……という話をしてきたが、それだけで終わるはずがない……と私は考えている。というのも、任天堂は多くのライトユーザーを抱え、ゆえに大衆機として成功してきたのだが、そのライトユーザーは「TFLOPS」とかそんな用語を出してきても理解できない。
(試しにお母さんに、「新しいSwitchは4Kなんだよ!」と言ってみよう。「あ、そう」で終わるはず。お母さんでも「凄い!」というものでなければ、大多数のライトユーザーには響かない)
WiiからWiiUの時も、スペックが向上しました、スーパーになりました……とアピールしたが、Wiiを購入したユーザーは動かなかった。よくわからなかったからだ。
スペックが向上して、AAAゲームも動くようになります、3TFLOPSのグラフィックがサクサク動きます……これを理解して「凄い!」という人は、ゲームユーザー全体の中のごく一部。ハイエンドゲーム機を欲しがるようなヘビーユーザーは実際には少数派で、任天堂ゲーム機はライトユーザーが多い……ということを忘れてはいけない。
Switch2にも、これまでのゲーム機になく、その後のゲーム機のスタンダードになりそうな“何か”がきっとあるはずだ……と考えているが、それがなんなのか……(なにもなければ、周辺機器メーカーに箱の中身はなんだろうな状態で触らせないだろう)。何か隠しているな、という予感はしているが、それがなんなのかは発表の時を待ちましょう。
これからのゲーム機ビジネスは難しい
これまで何度も話をしてきたけれど、任天堂のゲーム機の「2台目」はことごとく失敗してきた。大ヒットした1台目を越えたことは、歴史上ただの一度もない。
幸いにもNintendo Switchは据え置きゲームハード市場最大の売り上げを記録することができた。特にSwitchは、あらゆる世代にまんべんなく、エリートユーザーもミドルユーザーもライトユーザーもまとめて引き受けた希有なゲーム機となった。それだけに“次”が難しい。Switchにはこれだけ豊富なソフトラインナップがあり、そのソフトで遊ぶコミュニティがあちこちにある……という状態だ。新しいゲーム機が出ても、しばらく前のゲーム機に居留まる……という現象が起きるはずだ。すぐにでも新しいゲーム機に移らないと……そう考える動機付けをさせるのが難しい。
大ヒットしたゲーム機はそのぶん粘着性が強くなる。というのが私の考え方だが、Switchほどの大ヒットしたゲーム機はなかなか次へ、と動きづらくなる(逆にWiiUは売れなかったからこそ、後方互換すらない次ハードへスルッと移ることができた)。
率直な予想として、Switch後継機が成功する確率は、5割くらい……いやもっと低いと見ている。
ここまでに話したように、大ヒットしたゲーム機の次は難しい……という以外に、世の中的に「ゲーム専用機って必要?」という潮流があるからだ。
ゲームだけなら、スマートフォンでも遊べる。iPadで遊べる。ゲーミングPCもある。任天堂がWiiUで苦戦していた頃、“子供達が欲しがったゲーム機”はスマートフォンだった。一般マスコミもこの時期、「ゲーム機ビジネスはもう終了! これからはスマホの時代!」と煽りまくっていた。確かに。こういう時代にゲームしか遊べないゲーム専用機ってどうなんだ? というのがある。Switchは幸いにも、ゲームしか遊べないにもかかわらず魅力あるゲーム機だと認識されて大ヒットとなったが、次も同じように売れるか……とはさすがに思えない。その状況が想像できない。
PS5やXboxはここで失敗している。リッチな環境でゲームを遊びたい……と思う大人のユーザーはたいてい高級なゲーミングPCを持っている。そこであえて「ゲームしか遊べないゲーム機」を買う動機付けってなんなんだろうか? 確かにPS5ならば、同じくらいの性能のゲーミングPCを買おうと思ったら10万円以上するから、コスパを考えればPS5のほうがお得。しかし働いてお金も稼いでいる大人だったら、それくらい払える。ますます「ゲームしか遊べない機械」を買う動機が弱まっていく。PS5とXboxはそういうユーザーに向けて、「そのゲーム機でしか体験し得ない独自の魅力」をアピールし損ねている。
ある一時までは、確かにゲーム機はスペックの殴り合いだった。発表されたゲーム機のスペックを並べて、一番スペックの高いゲーム機が売れる……と言われていた時期はあった。それも十数年前の話だ。
(一般マスコミは未だにスペックが高いゲームが一番売れる……と言いがちだが。そのなかには、「ストレージが一番大きいゲーム機が売れる!」という珍説を語ったマスコミもあった。そのマスコミを毎日新聞という)
