こんにちは。翻訳者・レビューアの小島です。以前の記事で”include”の訳し方について書きましたが、今回は、類義語の”contain”についてです。
“contain”も「含む」とばかり訳していませんか?そうだという方は、この記事を読めばヒントを得られるかもしれません。今回も、例を見ながら考えてみましょう。
何らかの<情報>や<内容>を含む場合
まずはこの2つの例文を見てください。いずれも”contain”を「含む」と訳しています(無生物主語文なので主体を変えてはいますが)。
これでも意味はわかりますが、もうひと工夫ほしいところです。今回は<ウェブサイト>や<本>に<内容>が含まれるという関係なので、以下のように訳せます。
ただし、(b)のように主語が<本>であっても、目的語(含まれるもの)が<情報>や<内容>でない場合は「掲載」を使うとおかしくなります。
やはり、文脈を考えて表現を選ぶことが大切です。
さて、少し似た例として、この文はどうでしょうか。
これも間違いではありませんが、「法律」に「規定」などを含める場合によく使われる表現に変えると、もっと自然になります。
このように、目的語(O)が<情報>や<内容>の場合の”S contain O”は
などと訳すと自然になる場合があります。
「含む」を言い換えられる他の例
文脈次第で、「含む」以外の訳ができるケースは他にもたくさんあります。最近の案件で出てきた例も1つ挙げておきます。
頭を柔らかくして、こうした発想を自然にできるようにしたいものです。
「含む」の意味ではない例
ここまで、「含む」の意味をどう言い換えるかという話をしてきましたが、そもそも「含む」の意味でない場合もあります。「含む」と訳すと明らかにおかしくなるので、間違える人はいないかとも思いますが、一応確認しておきましょう。
上記のように、“contain”には「~を抑える」といった意味もあります。「知らなかった」、「忘れていた」という人は、ぜひ辞書で確認してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。”contain”を含む文を訳したら、一度落ち着いて読み返してみましょう。「もっと自然な表現はないか」「意味が通るか」を確認して、ブラッシュアップすると、訳文の質が上がるはずです。