うつの辛さについて
うつ、うつ病について、もしくは双極性障害におけるうつエピソードについて、その辛さはどのようなものなのかについてざっくりと触れてみたい。
一般的な、もしくは医学的な区分によるならば、急性期と回復期、寛解維持期(再発防止期)などにわけられると思う。
急性期においては、不眠、疲労感、倦怠感、怠さ、発熱、胃腸症状、頭痛などの痛み、下痢など、精神疾患であるにも関わらず、身体症状だけでもかなり辛く、それだけで社会生活に不便が生じるほどのものである。
そこにうつ特有の、気力のなさ、興味関心の喪失、食欲不振、希死念慮、集中力の欠如、罪悪感、自責感など、多くの精神症状が出現する。時には三大妄想と呼ばれる、貧困妄想(生活は出来ているのに、経済的資源の枯渇を訴えるなど)、罪業妄想(取り返しのつかい罪を犯してしまったなどと考える)、心気妄想(不治の病にかかってしまったなどと考える)など、統合失調症の陽性症状と変わらないほどの妄想状態に陥ることもある。
これらの症状について、少し想像して頂くだけでも、かなり辛いものであることは理解されるのでないかと考える。
うつの辛さの一つで代表的なものに、希死念慮やそれに伴う自殺企図、実行などがあり問題となっている。
これは急性期、回復期において、患者を相当に苦しめるものであり、時に自死となりうる。
急性期において、精神症状、身体症状共に辛い最悪の状態ともいえる時には、希死念慮があっても実行する体力も気力もなく、ただ横になっていることしか出来ないため、そのような状態では希死念慮による辛さはあるものの具体的なものとなることは少ない。
むしろ問題なのは、そこから少し回復している状態や、回復期における希死念慮による囚われの状態の時である。
このような時に、自殺企図、実行を伴うようなものが出てきた時に、それを行うだけの気力や体力があるために、行動化してしまう恐れは高くなる。回復期ほど、希死念慮を患者が口にした時に、どの程度のものなのかを確認しておく、それとなく聞いてみることは大切なことであるし、そのような想いを誰かに聞いてもらう、もしくはただ傍に居てくれるだけで当事者は気持ちが落ち着くことがあるのも事実だと考える。
さて、ここまで、うつの精神症状、身体症状、また命に関わる問題としての希死念慮や自殺企図、実行などを含めたうつの辛さについて雑駁ではあるものの書いてみた。
患者本人には、自身の辛さを客観視することにより、病的な認知や思考に囚われた状態をそれとして理解する手助けになればと考える。
もしくは患者と関わるご家族や友人、会社の同僚など社会的関係を持つ方々には、共感と関わり方の参考になればと考える。
さらには、精神疾患の代表的な病としてのうつを知って頂くことになれば幸いである。
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