セミに泣いた夏

今住んでいるマンションはセミが集まってしまう。夏の間中、セミの死骸を見たり、外壁にひっついてるセミを怖がったりして過ごすハメになる。

以前、1時間ほど用事を済ませて家に帰って来た時、ドアのすぐ前でセミがひっくり返っていた。死んでるのか、と思い近づくと、ミミッと音が鳴ったので、生きていた。気持ち悪くて堪らず、ずっとどうしようか考えていた。

夫がその時家にいたので、夫に鬼電した。夫は家から出てこようとしたが、ドアの隙間にセミが挟まり、ミミミミッッッと大きな音がした。その鳴き声を聞いて、気持ち悪くて気持ち悪くて、大泣きした。今書いているだけで気持ちが悪い。

その後夫はドアの隙間から細い棒で外にセミを出し、夫も外に出て来て駆除した。見えないところまで死骸も始末してくれた。大泣きしている私を横目に、疲れたと言いたげな顔をしていた。我が家の大事件の一つになってしまった。

そもそもセミがこんなに家に近い場所にいるのを見たことがない。住む場所がないのか?木にいた方がいいのに、なんでコンクリートにとまるんだよ。死に場所も絶対土の方がいいのに、なんでベランダで死ぬんだよ。

セミの音を聞けば「夏だなあ、風流だなあ」と田舎なら思えるが、都会は違う。セミが鳴いたら戦いの季節が幕を開ける。

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