すっきりと晴れるのは何か
上記は昭和十七年一月号の『文藝春秋 現地報告』に掲載されたものである。このように小林秀雄は、開戦のニュースによって、国際政治上のもやもやした鬱憤が一気にすっきりと晴れる様を素直に表現していた。他国との関係が良くないと聞くとき、さらに自らの生活が脅かされているとき、国民は抑圧された感情をもつ。その抑圧を晴らすものはなにか。そして、その一時的な「鬱憤晴らし」の代償はあまりにも大きい場合がある。
太平洋戦争といえば、8月15日の喪失感ばかりが取り上げられるのだけれども、12月8日の開戦の高揚感というものも、無視することのできない要素であると考えている。こうした高揚感は当時の日本人に広く共有された感覚ではあっただろうけれども、そこに文学・言論界はどのように関与したのか。毎年、この日にはできるだけ記事を書くようにしている。
※以下は昨年の記事。