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【読書感想】天国はまだ遠く

瀬尾まいこさんの作品の3冊目です。
正直、ちょっと微妙でした。。。映画化もされているうようなので期待していたのでが。
ラストが、私の想像と違ったかなと思います。でも逆に言えば、新鮮なラストなのかな。ありきたりじゃないというか。でも、ストーリー展開は面白かったです!次はどうなるんだろう、とワクワクしながら読み進めました。


あらすじ

仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰りそう。23歳の千鶴は、会社を辞めて死ぬつもりだった。辿り着いた山奥の民宿で、睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の田村さんの大雑把な優しさに癒されていく。大らかな村人や大自然に囲まれた充足した日々。だが、千鶴は気づいてしまう、自分の居場所がここにないことに。心にしみる清爽な旅立ちの物語。


心に残った文章5選

「行きたくないなら、そう言えばよかったのに。俺、あんたに断られたって、ちっとも傷つかへんし、気も悪くせえへんのに。あんたが海を嫌いでも、釣りに興味がなくてもなんもなんちゃない。そんなん適当に合わせる必要はないのになあ」

天国はまだ遠く

「こうしたら嫌われるかな」「こう言ったら相手は嫌な思いするかな」―日本人は、特に相手からの評価や世間体を気にしますよね。
確かに、嫌われて嬉しい人間なんていないし、出来るなら嫌われたくない、というのが本音だと思います。
むしろ、自分の「やりたいこと」「したくないこと」をきちんと伝えないと、相手には伝わらないですよね。「察してほしい、空気読んでほしい」という思いは捨てて、自分の気持ちを相手にしっかり伝えることで、意思疎通が出来ます。
自分の意見をしっかり持ちつつ、相手を尊重できる人間でありたいと思った言葉でした。


幼い頃は一生懸命真面目にやりさえすれば、大人は評価してくれる。ところが、高校生にもなると、そんな甘いことは通用しない。ちゃんと現実を教えてくれる。いくら努力をしても、下手なものは下手なのだ。時間をかけようが、手間をかけようが関係ない。

天国はまだ遠く

大人になるとは、楽しいこともありますが、苦しいこともあります。
子供の時は、褒められたことが、大人になると、なぜか褒められない、なんてこともしばしば。
大人になると、現実を知って、苦しむこともあります。でも、周りから、褒められなくなっても、せめて自分だけは認めてあげよう。
そして、「意外に○○が出来ない」ということが分かってしまっても、それも経験です。
自分の苦手が1つ分かったという意味では、嫌な思いもしたけれど、「自分を理解した」という意味では、すごく成長できたということになります。
努力しても、出来ないものは仕方ない。だったら、どんどん別のことにチャレンジして、自分の得意を見つけていけばいいだけです。

そして、私はやるべきことがないのを知りながら、ここでただ生きるだけに時間を使うことになってしまう。それは心地よいけど、だめだ。温かい所にいてはだめだ。私はまだ若い。この地で悟るのはまだ早い。私は私の日常をちゃんと作っていかなくちゃいけない。まだ、何かをしなくちゃいけない。もう休むのはおしまいだ。

天国はまだ遠く

人は、つい、心地いい方や、楽な方へ身を委ねてしまいます。
誰にも文句を言われず、自分の好きなことをぬくぬくと出来る環境は、最高ですよね。でも、そんな環境の中でも、自分の日常を作っていかなければいけないと思うんです。
仕事ではないし、ただの日常なんだけど、自分がするべきことを見つけていかなければいけないと気付いたんでしょう。
「ただ生きる」ことは、悪いことではないし、本人がしたければして良いと思います。でも、「ただ生きてる」ことをしていても、自分のやりたいことは見つかりません。自分が探している答えは、自分で行動して、自分で見つけるもの。逃げたくなってる自分を、奮い立たせる時に、思い出したい言葉でした。


まとめ

よく人生に行き詰った主人公が、傷心旅行に行って、その土地で過ごしていくうちに、本来の自分を取り戻して、その土地に定住する、みないなストーリってあるじゃないですか。
今回もその手の話だと思ったんですよ。でも違っていて。意外でした!
村に行って、「本来の自分を探そうとする自分」に気付けたって感じかな?
「この土地で悟るのは早い」と、主人公は考えるんですよね。「なるほど、そう来たか」と思いました笑
自分探しの旅へ出かけても、自分が分からないことはあります。自分のことは、まだ分からないけど、ここで止まっていてはダメだと思えたことはすごく進歩ですよね。人間は、自分が心地いいと思った場所に留まりますからね。それで成長できる人とできない人の違いが明確になるのかなと思っています。
きっと、主人公は、村で、のんびりした日常を過ごしていくうちに、「心地いいけど、自分のやるべきことを見つけなくてはいけない」と気付いたんだと思います。
自分が何のために生まれて、生きているのか―その答えが分かっている人は、ごく稀だと思います。私も全然分からないし、考えすぎて落ち込むこともしょっちゅうです。でも、その答えを見つけたくて、歩き続けたいと思えた一冊でした。

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