今はすでに「ゲーム専用機って必要」という時代。任天堂にとってのライバルは、ソニーでもMicrosoftでもなく、スマートフォンとゲーミングPCだ。この時代を勝ち抜くためには、これからも毎回「ゲーム専用機だから良い!」と思わせるだけのものを出して行かねばならない。「どのゲーム機が一番売れるか」ではなく、うっかりすると全部のゲーム機が売れない可能性だってある。次は「勝者不在」もあり得る。だからこそ、これ以降は毎回が勝負。「ゲーム専用機でも魅力的」に見える商品を開拓し続けなければならない。これができなければ、スペックが高かろうが、値段が安かろうが、売れない。それは今までの時代よりもかなりハードだろう。
この業界のライターに安田秀樹という人がいて、この人は従来の、「キラータイトルがあればハードも売れるはず」という説に異論を唱えている。どんなタイトルが出ようが、結局のところそのゲーム機そのものが魅力的に見えなければ売れない……。
言われてみれば、そうだ。まずゲーム機そのものが魅力的に思えなければ、そのゲーム機が売れることはない。それはどんなソフトか出るか、という以前の話だ。
思い返してみると、「キラータイトルがあればハードも売れる」は初代プレイステーションとセガサターン時代までの話ではないか。あの時、互角の対決をやっていたプレステVSセガサターンの戦いに決着を付けさせたのは、1996年の『ファイナルファンタジー7』プレステ発売決定の報道だった。その後に、ダメ押しで『ドラゴンクエスト7』がプレステで発売。しかし今はそういう時代でもなかろう。『ファイナルファンタジー16』と『ファイナルファンタジー7リメイク』を抱えるPS5が覇権を握っているとはいえない状況からも、すでに時代は変わったんだといえる。
WiiUは明らかな失敗だった。その根拠となるのが『マリオカート8』。『マリオカート8』はSwitchソフトの中でもっとも売れていて、最新のデータをみると6197万本! そんなすさまじいキタータイトルがあるなら、WiiUはもっと売れていたはずだが、そうはならなかった。
どんなキタータイトルがあったところでダメ。ソフトの前にゲーム機が魅力的じゃないとダメ。今は、キラータイトルの前に、「魅力的なゲーム機」のほうが先だ。
まずゲーム機そのものが魅力的に見えること。その魅力というのは「スペック」によるものではない。今の時代、スペックを見て買うかどうか決めるユーザーはごく少数(スペックが勝利条件なら、XboX seriesが覇権ハードになっているはず)。では「魅力の正体」がなんなのかというと……そこが難しい。安田秀樹氏は「形」説を採っているが、それも本当かどうかわからない。正直なところ、「それがわかれば苦労しないんだけどね」というところだ。
もしもゲーム機ビジネスが失敗すると、ゲーム文化そのものが変質する。というのも、任天堂が不調だったころ、スマートフォンゲームが隆盛していた。任天堂がSwitchで返り咲きすると、スマートフォンゲームが低調になった。作る側も任天堂が成功するか否かで、ゲーム作りの姿勢が変わってしまう。市場に出るゲームの傾向までも変わってしまう。任天堂がゲームハードビジネスに成功するか失敗するかで、それくらいの変化が起きてしまう。
(ただ、スマートフォンゲーム界隈はすでにレッドオーシャン……任天堂がコケても、そのかわりにスマートフォンゲームが再び返り咲くとは思えない)
私としては、やっぱりゲームは、スマートフォンではなくゲーム専用機でやるもの、という認識があるから、次のSwitch後継機も成功して欲しいとは思うが……。
追記情報
この記事を書いて掲載までの間に、新しい情報が出ました。ただし、情報の信用度がだいぶ低い。内容は、これまでに出てきたリーク情報よりもSwitch2のスペックが上がるかも……というもの。理由は、そもそもSwitch2は2023年の時点で完成していて、ソフト制作も進めて準備していたものの、肝心の本体の発売時期が後ズレ。その間に「Switch2改良版」ができしまった……という。最初から「Switch2Pro」ということになる。
もちろん、その「Switch2改良版」はSwitch2として発売されるので、発表されるものがSwitch2の改良版がどうかは、私たちはわからない。ということは、「判定不能」の情報だから、どうとでも言える……というわけで、情報の信用度は低いと見てよい。