家業の危機を通して感じた「仕事の意義」と「自分の役割」
コロナで在宅ワークが増えて、実家に戻っていたこともあり、今が人生の中でも家族と過ごす時間が一番長いんじゃないかと思うような今日この頃です…。
今回は、私の仕事観に大きな影響を与えている家族について書きたいと思います。
私の実家は、祖父母が創業したお弁当屋さんを家族経営しています。
元々は商店街によくあるような肉屋と魚屋を家族で切り盛りするような商店でしたが、近所に町工場が多かったこともあり、工場で働く方向けにとんかつ弁当を届けて欲しいと言われたことからお弁当屋さんになりました。
そして元々銀行員で都心に勤めていた祖父が、社食難民で困っているサラリーマン向けに仕出し弁当を届けようとデリバリーを始めてから食数が増え、最大で一日7万食以上をオフィスに届ける日本一の弁当屋に成長させました。
そんな実家の会社が、去年の8月に食中毒の事件を起こしてしまいました。
オフィス向けの提供を主としている為に、ただでさえコロナによる大打撃を受けて食数も1/3程度まで落ちていた状況。コロナ禍でも注文し続けて下さっていた大切なお客様に対してこのようなことを起こしてしまって、ニュースにも取り上げられているような状況でした。
自営業で、これまである程度時間に自由に働いていた母や叔母も、朝8時から夜中の12時まで食中毒の症状があったお客様への対応で、来る日も来る日も謝罪を繰り返す日々が続いていました。
そんな家族のたいへんな状況を間近で見ていて、倒産がチラつくような有事のことが起こった時、会社の本質が露呈すると思いました。
会社の根幹を揺るがすような大きなミスが発生してしまった時にも、誰かのせいにしたり言い訳に逃げるのではなく、なんとかして信頼を取り戻そうと前を向いて団結する現場社員の方々。
朝から晩まで誠心誠意の謝罪と事後対応に最善を尽くす事務員さん達。
そして、こんな不祥事を起こした後も「頑張ってください」とか「いつもありがとうございます」といった温かい言葉をくださるお客様の存在。
とにかく安くて美味しくて健康なお弁当を届けたいという想いは大切なお客様に届いていて、苦しい局面にいた社員を勇気づけて下さったという話を家族から聞きました。
もちろん、日本の根幹を支えている沢山のお客様に多大なるご迷惑をお掛けしてしまったことは許されることではないけれど、有事の時でも応援して下さる方がいる会社って素敵だなと、自分の家族の会社を見ていて素直に感じました。
そして、会社がよくない状況でも現場社員の目は死んでいないですし、何とか食数を取り戻そうと、コロナ禍で苦しい今も必死に戦っています。
社員の皆さんが心折れずに立ち向かえているのは「自分たちは、日本経済を支えている都内のオフィスに日本一のお弁当を届けている」と、仕事に誇りを持って働いているから。家族の食卓で日常的に飛び交う会話で社員の方々の頑張りを聞く中で、そんな気概を強く感じました。
創業者である祖父母が繋いできた想いは今も、働く社員の方々や、召し上がっているお客様に届いている。会社の規模とか売り上げに関係なく、二人は世の中にとって意義のあることを築いてきたんだと強く感じました。
こんな家族の姿を身近に見ていて、
「自分も自分の仕事に誇りをもって、世の中に価値提供できる人でいたい」
「社員が心から、自分の仕事に誇りを持てる会社にしたい」
そんな思いが自分の中でさらに強くなりました。
祖父母は永遠に私の憧れで、経営者としても夫婦としても、祖父母としても世界一尊敬している存在です。
私も奇跡的にこの世に生まれてこれたからには、与えてもらった人生の中で、世の中にとって少しでも意義あることを残してから死にたいと思います。
そして産んで育ててくれた家族に恩返しができたら、自分がこの世に生まれてきた意義があったと思えるかなと。
まだまだ誇れることは何も成し遂げてはいないですが、自分のミッションとして胸に刻んで生きていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
↓実は昨日BSで放送されていました!