私信 僭越ながら
あなたは
唐突に
「わたくし」と自称し始めて
あなたの他を「国民」と総称し始めて
「皆さま」と呼びかけ始めた
あなたは
「わたくしでさえも・・・あるのですから」と
へりくだった体(てい)で
あなたを基準に世間を見下し
時には
「理解するのに数年かかった」と告白しながら
「日本人にはかなりの時間と労力が必要でしょう」と
あなたを基準に他人を過小評価する
そうしてあなたは
あなたの最高の価値の具現を
皇尊(すめらみこと)に投影しては
「圧倒的オーラ
「目を奪われる
「どうしてでしょう・・涙があふれる
等々と列(つら)ね
あなたの思いを共有しない人たちを
「堕落しきった国民」と吐き捨てる
あなたは
陽の当たる界隈で
返礼と称賛を浴びるべく
『古事記』で唯一語られる
「皇后」の生まれ代わりとささやき廻り
「国民がわたくしの労(ねぎら)いを待っている」と
貴人になりきり
「わたくし」から「国民の皆さま」へ
「お疲れ様」を連呼する
あなたは
人を罵倒することで
あなたの正義を喚(わめ)き散らした
昨夏までとは方針を換えて
今夏は「穏やか」な外面で
丁寧に語ろうとはしているけれど
懐き続ける
羨望されたい欲求と
傅(かしづ)かせたい欲求は
ブラックホールのように
膨張し続け
言下で姑息に息をする
僭越ながら
「お疲れ様です」
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