2009年に最先端だった、5つのファッション系webサービスの「今」を追う
今からおよそ13年前に、私が書いたブログで今で言う「バズった」経験があります。
悲しいかな、それ以降は鳴かず飛ばずな状況にもなり、モチベーションも上がらず、今やそのブログは開店休業状態にあるのですが、そこで取り扱ったテーマおよびタイトルが、2009年当時に「最近気になるファッション系webサービスをまとめてみた」でした。
当時はまとめ系記事、というのは人気ジャンルだったこともあり、ある程度狙いにいった所もありますが、かなりブックマークもされて、PV数も数万単位で読まれた記事でした。
記事のタイトル通り、2009年当時「これから流行りそうだな」と個人的に感じたモノを5つ紹介しただけの記事なのですが、残念ながら2022年6月現在、そのまま残っているサービスはひとつもありません。リンクも全て切れています。(ドメインを譲渡してたりもします)
ただ、先進的なこういうチャレンジが沢山あって、今に繋がっていることがあると思っていますし、当時の私は大いに刺激を受けたものでした。
私個人としては、当時バズった記事で紹介したサービスのリンク先が無いことは寂しくもありますが…
また、2009年というのは、iPhone日本上陸である2008年の翌年で、みんながみんなスマートフォンを持っているかというと微妙な時期でした。なので基本はパソコンからの閲覧がベースであったと思いますので、当然ながら専用アプリなどはありませんし、そのあたりの利用環境の手軽さなども、現在とは違っていたとも思います。
では一つずつ。当時の私の文面も合わせて、今の私の見解も含めてご紹介していければと思います。
私のブログからの画像転用(まあその元記事されぞれのサイトのスクリーンショットですが)、未来に繋がるサービスを作ってくれた方々へのリスペクトとして、表示させていただきたいと思います。
ファッション試着サービス『AWASEBA』
2009年当時は、まだECサイトで洋服を買うという行為が、そこまで主流で無かった時代で、アパレルが自社でECサイトを運営していることも一般的ではありませんでした。
今となっては、自社の販売スタッフがインスタなどにも登場したり、オンライン上でも、自分のコーディネートを見せつつ、顧客との距離を近くする取組みも増えてきましたし、
実物を見なくても、いくつかの商品画像で、購買判断を出来る様になってきているのは、消費者側の一定の安心感や、目利き能力と判断能力の高まりであるとも感じます。
「洋服をネットなんかで買ったら、サイズとかバランスとか素材とか色とか、何にも解らないよ!」
と、ばかり言っていた当時の空気に、一石を投じるサービスだったのではないでしょうか。
現在では、コーデのシミュレーションや想像しやすいサービス、アプリは、洋服に限らずメガネやインテリアなど、様々あると認識しています。
ルックアップのファッションコーディネート買物代行サービス
当時からパーソナルスタイリストのサービスは、いくつか見られており、当時こちらのサービスは最大手だったと記憶しています。
今もこのニーズは続いていると思いますので、こちらのサービスは、他の何らかの理由で終了しただけであると考えます。
昨今では、より担当スタイリストのキャラクター性を重んじているというか、シンプルにオシャレなコーデを提案するだけでは満足されない世界になりつつあるように感じます。
コーデ提案に留まらず、ユーザーの悩み(体型や合う色探しなど)に寄り添うような、まさしくソリューションよりの、課題・お悩み解決系のサービスが求められているような印象です。
miteca(ミテカ)
当時で言えば、この考え方はアパレルの中でも、かなり先を行っていたように思います。
今ではAIの発展のおかげなのか、Googleの画像検索などでも、類似品を探すのはかなり容易になった印象ですが、当時「アパレルにどっぷり浸かっている人間には、到底思いつかないな」と感じた記憶があります。
私も元アパレル販売員なので、店頭での接客イメージは一応浮かぶのですが、基本的には、兎にも角にも「まずは1点目に、これ!」と商品を決めていただき(誘導したり、目立つ場所で展示したりして)
決まった商品に対して、客単価を上げるためにコーデの提案をしたり、「このマネキン(ディスプレイ)の組み合わせ、そのままどうですか?」というような売り方をしてきた中で、
「この商品が気になるなら、即決しなくても、こういう似ているモノもありますよ」
という、考え方はある意味刺激的でした。
今では、ECサイトなどで「この商品を見ている人は、こちらも見ています」的な見せ方なども普通な感覚にもなっており、2009年当時にリアルな消費者側の気持ちに寄り添う姿勢に感服した次第です。
