河野啓『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』
河野啓著『デス・ゾーン』読了。
「プロ下山家」と揶揄されながらエベレストに何度も挑戦し、2018年に35歳で滑落死した栗城史多さんの半生を、北海道放送で彼のドキュメンタリーを制作したこともある著者がまとめた本。
栗城さんは、登山をショーとして見せる技に長けたエンターテイナーだった。
登山と自己啓発を組み合わせ、夢にチャレンジすることや諦めないことの大切さを説いたが、実際の登山は虚偽(「単独無酸素登山」?)や作為にあふれたものだったようだ。
熱烈なファンがいる一方で、実力が伴わない言動からアンチも多かった。
「前向きに挑戦して生きること」を啓発しながら、本人は「死」を望んでいた節もあったという…
虚飾の有名人ということで、小池百合子さん、小保方晴子さん、佐村河内守さんなどを想起。
ホリエモンもかな。
テレビで取り上げられたり、熱烈なファンがいたり、輝かしい?経歴や才能があると謳われている人でも、無条件に賛美するのは注意が必要…と感じた。
「本物」と「偽物」、真贋を見極める目を持ちたい。
本書では本物の登山家たちのエピソードも随所に紹介されていて、著者の登山家へのリスペクトが感じられる。
テレビ受けするキャラクターやストーリーが重視されるのではなく、本物が脚光を浴びる世の中になってほしいと思う。
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エベレストに挑戦しなくても、生きることはしんどいことも多い。
私たちは生きてるだけで偉い。
栗城さんみたいな人はあまり好きではないけど、弱い人も許せる人でありたいとは思った。