ホッコリしたいならこの映画(ネタバレ有り)
新宿のシネマカリテにてアキ・カウリスマキの最新作『枯れ葉』を観てきました。正月の3日目にも関わらず客席はかなり埋まっていて相変わらず固定客のいる作家なんだなと思いました。
内容
金属工場でブラスト工として働く男性とスーパーマーケットで働く女性のラブストーリー。二人は勤務中の諍いで職を失ったり事故など困難に遭遇する。トラブルが二人を遠ざけるが映画やライブなどを通じてお互いに惹かれ合い再び前を向いて生きていく。
見どころ
*労働者3部作、その後
労働者をモチーフにした作品を過去にも撮っていたけど今回はそこに昨今の紛争が窺い知れたり、携帯電話がお芝居の中で使われる(カウリスマキ作品はこれまで携帯電話を映画で使っていないのです😅)など、同じモチーフでも若干装いが刷新されていた。
*暗さがありながらも映える色使い
メインビジュアルにもなっている食事シーンやカフェでのソーダ、バーの内装など暗さを携えながらも印象的な配色が今回も目立ちました。決して派手さはないのだけど暗さと色合いがすごくしっくりくるのがカウリスマキ作品の特徴だなと思います。食事シーンの背景と前面に配置された主演の二人の衣装が対比した色使いになっている場面は個人的に好きなカットです。
*音楽の使い方(というより繋ぎ方)
劇中で実際に流れている音楽と劇伴の使い方がすごく上手かった。特にライブ音から劇伴への繋ぎ方が違和感なく編集されている。ライブの音と同じBGMを編集するとライブ音は現場の反響を拾っているので違和感が残るのですがそれが上手く処理されていた。以前のカウリスマキ作品でも似た様な演出が見受けられたけど今回は間奏に芝居があったりと結構手の込んだ事をやっていた。
以上、簡単ですがカウリスマキ作品レビューでした。
今回もカウリスマキ作品の特徴である無表情な演技が健在でした。悲哀を感じさせる作品が多いだけに過剰な感情表現がなくても伝わるし、オーバーリアクションの少ない日本人には親和性が高いような気がします。
既に固定客がいる監督だけどもう少し日本でも人気出ても良いなと思いますね。
観ていてほっこりするシーンが多いのでオススメです。
過去作もオススメなので映画を観た後に気になった方はアキ・カウリスマキ作品をチェックしてみてください。