いとモテたい
光源氏のモテっぷりは紫式部の筆に余るほどで、わんさか恋文を詠み逢瀬を重ねるだけで10巻が費やされたこの男は、ひがむ対象としてはいささかスケールが大きい。モテたいがゆえ外見や内面、就活に精を出すわけでもなくただ、光源氏のモテっぷりにあやかれないものかと心の底では思いながら源氏物語を読んでいる。情けない。本当に。また、自分がいかに異端な存在であるか、などと主張してみてもnoteの海を漂うだけで、別にモテたりしない。それにモテたいよお!とここで叫んでいても同情されるのがオチで、かわいそうな目でこのnoteを通り過ぎる目に耐えられない。ものがなしく、情けない。27才、なのだから。でもやっぱり源氏物語を読むことにより、あの、光源氏の異常な魅力や彼の情緒が自分に影響して少しはモテるのではないか、周りから見ると源氏物語を読んでいる人間特有のオーラみたいな出汁みたいなものが出ているのではないか、と下心で想ったりするが、これは正当な読み方ではないだろう。あさましい。いと、あさましい。光源氏はあまりに罪の重い男なので(浮気な男)参考にはならないだろう。
「ある分野について30冊の本を読めば、論文を読めるレベルの知識が身に付く」だなんて話もあり、そしたら「モテの極意」的な本を30冊読めばどうにか論文を読めるレベルになるのであろうか、しかし論文を読めてもモテなくては意味がないのでは?おれは間違っているのか?いったい、何を考えているんだ?今も。モテる人間になったところで、相手を傷つけるだけの人にはなりたくない。自分はもうそういう表面的なひどい恋愛はしてきたのだから。モテたって、人を傷つけたら意味がない、おれにとっては。そもそも無職だし。モテへんよ。
離職から1カ月がたつ。職業訓練を受けようと思っているが、選考テスト不合格ならばどうしたらいいのかよく分からない。希望は、ない。
散歩しているときれいな女性を見かける。きれいだなと思う。
ただ距離が近かったりすると何だか恥ずかしくなる。でもカッコよく見られてえなあとも思う。脳内で「彼女の心には自分の心はつり合えはしないのだ」だなんて変な語りを入れてしまう。こじらせている。バーのマスターに「君は中二病だよ」と言われたのもきっとそういうことで。おれの住む地域はなぜかきれいな人が多いので、ため息もしぜんと増える。ああ、おれは釣り合えねえんだろうな、と。情けない話。
無職だと、いったいどこで出会えばいいのかも分からないし、そもそも無職だから相手にされないだろうと思う。職業訓練に通えば、1年くらいは女の子と関わることもないのではないか。「てんびんのこちら側に自分のもっているものを、あちら側にほしいものを置く」それを考えれば、自分が何も持っていないことに気づく。無職に恋愛はむずかしい。そんなアニメがあったらヒットするだろうか、またはどこかの無職(おれ)が涙する展開となるだろうか。VC:早見沙織だろうか。よく分からない。
自分はもっと真面目な人間だと思っていたし、女の子から「真面目だねえ」と何度か言われてきた。ベトナムの女の子からも日本の女の子からもそう宣告された、海外の人が見ても「まじめな男」なのだろう。それは、「つまらない男」と意訳されよう。月がきれいですね、の訳ほど達者ではない。ああ。くだらね。でもモテたいのは確か。つまるところ、モテたい。27才の今が一番モテたいと思う。こんな文章を読まされているあなたに申し訳ない。ふざけてばかりで。ただこれしか言いたいことはなかったのだ。
情けなくも、いとモテたい。