ドレスファイル・オンラインクローゼット
こちらも、当時はびっくりした記憶があります。
そして現在でも、洋服の預かりサービスは継続的にあり、複数の会社がサービスを競い合っている印象で、月額費用のシステム、クリーニング、スマホ連動で中身を確認出来るというのがベーシックな形でしょうか。
ともかく、こちらがサービスの先駆けであったことは間違い無かったと思います。
一時期の、ファストファッションの使い捨て、昨今では捨てないけれど、再度誰かに売ってリユースしてもらう、など、時代変化による変数の多さは難しいですね。
fukulog(フクログ)
こちらも、見事に先駆け、というサービスだったと思います。
フク「ログ」というワードからは、「ブログ」的な印象がありますが、どちらかというとSNS要素の強いサービスだったと記憶しています。
2009年当時は、mixi(ミクシィ)の盛り上がりが相当に高まりつつある時期で、フェイスブックやツイッター、インスタグラムなども、同時に盛り上がってくるのですが、国産のSNSもいくつか乱立していた時期だと思います。
個人のファッションコーデや口コミ、に特化したSNSというのは、要素的にかなり面白いと感じたのですが、沢山あるSNSの中でユーザーを勝ち取り、成長し続けることはなかなかに難しいんですね。
どのアプリとは書きませんが、Wからはじまるファッションコーデ機能を有するアプリのサービスが今現在は定着しつつあると思いますので、この要素自体は、今も残っていると理解しています。
5つのサービスを振り返って思うこと
今、当たり前のように認知されていたり、利用されているサービスの先駆けというのは、すでに2009年当時からあった。スマホもまだまだ普及していない当時から。
そして、それを思いついた人たちは、自分よりもはるかに頭が良く、実行力がある人たちで、本当に世の中には優れた能力の方々が沢山いる。
改めて、そういう思いになりました。
ただ同時に、それだけでは事業を成長・継続させ続けることは難しいことなんだな、とも感じました。
一つは、インフラというか基礎的環境ですね。
先にも、触れましたがスマートフォンの普及率が10%にも満たない時代であり、タイミングの問題もあったのかな、とも感じます。
(※ スマホ普及率は、2010年:5%程度 → 2022年:95%程度とのこと)
インターネットをする、には、パソコンの前に座るが基本で、ガラケーでも出来なくはないですが、通信料は高く、画面も小さく見やすくもないのであまり手段として選ばれなかったと思います。
時代背景も影響していたと思います。
まだまだ洋服は実店舗で買いたい、ファストファッション旋風もあり、安く消費して使い捨てが出来てしまう。
一番は、インターネット上に、ファッションの自己表現をする文化は、まだまだ発展途上(過渡期には来ていたと思います)だった。
その後の広がりの要因は、スマホ普及とともに、インスタ定着のお陰だったりでするのでしょうか。
私自身は、2006年くらいからブログを書いていたくらいなので、インターネットが好きな方だったと思いますが、まだまだインターネット上でのファッション情報というのは少なく、
ネット上でファッション表現や評論的なことを個人がすると「ファッションオタク」と揶揄されるような空気も少なからずあり、ファッションとインターネットの相性は今ほど良くはありませんでした。
もしかすると、アパレル業界全体が、もっと先行してネット推進するような動きがあれば、もっと違った未来があったかと思いますし、何となくデジタルなものを受け入れきれない、そもそも切り捨てる風潮も強かったと感じます。
実際にここで紹介したサービス達もそうですし、2010年以降アパレル系のWEBサービスで地位を確立したものは、アパレル業界にどっぷり浸かった人間が推進したものよりも、他の業界から俯瞰してアパレルを見ていた方々が牽引していたと認識しています。(Zからはじまるアレとか)
何だか、流行に敏感であるべきファッションの業界が、そこに出遅れた印象というのは、私は今でも持っていて、むしろ他業界の機転の利く方々や、ユーザーの方が先を行っている感覚があります。
そういう意味では、アパレル業界から主体的にエンジニアに依頼するような動きでこういうサービスが生まれていたのだとすれば、また違ったアパレル業界の今があったのかも、とも感じています。
とはいえ、私のオリジン・根源のひとつであるアパレル業界に、もう一回巻き返しを期待したいですし、何か恩返し的にも出来ることはないか、と考え始めている最近です。
コジマサトシ/トナリコネクト
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